胸管が「どのような器官なのか」について、問われている問題です。
胸管とは、胸腹部の内蔵、下半身、左上半身のリンパ液を集めるリンパ管です。つまり「リンパ液が流れるリンパ管」です。大動脈の横を走っています。リンパ液とは、簡単に言うと、「血液から血管外の組織へ漏れたため、回収された水分」です。なので、主成分は血液中の液体成分である「血しょう」です。また、回収されたリンパ液は、水分として活用されるため、「静脈」へ戻ります。なぜ、「血管外の組織へ漏れた水分」をリンパ液として回収する必要があるのでしょうか?その理由として以下の3つがあげられます。
①水分は身体にとても大事なので、回収して効率的に使っている。
→リンパ液としてうまく回収されることで、身体の水分量のバランス維持にもつながっています。
②細菌やウィルスを殺す防衛機能、つまり免疫を担っている。
→リンパ管には所々に、「リンパ節」という白血球が集まった「防衛(免疫)の関所」があります。組織中には、老廃物や細菌、ウィルスなどが含まれています。組織に漏れ出た水分は、組織中に漂うウィルス等ごとリンパ液になります。そして「リンパ節」で浄化されます。
③脂肪分を運ぶ役割を担っている。
→組織中には、臓器から取り込まれた栄養素が溶け込んでいる場合があります。中でも小腸の組織中には、「脂肪分」が溶け込んでいます。この「脂肪分」ごとリンパ液になることで、「脂肪分」は全身に運ばれます。ちなみに、「脂肪分」はなぜ血液で運ばれないのでしょうか?脂肪分は水に溶けません。また、水の中に入れると、脂肪分同士がくっついて大きな油滴になっていきます。イメージとしては、ラーメンのスープの表面に浮かぶ油です。あの油が血液中にあったら、毛細血管が詰まってしまいます。なので、リンパ管を通って上大静脈まで運ばれ、その後全身を巡ります。
話を設問に戻します。胸管は「腹部の内蔵等のリンパ液を集めて流すリンパ管」です。つまり、小腸のリンパ液も運びます。小腸では、水に溶けない「脂肪分」も吸収しています。リンパ管は「水に溶けない栄養素」をリンパ液に含ませて運びます。これらのことから、胸管は、「脂肪分」、つまり「中性脂肪」を輸送します。
ですので、正解は「4」です。