大学入学共通テスト(国語) 過去問
令和4年度(2022年度)追・再試験
問32 (第4問(漢文) 問5)
問題文
(注1)秦文公 ―― 春秋時代の諸侯の一人で、秦の統治者。
(注2)陳倉 ―― 地名。現在の陝西(せんせい)省にあった。
(注3)南陽 ―― 地名。現在の河南省と湖北省の境界あたりにあった。
(注4)陛下本封秦 ―― 太宗は即位以前、秦王の位を与えられていた。唐の長安も春秋時代の秦の領地に含まれる。
(注5)上 ―― 太宗。
(注6)陳宝 ―― 童子が変身した雉を指す。
(注7)猶得白魚便自比武王 ―― 周の武王が船で川を渡っていると、白い魚が船中に飛び込んできた故事を踏まえる。その後、武王は殷(いん)を滅ぼして周王朝を開き、白魚は吉兆とされた。
(注8)諂妄 ―― こびへつらうこと。
(注9)愚瞽 ―― 判断を誤らせる。
(注10)史 ―― 史官。歴史書編集を担当する役人。
(注11)魏徴 ―― 太宗の臣下。
(注12)高宗鼎耳之祥 ―― 殷の高宗の祭りの時、鼎(かなえ)(三本足の器)の取っ手に雉がとまって鳴き、これを異変と考えた臣下が王をいさめた故事。後に見える「鼎雊」もこれと同じ。「雊」は雉が鳴くこと。
傍線部C「野鳥無故数入宮」について、返り点の付け方と書き下し文との組合せとして最も適当なものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。

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問題
大学入学共通テスト(国語)試験 令和4年度(2022年度)追・再試験 問32(第4問(漢文) 問5) (訂正依頼・報告はこちら)
(注1)秦文公 ―― 春秋時代の諸侯の一人で、秦の統治者。
(注2)陳倉 ―― 地名。現在の陝西(せんせい)省にあった。
(注3)南陽 ―― 地名。現在の河南省と湖北省の境界あたりにあった。
(注4)陛下本封秦 ―― 太宗は即位以前、秦王の位を与えられていた。唐の長安も春秋時代の秦の領地に含まれる。
(注5)上 ―― 太宗。
(注6)陳宝 ―― 童子が変身した雉を指す。
(注7)猶得白魚便自比武王 ―― 周の武王が船で川を渡っていると、白い魚が船中に飛び込んできた故事を踏まえる。その後、武王は殷(いん)を滅ぼして周王朝を開き、白魚は吉兆とされた。
(注8)諂妄 ―― こびへつらうこと。
(注9)愚瞽 ―― 判断を誤らせる。
(注10)史 ―― 史官。歴史書編集を担当する役人。
(注11)魏徴 ―― 太宗の臣下。
(注12)高宗鼎耳之祥 ―― 殷の高宗の祭りの時、鼎(かなえ)(三本足の器)の取っ手に雉がとまって鳴き、これを異変と考えた臣下が王をいさめた故事。後に見える「鼎雊」もこれと同じ。「雊」は雉が鳴くこと。
傍線部C「野鳥無故数入宮」について、返り点の付け方と書き下し文との組合せとして最も適当なものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。

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この過去問の解説 (2件)
01
傍線部Cを含む一文を手掛かりとして考えます。
傍線部Cの直後に「此レ乃チ災異ナリ」とあり、「これは災異(=災害)だ」と訳すことができます。
その「災異」の内容が傍線部Cに書かれています。
漢字から
「野鳥」→雉
「入宮」→王宮に入る
と考えられます。
また「故」は「理由」「しかるべきこと」という意味を持ちます。
傍線部Cは
「数多く(または、何度も)雉が理由なく王宮に入ること」という内容で、
一文を訳すと「しばしば雉が理由なく王宮に入ることは災異だ」となります。
それでは選択肢を検討しましょう。
書き下し文は「王宮に入る野鳥を数えることに理由はない」という意味になり、「災異」の内容にはあたりません。
この選択肢は誤りです。
書き下し文は「野鳥がわざわざ数えることなく王宮に入る」という内容になり、意味が通りません。
この選択肢は誤りです。
書き下し文は「野鳥が理由なく頻繁に王宮に入る」という内容です。
「災異」としての意味が通るため、この選択肢が正解です。
書き下し文は「野鳥がいないのは、以前から何度も王宮に入っていたからである」という内容で、意味が通りません。この選択肢は誤りです。
書き下し文は「野鳥がわざわざ何度も王宮に入ることはない」という内容になり、意味が通りません。
この選択肢は誤りです。
周辺の字から手掛かりになりそうなものを探して解いていきましょう。
特に指示語がある場合は、その内容を明らかにしながら文脈を把握することが大切です。
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02
傍線部Cの直後を見ると、「此れ乃ち災異なり」とあります。
「これは災いである」という意味です。
「此れ」とあるので、直前の傍線部Cの内容が「災異」であるとわかります。
漢字と傍線部の前までの内容から「災異」の内容を推測してみましょう。
「野鳥」「入」「宮」という漢字は、問題文はじめの「唐の王宮の中に雉が集まってくる」という内容を指していると考えられます。
残りの漢字のうち、「故」は現代語から予想できる通り、「理由」という意味があります。
「故」と「無」で「理由がない」ことを述べていると予想できます。
最後の「数」は「野鳥」の数を指していると予想を立てておきましょう。
このことから、傍線部Cとその直前の部分では、「『野鳥』が『理由もなく』『数』多く『宮』に『入』ることは『災異』である」と述べているとわかります。
このことをふまえて選択肢を見てみましょう。
宮に入る野鳥の数を数えることに理由がない、という内容です。
直後の「これは災いである」という内容とつながらないため、誤りです。
野鳥がさらに数えることなしに宮に入る、という内容ですが、これでは文脈が通らないため、誤りです。
野鳥が理由もなく頻繁に宮に入る、という内容です。
文脈も通っており、前後の内容とも合致するため、この選択肢が最も適当なものです。
野鳥がいないのは以前からたびたび宮に入ったからである、という内容です。
「野鳥がいない」は、ここまでの内容と合致しないため、誤りです。
野鳥がさらに頻繁に宮に入ることはない、という内容ですが、これでは文脈が通らず、ここまでの内容とも合致しないため、誤りです。
傍線部の直後の指示語に注目しましょう。
語句の意味の全てを知っていなくても、漢字と前後の内容を手がかりに解くことができます。
漢字の意味から予想できることと、前後の内容との整合性がとれるかどうかで選択肢を絞りこみましょう。
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