看護師の過去問 第107回 午前 問67

東日本大震災などをきっかけに、災害対策に関する法の整備がより進められ、災害時の医療・看護に関連する設問も多く出題されるようになってきています。災害に関連する代表的な法律としては、「災害対策基本法」、「災害救助法」、「被災者生活再建支援法」、「地震防災対策特別処置法」などがあげられます。

1.(×) 災害拠点病院とは、災害発生時に災害医療を行う医療機関を支援する病院のことで、災害対策基本法に規定されています。各都道府県の二次医療圏ごとに原則1カ所以上整備されることも関係し、都道府県が指定します。

2.(○) 「医療計画」とは「医療提供体制の確保を図るための計画」であり、各都道府県が定めるように医療法に規定されています。その中で、「災害時における医療」についても定めることが規定されています。

3.(×) 防災訓練は、消防法によって定められています。

4.(×) 災害派遣医療チーム＜DMAT＞は、厚生労働省が認めた「災害急性期に活動できる機動性を持った、トレーニングを受けた医療チーム」と定義されています。原則、災害発生後48時間の活動とされており、短期的な医療支援活動を担っています。DMATの役割は、「トリアージや救命処置」、「患者を搬送する際の必要な観察・処置」、「病院における診療支援」等を行うこととされています。

正答：2

解説：1、災害拠点病院とは、災害発生時に災害医療を行う医療機関を支援する病院のことで、高度な救命医療を提供できるよう整備されています。各都道府県で指定します。

2、医療計画とは、医療法に定められている医療提供体制の確保を図るための計画で、都道府県が定め、実施します。その医療計画の中に、救急医療等確保事業があり、災害における医療も定められています。

3、防災訓練は消防法で定められています。

4、DMAT(Disaster Medical Assistance Team)とは「災害急性期に活動できる機動性を持ったトレーニングをうけた医療チーム」と定義されています。急性期とは概ね48時間以内を指します。

正解は　２　です。

災害医療とは地震、火災、津波、豪雨水害、豪雪、火山噴火、航空事故など大規模な事故の際に、多数の医療対象者が出現し、対応する医療側の能力を上回った時に必要となります。特に災害時の急性期、初期医療のことを指します。
地域の特性に基づいた医療提供体制の整備のために制定したものが医療計画になりますが、5疾患、5事業が規定されています。
がん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病、精神疾患が5疾患となっており、救急医療、災害医療、僻地医療、周産期医療、小児医療になるので２が正解です。

１、災害拠点病院は市町村ではなく、都道府県が指定するので誤りです。
３、防災訓練は災害救助法ではなく、消防法に規定されています。
４、DMATと呼ばれる災害派遣医療チームは災害に関係する医療支援を行う医療チームで、災害が起きてから48時間以内の急性期に活動を行える専門的な訓練を受けているメンバーで構成されているのが特徴です。長期的な活動をするわけではないので間違いです。

正解は　２　です。

×1.　災害時に多発する重篤救急患者の救命医療の提供、地域の医療機関への応急用資器材の貸し出しなどが可能な「地域災害拠点病院」、さらに災害医療に関して都道府県の中心的な役割を果たす「基幹災害拠点病院」の2つがあり、ともに都道府県が指定や解除を行います。

○2.　医療法において、都道府県における医療提供体制の確保を図るための計画が定められており、医療計画と呼ばれています。具体的に4疾病・5事業の計画が明示されており、災害医療は5事業のうちの1つです。

×3.　災害救助法とは、罹災者に対して応急的な救助を行い、罹災者の保護と社会秩序の保全を目的とした法律です。防災訓練は、災害対策基本法で義務付けられています。

×4.　災害派遣医療チーム＜ DMAT ＞とは、災害急性期（概ね48時間以内）に活動できる機動性を持つ、専門的な研修や訓練を受けた災害派遣医療チームです。