大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和6年度(2024年度)本試験
問15 (世界史B(第2問) 問6)

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問題

大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和6年度(2024年度)本試験 問15(世界史B(第2問) 問6) (訂正依頼・報告はこちら)

世界史における諸勢力の支配や拡大について述べた次の文章を読み、後の問いに答えよ。

次の資料は、朝鮮戦争における休戦交渉に先立って、スターリンが毛沢東に宛てて発した電報の一部である。(引用文には、省略したり、改めたりしたところがある。)

資料
我々の見解では、休戦交渉を行うため、( イ )の代表らと会うのに同意するということを、その最高司令官に早く回答する必要がある。この回答は、( ウ )の司令官及び朝鮮民主主義人民共和国軍の最高司令官によって署名されなければならない。もし、( ウ )の司令官が署名しなければ、アメリカは、我々の回答文に対して、いかなる意義も付与しないであろう。会談場所については、38度線上で行われるべきことを主張しなければならない。現在、我々が休戦問題で主導権を取っているのをいかして、会談場所の問題に関して、( イ )側が譲歩するように仕向けるべきであろう。

この戦争は、( ウ )が派遣されて戦闘に加わることとなった結果、実質的に中国とアメリカ合衆国との間の「熱い戦争」へとその性格が変わっていった。開始される休戦交渉が実質を伴う協議であることを、まずは敵にきちんと示すべきだとして、スターリンは、資料の前半に見えるような指示を毛沢東に与えたと理解される。
ヨーロッパでくすぶりだした東西勢力の対立は、1948年2月に( エ )で共産党のクーデタが起こって同党が政権を掌握したこと、及び同年にソ連がベルリンを封鎖したことなどによって決定的となった。そして朝鮮戦争をきっかけに、それはついに世界化してしまったのである。こうした状況を受けて、アメリカ合衆国は、アジア圏で社会主義国がさらに増加することを阻止しようとして、b アジア・太平洋地域においても安全保障体制の構築を目指したのである。
一方、この戦争は中国の社会主義化を加速させる契機ともなった。毛沢東は中華人民共和国建国当初から「ソ連一辺倒」の外交方針を打ち出していたが、内政面においてもソ連に倣って社会主義国家の建設を急ぐようになった。経済政策においては、c ソ連をモデルにして、第1次五か年計画が立案され、朝鮮戦争の休戦協定が成立した年に実行された

文章中の空欄( イ )と( ウ )に入れる語と、下線部bのためにアメリカ合衆国も参加して結成された国際組織の名との組合せとして正しいものを、次のうちから一つ選べ。
  • イ:国連軍  ウ:人民義勇軍  国際組織:東南アジア諸国連合(ASEAN)
  • イ:国連軍  ウ:人民義勇軍  国際組織:東南アジア条約機構(SEATO)
  • イ:人民義勇軍  ウ:国連軍  国際組織:東南アジア諸国連合(ASEAN)
  • イ:人民義勇軍  ウ:国連軍  国際組織:東南アジア条約機構(SEATO)

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この過去問の解説 (1件)

01

「イ:国連軍 ウ:人民義勇軍 国際組織:東南アジア条約機構(SEATO)」が正解です。

 

朝鮮戦争では、休戦交渉の相手として国連軍の代表を想定し、回答文には中国側部隊である人民義勇軍の司令官も署名するよう求められました。

その後、共産圏拡大を警戒したアメリカは、アジア・太平洋での集団防衛体制としてSEATOを発足させました。

選択肢1. イ:国連軍  ウ:人民義勇軍  国際組織:東南アジア諸国連合(ASEAN)

ASEANは1967年に経済・政治協力を目的に発足した組織で、朝鮮戦争直後の「共産主義封じ込め」体制とは趣旨が異なります。

選択肢2. イ:国連軍  ウ:人民義勇軍  国際組織:東南アジア条約機構(SEATO)

国連軍はアメリカ・イギリスなど多国籍部隊、人民義勇軍は中国軍の建前上の名称であり、休戦交渉の当事者を正しく示します。

SEATO(1954年設立)は共産拡大阻止を目的とする軍事同盟で、下線部bの説明と一致します。

最も適当です。

選択肢3. イ:人民義勇軍  ウ:国連軍  国際組織:東南アジア諸国連合(ASEAN)

交渉相手として人民義勇軍側が会談場所を主張する筋立てが不自然になります。

ASEANも時期・目的が合いません。

選択肢4. イ:人民義勇軍  ウ:国連軍  国際組織:東南アジア条約機構(SEATO)

会談相手を人民義勇軍代表としてしまうと、署名を求める順序が逆転します。

主導権を握るのは中朝側ではなく国連軍側であるため文脈に合いません。

まとめ

(イ)国連軍は米英を中心とした多国籍軍で、休戦交渉の正式な相手方でした。

(ウ)人民義勇軍は中国が派遣した部隊で、国際法上の直接参戦を避けた呼称です。

SEATOは共産主義拡大を抑える目的で米国が主導し、フィリピン・タイ・オーストラリアなどが加盟しました。
これらを踏まえると、朝鮮戦争は東西対立をアジアに広げ、地域安全保障の枠組み形成を促した出来事であったことが分かります。

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