看護師の過去問
第104回
午前 問111

正解は「2」です。

1 . ×
帝王切開よりも自然なお産をしたかったと思うAさんの気持ちは自然なことであり、精神科の受診を勧める必要はありません。

2 . 〇
自身のお産に対してやりきれない気持ちを抱えているAさんに対して、妊娠期からの振り返りを一緒に行い気持ちの整理を行うことは有効な支援です。妊娠期からの振り返りを行うことによって、様々な時期を乗り越えながら赤ちゃんをお腹の中で育て新しい命を誕生させた実感や達成感を得てもらうことができます。

3 . ×
一度帝王切開で出産した場合、次の出産で経腟分娩が可能でないケースもあります。
また帝王切開であっても経腟分娩と変わらず立派なお産であることを伝えることが大切です。

4 . ×
妊娠や出産についての考えや気持ちは千差万別です。AさんにはAさんへの出産の振り返りを行うことが大切です。

正解は　2　です


1：×
帝王切開で出産した方が自然分娩をしたかった、と考えることは決して異常なことではなく、ごく自然なことです。
それによって、生まれた子のお世話を放棄したり、虐待に走ったりするのであれば別かもしれませんが、わざわざ精神科を受診するほどの常軌を逸した発言ではありません。


2：○
妊娠期から検診を経て、いざ出産までの経緯や道のりを振り返ることで、間違いなく自分自身が妊娠し、おなかの中で胎児を育て、その成長を見守り、出産に至ったのだと実感してもらうことができます。

この振り返りは帝王切開の方だけではなく、自然分娩の方もこの時期にこういった振り返りを行います。
それによって、自分が母親になったことを改めて実感し、ご自分の中で整理していただき、この後の子育てに向けて心構えを行うのです。

産み落とせばそれで自動的に母親になるのではなく、こういった気持ちの整理を行い、前向きになることで赤ちゃんと向き合うための準備を母親も行うことが重要なのです。


3：×
一度、帝王切開にて出産している場合、子宮に傷跡があることで、その部分の柔軟性が低くなり、自然分娩時の子宮の収縮する力に耐えきれず、傷跡の部分から裂け、子宮破裂を引き起こす危険性があります。

帝王切開後も自然分娩を希望する場合、初回の帝王切開時から次回の分娩を見据えて切る場所や傷の入り方を厳重に調整し、医師と相談の下、進める必要があります。
看護師が気軽に帝王切開の次の自然分娩を勧めていいものではありません。


4：×
どういった経緯で帝王切開に至ったか、そしてその後の受け止め方がどうかはその患者さんそれぞれです。
他の帝王切開の方の話を聞いたところで、ご本人が受け入れられていない状態では、他人の話を飲み込みも納得もできません。
この選択肢はAさん自身にも、その数日前に帝王切開された褥婦さんにもどちらも、デメリットの方が大きい提案といえるでしょう。

設問から自然妊娠で出産していないことで、自身を責めいている発言は聞かれますが、精神科の受診が必要な程度ではありません。よって１．は×です。
この時期の関わりとしては、分娩の振り返りが必要な時期であるため２．が適切。

３．についても次回の妊娠予定があるか分からない段階ですし、帝王切開をしている既往があることから、子宮破裂のリスクも伴なうためこちらも×です。

４．についてはなぜ帝王切開になったのか経緯は分からないので、褥婦と話をすることが解決につながるとは限らないので、やはり×です。