大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和4年度(2022年度)追・再試験
問76 (地理B(第2問) 問5)

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問題

大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和4年度(2022年度)追・再試験 問76(地理B(第2問) 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

ゲンさんたちは、地理の授業で製造業のグローバル化について探究した。ゲンさんたちが探究したことに関する次の問いに答えよ。

ゲンさんたちは、製造業において知的財産の役割が大きくなっていることを知り、次の図に、いくつかの国における知的財産使用料の受取額と支払額との関係を1人当たりGNI(国民総所得)別に示した。図を見たゲンさんたちの会話文中の下線部①~④のうちから、誤りを含むものを一つ選べ。

先生 「製造業では、特許権や商標権などの知的財産の保護が重要になり、知的財産使用料の受取りや支払いという形で国際的に取引されていますね。図からどんなことが考えられるかを話し合ってみましょう」
ゲン 「所得水準が相対的に低い国では、受取額よりも支払額の方が多いね。先進工業国の特許を使って生産をするようになったからかな」
リョウ 「所得水準が相対的に高い国には、受取額と支払額ともに多い国もあるね。先進工業国間での取引も多いことを反映しているからかな」
ナオコ 「所得水準が高いけど受取額が少ない国もあるよ。取引相手となる国との経済連携協定を結んでいないからかな」
先生 「特許などは、企業が外国の生産拠点で使った際にも支払いが必要ですね」
ケイタ 「所得水準が高い国の方が受取額も多くなる傾向があるね。先生の話をふまえると、先進工業国の多国籍企業が増加しているからかな」
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この過去問の解説 (3件)

01

この問題は、知的財産(特許権・商標権など)と国際取引の関係について、図をもとに4人の生徒の発言のうち「誤りを含むもの」を1つ選ぶというものです。図は、各国のGNI(国民総所得)と、知的財産の受取額・支払額の関係を示しており、これを踏まえて発言の正誤を判断します。

 

選択肢1. ①

正しい内容です。先進国の技術や特許を使って製造することが多いため、使用料の支払いが増えるという説明は適切です。


 

選択肢2. ②

正しい内容です。技術開発力の高い先進国同士が、お互いに特許を使い合う構造があるため、受取も支払いも多くなる国が存在します。


 

選択肢3. ③

誤りを含む発言です(正解)。経済連携協定(EPA)は関税の削減や投資保護などを含みますが、知的財産の「受取額の多さ」には直接的な影響を与えません。受取額が少ないのは、その国が特許やブランドなどの知的財産をあまり保有していないからと考えるのが自然です。


 

選択肢4. ④

正しい内容です。多国籍企業が自国の技術を外国の拠点で利用することにより、知的財産の使用料を本国で受け取る構図になります。


 

まとめ

覚えておくポイント

知的財産の受取額が多い国:
 技術・ブランド力のある先進国(特許保有国)

支払額が多い国:
→他国の特許を使って生産している発展途上国・新興国

多国籍企業が増えると、受取額が本国に集中する傾向が強まります。

経済連携協定(EPA)は貿易全体の円滑化が目的で、知的財産の「受取額」には直接関係しにくいです。


 


 

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02

知的財産使用料の受取額支払額との関係を1人当たりGNI(国民総所得)別に示した図を読み取る出題です。縦軸が受取額、横軸が支払額、ドットマップで示されている点がGNIとなっています。

選択肢1. ①

適切です。GNIが低い国は支払額が受取額を上回る点が多くみられます。GNIが高い国から特許を得て(低い国は支払って)、製造する構図です。


 

選択肢2. ②

適切です。GNIが高い国においても受取額と支払額両方とも大きい点が見られます。先進国同士でも取引が多いことを反映しています。


 

選択肢3. ③

不適です。経済連携協定との直接的な関係は読み取れません。


 

選択肢4. ④

適切です。GNIが高い国ほど受取額が大きい傾向にあります。自国の企業を、人件費等コストが安い海外に拠点を移し、受け取りを増やしていることを反映しています。


 

まとめ

ある指標を縦軸と横軸に分けて表現している図版の読み取りです。テーマが「知的財産権」という馴染みのないテーマですが、発展途上国と先進国の特徴を読み取ることができれば、考えやすい出題です。

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03

図には、横軸に知的財産使用料の支払額、縦軸に受取額、マークの形で1人当たりGNIの高低が示されています。

全体の傾向から判断すると、③の説明にある「経済連携協定を結んでいないこと」が受取額の少なさの主因とは言えません。

他の3つは図の特徴と合っています。

選択肢1. ①

正しいです。

GNIが低い国は支払額が受取額を上回る点が多く、先進国から特許を借りて製造する構図と一致します。

選択肢2. ②

正しいです。

GNIが高い国の中には支払額も受取額も大きい点があり、先進国同士で特許をやり取りしている様子が読み取れます。

選択肢3. ③

GNIが高いのに受取額が小さい国が存在するのは、国内企業の研究開発力や産業構成の違いが主な要因です。

経済連携協定(EPA)がないことは知的財産の“受取り”を直接左右しにくく、この説明は適切ではありません。

選択肢4. ④

GNIが高い国ほど受取額が大きい傾向があり、多国籍企業が自国の特許を海外拠点で活用して受取りを増やしていると考えられます。

まとめ

図からは、

①低所得国は特許を借りる側になる

②先進国同士でも特許取引が盛ん

④多国籍企業の活動が受取額を押し上げる

といった傾向が読み取れます。

一方、③のようにEPAの有無で受取額が決まるとは言えず、この発言だけが誤りを含んでいます。

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