大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和4年度(2022年度)追・再試験
問36 (日本史B(第1問) 問3)
問題文
A
たけし:原始社会の狩猟民も戦士と言って良いなら、図の石器は、戦士の武器と言えるかな。
かずこ:精巧な作りだね。教科書で石槍の先とされているものと同じ形だけど、ずいぶん大きい。a 図の石器をめぐっては、いろいろ論争があるらしい。旧石器時代なのか縄文時代なのかという時代観をめぐる論争や、生活で使われた実用品か象徴的な儀礼品かという論争もあるそうだよ。
たけし:研究の進展によって、教科書の記述も変わることがあるみたい。姉さんの教科書とは、原始の箇所は、年代などの記述が変わっていて驚いたよ。
かずこ:弥生時代には、人間を殺傷する武器や、防御機能を持った( ア )が出現しているから、戦いが始まり、戦士が誕生したと言えるよね。
たけし:中世以後に台頭する武士は戦士だと思うけど、b 武器を持つからといって必ずしも戦士と言うわけではないよね。
かずこ:豊臣秀吉は有名な法令で、「諸国百姓」から武器を没収する理由として、京都の方広寺に大仏を造立するとか言っているけど、百姓は農民を中心とするしね。
たけし:方広寺と言えば、徳川氏にも目をつけられて、同寺の( イ )が問題にされるんだけど、これも建前だと言われがちだよ。
かずこ:大仏造立という名目で、百姓から刀を取り上げたけど、江戸時代の農民は鳥獣駆除のために鉄砲は持っていたらしいね。
図 神子柴遺(みこしば)跡出土の石器
省略
かずこさんたけしさんのメモ
・神子柴遺跡(長野県上伊那(かみいな)郡 南箕輪(みなみみのわ)村)出土
・全長25.1cm(注1)
・約1万6000年前
・下呂(げろ)石(注2)製
・神子柴遺跡からは他に黒曜石で作られた尖頭器や、石斧など大型の石器が、狭い空間からまとまって出土している。
(注1)全長25.1cm:通常の尖頭器は、10cm前後である。
(注2)下呂石:岐阜県地域で産出する石。
下線部bに関連して、次の史料1は、天台座主であった良源(りょうげん)が、970年に作成した「二十六箇条起請(きしょう)」(誓約)の一部である。史料1と当時の社会に関して述べた後の文X・Yについて、その正誤の組合せとして正しいものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
史料1
一 応(まさ)に兵仗(注1)を持(もち)て僧房に出入りし山上を往来せる者を尋ね捕らえて、公家(こうけ)(注2)に進(まい)らすべき事
右、兵器はこれ在俗武士の持つところにして、経巻はこれ出家行人(ぎょうにん)の翫(もてあそ)ぶところなり(注3)。(中略)しかるに聞くならく、ある僧等、党を結びて群を成し、恩を忘れて怨に報い、懐中に刀剣を挿し著して、恣(ほしいまま)に僧房に出入りし、身上に弓箭(ゆみや)を帯持して、猥(みだり)に戒地(かいち)(注4)を往還す。(中略)暴悪の身に遍(あまね)きこと、なお酔象(すいぞう)(注5)に同じ。
(「廬山寺文書」)
(注1)兵仗:兵器。武器。
(注2)公家:朝廷。
(注3)経巻はこれ出家行人の翫ぶところなり:仏教の経典は、出家修行者が取り扱うものである。
(注4)戒地:戒律を守るべき聖域。延暦寺を指す。
(注5)酔象:酒に酔った象。悪事のたとえ。
X 史料1によれば、良源は、武器を携行して僧房に出入りし、比叡山を往来する者は捕らえるとしている。
Y 当時の比叡山の僧兵たちは、朝廷に対抗するために、神輿をおしたてて強訴を繰り返していた。
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問題
大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和4年度(2022年度)追・再試験 問36(日本史B(第1問) 問3) (訂正依頼・報告はこちら)
A
たけし:原始社会の狩猟民も戦士と言って良いなら、図の石器は、戦士の武器と言えるかな。
かずこ:精巧な作りだね。教科書で石槍の先とされているものと同じ形だけど、ずいぶん大きい。a 図の石器をめぐっては、いろいろ論争があるらしい。旧石器時代なのか縄文時代なのかという時代観をめぐる論争や、生活で使われた実用品か象徴的な儀礼品かという論争もあるそうだよ。
たけし:研究の進展によって、教科書の記述も変わることがあるみたい。姉さんの教科書とは、原始の箇所は、年代などの記述が変わっていて驚いたよ。
かずこ:弥生時代には、人間を殺傷する武器や、防御機能を持った( ア )が出現しているから、戦いが始まり、戦士が誕生したと言えるよね。
たけし:中世以後に台頭する武士は戦士だと思うけど、b 武器を持つからといって必ずしも戦士と言うわけではないよね。
かずこ:豊臣秀吉は有名な法令で、「諸国百姓」から武器を没収する理由として、京都の方広寺に大仏を造立するとか言っているけど、百姓は農民を中心とするしね。
たけし:方広寺と言えば、徳川氏にも目をつけられて、同寺の( イ )が問題にされるんだけど、これも建前だと言われがちだよ。
かずこ:大仏造立という名目で、百姓から刀を取り上げたけど、江戸時代の農民は鳥獣駆除のために鉄砲は持っていたらしいね。
図 神子柴遺(みこしば)跡出土の石器
省略
かずこさんたけしさんのメモ
・神子柴遺跡(長野県上伊那(かみいな)郡 南箕輪(みなみみのわ)村)出土
・全長25.1cm(注1)
・約1万6000年前
・下呂(げろ)石(注2)製
・神子柴遺跡からは他に黒曜石で作られた尖頭器や、石斧など大型の石器が、狭い空間からまとまって出土している。
(注1)全長25.1cm:通常の尖頭器は、10cm前後である。
(注2)下呂石:岐阜県地域で産出する石。
下線部bに関連して、次の史料1は、天台座主であった良源(りょうげん)が、970年に作成した「二十六箇条起請(きしょう)」(誓約)の一部である。史料1と当時の社会に関して述べた後の文X・Yについて、その正誤の組合せとして正しいものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
史料1
一 応(まさ)に兵仗(注1)を持(もち)て僧房に出入りし山上を往来せる者を尋ね捕らえて、公家(こうけ)(注2)に進(まい)らすべき事
右、兵器はこれ在俗武士の持つところにして、経巻はこれ出家行人(ぎょうにん)の翫(もてあそ)ぶところなり(注3)。(中略)しかるに聞くならく、ある僧等、党を結びて群を成し、恩を忘れて怨に報い、懐中に刀剣を挿し著して、恣(ほしいまま)に僧房に出入りし、身上に弓箭(ゆみや)を帯持して、猥(みだり)に戒地(かいち)(注4)を往還す。(中略)暴悪の身に遍(あまね)きこと、なお酔象(すいぞう)(注5)に同じ。
(「廬山寺文書」)
(注1)兵仗:兵器。武器。
(注2)公家:朝廷。
(注3)経巻はこれ出家行人の翫ぶところなり:仏教の経典は、出家修行者が取り扱うものである。
(注4)戒地:戒律を守るべき聖域。延暦寺を指す。
(注5)酔象:酒に酔った象。悪事のたとえ。
X 史料1によれば、良源は、武器を携行して僧房に出入りし、比叡山を往来する者は捕らえるとしている。
Y 当時の比叡山の僧兵たちは、朝廷に対抗するために、神輿をおしたてて強訴を繰り返していた。
- X:正 Y:正
- X:正 Y:誤
- X:誤 Y:正
- X:誤 Y:誤
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