看護師の過去問
第108回
午前 問103

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問題

看護師国家試験 第108回 午前 問103 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み問いに答えよ。

Aちゃん1歳6か月、男児は、5日前から発熱し、自宅近くのかかりつけ医に通院していたが解熱せず、昨日から眼球結膜の充血、口唇の発赤と亀裂が出現したため入院した。診察では、体幹の発疹と手足の浮腫もあり、川崎病(Kawasaki disease)および脱水症(dehydration)と診断された。Aちゃんに対し、点滴静脈内注射による脱水症の治療が開始され、左手掌から前腕までシーネで固定された。Aちゃんは機嫌が悪く、両手をバタバタと上下に動かしながら泣いている。左手背の留置針刺入部には、腫脹や発赤はない。

Aちゃんの血液検査の結果は、白血球15,000/μL、血小板45万/μL、CRP4.8mg/dLであり、心臓超音波検査に異常はなかった。γ - グロブリン製剤の点滴静脈内注射が開始された。10分後にAちゃんは腹部をかきはじめ、全身にかゆみを伴う膨隆疹と喘鳴、口唇のチアノーゼが出現した。
Aちゃんの状態として最も考えられるのはどれか。
  • イレウス(ileus)
  • 心筋梗塞(myocardial infarction)
  • アレルギー反応
  • クループ症侯群(croup syndrome)

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この過去問の解説 (3件)

01

1、2、4:これらの病態の場合、口唇チアノーゼが見られることはありますが、全身のかゆみや膨隆疹、喘鳴は見られません。全身にかゆみを伴う膨隆疹と喘鳴、口唇チアノーゼの症状でまず疑うべきはアレルギー反応の可能性です。γ-グロブリン製剤の副作用としてショックやアナフィラキシー症状があります。γ-グロブリン製剤の副作用にはほかにも肝臓や腎臓の障害、血小板減少、血栓塞栓症などもあるため、投与中は副作用に注意して観察することが重要です。小児の場合は特に自分で症状に気づいて伝えるということが難しいので、看護師の観察がとても重要です。

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02

正解は3です。

1)×
川崎病の特徴的症状は、
・5日以上続く発熱(38度以上)
・発疹
・両側眼球結膜充血
・口唇の紅潮、苺舌
・手足の腫脹と紅斑
・解熱後、手足の指先から皮膚がむける
 (膜様落屑)
・片側の首のリンパ節の腫れ 
などが挙げられます。

川崎病は、上記の主要症状の他、麻痺性イレウスなどの消化器症状がみられることがあります。
ですが、Aちゃんに消化器症状などのイレウス所見が認められないため不正解です。

2)×
心臓超音波検査(心エコー)に異常がみられないため、心筋梗塞は否定できます。
心エコーは、冠動脈に瘤があるかどうかを調べる目的で行われます。

川崎病は全身の血管が炎症する疾患です。
冠動脈の血管壁が、炎症により破壊され、瘤となることがあります。この瘤がつまることで心筋梗塞を起こすことがあり、これは川崎病の重要な合併症です。

3)○
「γ-グロブリン製剤投与10分後、Aちゃんは腹部をかきはじめ全身にかゆみを伴う膨隆疹と喘鳴、口唇のチアノーゼが出現した」
この時点で疑うべきは薬剤アレルギーです。
喘鳴や呼吸困難、チアノーゼは、アナフィラキシー様症状であり、これらは投与開始後1時間以内にみられることがあります。
そのため、投与中はアレルギー症状を観察し、投与速度を調節する必要があります。
その他の副反応として、発熱、発疹、じんま疹、かゆみ、局所 のむくみ、嘔気嘔吐、悪寒戦慄、肝機能障害などがあります。
γ-グロブリン製剤は、全身の炎症を抑え、冠動脈瘤の発生を予防する目的で行われます。

4)×
クループ症候群は、かぜウィルスの感染症です。
主に喉頭に感染し、鼻水や咳、発熱のような感冒症状から始まり、クループの特徴的症状である犬吠様咳嗽(犬の鳴き声のような咳)や喘鳴が出現します。
設問の症状には該当しないため、不正解です。

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03

心臓の超音波検査で異常がないため、心筋梗塞は否定できます。
イレウスは腹痛などを伴うので否定できます。
クループ症候群は上気道性の症状が出ますので、咳などが伴うので否定できます。
抗生剤やγグロブリン投与後の発赤や掻痒感はアレルギー反応としてAちゃんの症状と合致しているので、アレルギー反応が正解になります。

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