分娩とは、単に「赤ちゃんが生まれること」だけを指すのではなく、
「胎児とその付属物(胎盤、卵膜、臍帯、羊水)が陣痛や腹圧によって子宮から母体外に排出される生理現象」のことを言います。
分娩第1期(陣痛発来~子宮口全開大)
陣痛が発来した時点(周期的かつ増強して胎児娩出まで持続する陣痛が開始した場合に、周期が約10分あるいは頻度が1時間に6回以上になった時点)から分娩題1期が始まります。ここでは陣痛が徐々に増強するにつれ、胎児の下降が始まり、子宮口が10㎝まで開き全開大します。
分娩第2期(子宮口全開大~胎児娩出)
子宮口全開大になると、胎児は骨盤に合わせてさらに回旋し、産道も変化していきます。児頭の圧迫に腹圧が加わり、排臨・発露を経て胎児娩出に至ります。
分娩第3期(胎児娩出~胎盤娩出)
児娩出後も子宮収縮は繰り返され、やがて子宮壁から胎盤が剥離し、卵膜や臍帯と一緒に母体外へ娩出されます。胎盤娩出が「分娩」の終了です。胎盤娩出後から2時間までの間を分娩第4期と呼ぶ場合があります。
1.発露とは、児頭が陣痛間欠時にも露出して後退しなくなることです。
つまり、赤ちゃんの頭が出たままの状態になっていることです。
児頭が急に会陰を通過すると、会陰に裂傷を起こすことがあるため、いき
むのをやめて短息呼吸(息を短く吐き出す)をします。
2.排臨とは、児頭が陣痛発来時に陰裂間に現れ、間欠時に後退することを言
います。このように一進一退することを言います。
3.胎盤の娩出とは、胎児が娩出されると後陣痛が起こり、子宮壁にぴったり
張り付いていた胎盤がはがれて外に押し出されます。また、このときの子
宮収縮によって子宮内膜の血管が閉じ、余分な出血も防ぎます。出血量と
性状に注意します。
4.児頭の娩出は、そのままで赤ちゃんの頭が出てくることです。
5.赤ちゃんが産まれそうになると、出口となる子宮口がだんだん開いてきま
す。10㎝まで開いたところが全開大と言い、完全に開いた状態になりま
す。この状態になったら自然ないきみが生じてきます。
上記選択項目を分娩の経過を並べると、5→2→1→4→3になります。