看護師の過去問
第105回
午前 問105

正解は４です。

１．誤り。性器ヘルペスは単純ヘルペスの感染により、性器や性器周囲の皮膚に水疱や潰瘍が形成される疾患です。
設問の事例では外陰部の皮膚に異常はないことから、この感染症には該当しません。

２．誤り。尖形コンジローマはヒトパピローマウイルスの感染により、性器や性器周辺の皮膚に乳頭状、鶏冠状の病変が出現する疾患です。
設問の事例では外陰部の皮膚に異常はないことから、この感染症には該当しません。

３．誤り。膣トリコモナス症はトリコモナス原虫が膣や膀胱内に寄生し、炎症を起こす疾患です。女性は泡状の黄緑色で臭気のある帯下が出ます。
設問の事例は白色帯下が増えていることから、この感染症には該当しません。

４．正解。性器クラミジア感染症はクラミジア菌の感染により、男性は尿道炎や排尿痛などの自覚症状を呈し、女性は子宮頸管炎や不妊などを起こします。しかし、男性に比べて女性は自覚症状に乏しい場合があります。
外陰部に腫瘤がみられず、掻痒感や痛みがないこと、下腹部痛以外の自覚症状に乏しいことから、この感染症が考えられます。

1 . 性器ヘルペス
×不正解
性器ヘルペスは単純ヘルペスに感染する事により発症します。初感染では強い痛みと共に潰瘍を形成します。一度感染すると神経節に潜伏します。体力が落ちた時などに再活性化します。また、無症状でも
性器の粘膜や分泌液中にウイルスが存在する場合には感染するので注意が必要です。

Aさんは痛みがないということなので性器ヘルペスではありません。

2 . 尖圭コンジローマ
×不正解
ヒトパピローマウイルス（HPV)に感染する事によって発症します。先の尖った乳頭状の独特な形をしたイボが性器や肛門周囲に現れます。ほとんどの場合痛みやかゆみはありません。

Aさんは外陰部に腫瘤はみられない、という事なので尖圭コンジローマではありません。

3 . 腟トリコモナス症
×不正解
腟トリコモナス症原虫が寄生することにより発症します。性交渉が主な感染経路ですが、下着、タオル、トイレの便座、浴槽でも感染の可能性があります。
女性の症状は症状がない人も居ますが、症状がある人は泡状の悪臭のする帯下の増加、外陰部や膣の強いかゆみや痛みなどがあります。腟トリコモナス症原虫は膣だけではなく子宮頚管、膀胱、尿道にも感染します。治療をしないでいると不妊症や流産・早産の可能性もあります。

Aさんは白色帯下が増えたものの悪臭はなく、痛みやかゆみがないため、腟トリコモナス症ではありません。

4 . 性器クラミジア感染症
○正解
クラミジア菌に感染する事で発症します。女性ではほとんどの人に自覚症状がありません。放置することで卵管炎などを起こして不妊症の原因になります。
帯下の変化、排尿痛などの違和感がある時には受診をするように勧められます。

Aさんには白色帯下の増加、時々下腹部の痛みという症状のほかはあまり症状がないため、性器クラミジア感染症が最も考えられる性感染症です。よって、正解となります。

性器クラミジア感染症の症状は帯下が増えますが、初期症状は自覚症状が乏しいです。子宮頚管炎や子宮内膜炎などを起こします。