大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和4年度(2022年度)追・再試験
問59 (日本史B(第6問) 問1)

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問題

大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和4年度(2022年度)追・再試験 問59(日本史B(第6問) 問1) (訂正依頼・報告はこちら)

日本史の授業で、アキコさんの班は、近現代における日本と世界の関係についてまとめることになった。発表Aを読み、後の問いに答えよ。(史料は、一部省略したり、書き改めたりしたところもある。)

A アキコさんの発表
私は、1915年に行われた中国政府への二十一か条の要求が重要だと考えました。この要求以後、日本外交は中国及び列強との間で深刻な対立を抱えることになったのではないかと考えています。a 二十一か条の要求を受けて、中国では日本への反感が強まり、反日運動が起きました。日本でもb 1910~20年代は、それまでの時代に比べて、大衆の力が大きくなった時代です。大衆運動が外交に与えた影響について、さらに調べていきたいと思います。

アキコさんは、下線部aに関して、吉野作造が書いた次の史料を紹介した。この史料に関して述べた後の文X・Yについて、その正誤の組合せとして正しいものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。

史料
・予一己の考では、仮に我国が第五項の要求事項を削らなかつたとしても、英国は別段八釜(やかま)しい異議は唱へなかつたらうと思ふ。(中略)之等(これら)の点を合はせ考ふると、英国が多少の譲歩を日本に致すといふことは、決して望み得ないことではない。
・予は今度の対支要求は、皮相的に見れば、或(あるい)は支那(注)の主権を侵害し、或は支那の面目を潰したやうな点もあるが、帝国の立場から見れば、大体に於(おい)て最小限度の要求である。
(『日支交渉論』)
(注)支那:当時用いられた中国の呼称。

X  吉野作造は「今度の対支要求」に否定的ではない。
Y  吉野作造はイギリスの日本に対する不信感が高まることを心配している。
  • X:正  Y:正
  • X:正  Y:誤
  • X:誤  Y:正
  • X:誤  Y:誤

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この過去問の解説 (1件)

01

この問題では、1915年に日本が中国に対して出した「二十一か条の要求」に対する吉野作造の考え方を読み取ります。

 

 

 

まず、史料に書かれている内容を簡単にまとめます。

 

・吉野作造は、「日本が中国に対して出した要求は、中国の主権を侵したり、面目をつぶしたりする部分もあるけれど、日本にとっては最小限度の要求である」と言っています。

・また、「イギリスは特に大きな反対はしないだろうし、むしろ譲歩も可能である」と述べています。

 

 

それぞれの文について正しいか誤りかを確認しましょう。

 

X 「吉野作造は『今度の対支要求』に否定的ではない。」

この文は正しいです。
史料で吉野作造は、「日本にとっては最小限度の要求」と言っています。

つまり、大きく否定的ではありません。

 

Y 「吉野作造はイギリスの日本に対する不信感が高まることを心配している。」

この文は誤りです。
吉野作造はむしろ「イギリスはそれほど反対せず、譲歩も期待できる」としています。

不信感が高まることを心配しているわけではありません。

 

 

以上から正しい組み合わせは次の通りです。

X:正 Y:誤

選択肢1. X:正  Y:正

誤りです。

選択肢2. X:正  Y:誤

正しいです。

選択肢3. X:誤  Y:正

誤りです。

選択肢4. X:誤  Y:誤

誤りです。

まとめ

吉野作造は「二十一か条の要求」を完全に否定してはいませんが、中国の主権に影響があることも認めています。

一方、イギリスの反応については、あまり問題視していないという考えを示しています。

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