看護師の過去問
第105回
午前 問112

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問題

看護師国家試験 第105回 午前 問112 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み、問いに答えよ。

Aさん(42歳、男性)は、全身倦怠感を訴え病院を受診したところ、肝機能障害が認められ内科に入院した。Aさんは大量飲酒を長期間続けており、アルコール依存症(alcohol dependence)が疑われた。内科医からの依頼で精神科医が診察をしたときは、Aさんは意識清明で見当識障害はなかった。妻とは不仲であり、半年前に仕事で大きなトラブルがあったため、朝から飲酒するようになり飲酒量はさらに増えていた。

入院後2日、夜間にAさんは「壁や布団に虫がたくさんいる」と訴え、興奮して眠らなかった。
考えられるのはどれか。
  • 振戦せん妄
  • アルコール幻覚症
  • レム睡眠行動障害
  • 急性アルコール中毒(acute alcohol intoxication)

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この過去問の解説 (3件)

01

1 . 振戦せん妄
○正解
振戦せん妄は、アルコールの離脱症状の一つで、幻覚、失見当職、精神運動興奮、発汗などの著名な自律神経機能亢進(頻脈、高血圧など)、全身性の粗大な振戦などの症状があわられます。精神症状と身体症状が現れます。症状が夜間に悪化するのが特徴です。
大量のアルコール摂取を中止または減量してから2~4日目頃に出現し、3~4日で回復します。

Aさんは入院後2日目であること、幻覚、精神的興奮の症状が出ているため、振戦せん妄であると言えます。よって、正解です。

2 . アルコール幻覚症
×不正解
長期間、大量のアルコール摂取することにより生じる幻聴や被害妄想などの精神障害です。アルコールを中止ないしは減量後24~48時間以内に出現しますが、飲酒中に出現する事もあります。
意識清明なのに、幻覚、幻聴、被害妄想・追跡妄想が起こります。

アルコール幻覚症は後者は入院したアルコール依存症患者の約20%に生じ、死亡率は大きくありません。対して、振戦せん妄はアルコール依存症者の5~10%が発症し、死亡率が治療が伴えば最大15%、未治療で最大は35%と死亡率が高い事が大きな違いです。

Aさんは幻視が出ていますが、同時に興奮状態も出ているため、アルコール幻覚症ではありません。よって、不正解です。

3 . レム睡眠行動障害
×不正解
レム睡眠行動障害とは、浅い眠りの状態(レム睡眠)で見る夢の内容が行動化するものです。大きな声を出したり、体が動いたりします。
加齢と共に増加し、パーキンソン病やレビー小体型認知症の前駆症状として起こることがわかってきています。

Aさんには夢を見て興奮しているわけではないので、不正解です。

4 . 急性アルコール中毒
×不正解
急性アルコール中毒とは短時間に多量のアルコールを摂取することによって起こる中毒です。意識を喪失し、死に至ることもあります。

Aさんは入院中で、アルコールを摂取していないと考えられるため、不正解です。

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02

正解は1です。

1.正解。振戦せん妄はアルコール離脱症状の一つであり、断酒後12時間以内に発現し、2日後に症状がもっとも強くなります。頻脈や発汗、振戦などの自律神経系の亢進症状や、一過性の幻視や幻聴を伴います。

2.誤り。アルコール幻覚症はアルコール離脱症状の一つであり、断酒後12〜48時間以内に発現し、幻視や幻聴、それに伴う被害妄想などが症状です。
振戦せん妄との区別は被害妄想を特徴とする所です。

3.誤り。レム睡眠行動障害はレム睡眠中に体が動き、複雑な異常行動を呈するものです。睡眠障害の一種で、睡眠中に起こるため、設問の事例とは異なります。

4.誤り。急性アルコール中毒は短時間に多量のアルコール摂取により、血中アルコール濃度が上昇し、意識障害や呼吸機能障害を呈するものです。

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03

振戦せん妄は断酒後2日目に最も症状が強くでます。発汗、頻脈、幻聴、幻覚などの症状が現れます。アルコール幻覚症は断酒後12時間~24時間後に症状がでます。

参考になった数0