看護師の過去問 第108回 午後 問180

正解は２です。

1)×
統合失調症とは、精神疾患のひとつです。
意識、知能、記憶、感情、思考、行動などのさまざまな精神機能をひとつの目的に沿って「統合」していく能力が低下し、思考や行動に影響をきたす疾患をいいます。知的障害の原因疾患ではありません。

2)○
フェニルケトン尿症とは、フェニルアラニンという必須アミノ酸の、先天性代謝障害です。
フェニルアラニンを十分に代謝できないことにより、フェニルケトンという物体が体内に蓄積し尿中に排泄されるます。
症状の１つに、知的障害や精神遅滞がみられます。
食事や薬物療法でのコントロールが必要となります。

3)×
アルツハイマー病は、不可逆的な進行性の脳疾患で、記憶や思考能力がゆっくりと障害され、最終的には日常生活の最も単純な作業を行う能力さえも失われる疾患です。
ほとんどは、60歳以降に初めて症状が現れます。
アルツハイマー病は、高齢者における認知症の最も一般的な原因です。

4)×
クロイツフェルト-ヤコブ病（亜急性海綿状脳症）はプリオン病の一種で、進行性の精神機能の低下を特徴とし、認知症、筋肉が不随意にビクッとふるえる動き（ミオクローヌス）、歩行時のよろめきなどの症状が現れます。
変異型クロイツフェルト・ヤコブ病は、汚染された牛肉を食べることで感染します。
錯乱や記憶障害などの精神障害がありますが、知的障害ではありません。

知的障害とは18歳未満の発達期に知的機能（IQ)や適応行動（日常生活能力、社会生活能力、社会的適応性）に制約がでることです。

1 . 統合失調症
×不正解
統合失調症は陽性症状と陰性症状を主症状とする精神障害の一つです。

陽性症状は統合失調症ではない人にはないけれど、統合失調症の人にはある症状です。急性期に多く、薬でのコントロールが期待できます。
例：幻覚、幻聴、妄想など

陰性症状は、エネルギーの低下から起こる症状です。薬でのコントロールが難しいとされます。
例：無表情、活動低下、会話の鈍化など

知的障害の原因にはならないので、不正解です。

2 . フェニルケトン尿症
○正解
高フェニルアラニン血症とも呼ばれる先天性代謝異常で、小児慢性特定疾病の一つです。
必須アミノ酸のフェニルアラニンをチロシンという別のアミノ酸に変える酵素の働きが生まれつき弱いことで起こる病気です。
フェニルアラニンが体内に蓄積すると精神発達に障害をきたします。また、チロシンが少なくなると色素が作れないので髪の毛や皮膚の色が薄くなります。

3 . Alzheimer＜アルツハイマー＞病
×不正解
脳の疾患でアミロイド斑、神経原線維変化と脳内の神経細胞（ニューロン）間の連結の消失を特徴とする不可逆的、進行性の疾患です。
一般的に60歳以降に初めて症状が現れるため、知的障害の原因にはなりません。

4 . Creutzfeldt-Jakob＜クロイツフェルト・ヤコブ＞病
×不正解
指定難病の一つです。
異常プリオン蛋白質が脳内に侵入することで脳組織に海綿状の空腔をつくります。その結果、脳機能障害を引き起こします。
進行が早く、ほとんどが1 - 2年で死に至るといわれています。多くは初老期に発病します。
知的障害の原因にはならないので不正解です。

正解は２です。
１の統合失調症は、精神障害の一つになるので間違いです。

２のフェニルケトン尿症は、小児慢性特定疾患の一つで、先天性疾患です。

必須アミノ酸のフェニルアラニンを、チロシンという別のアミノ酸に変える酵素の働きが生まれつき弱いことで起こる病気で、フェニルアラニンが体内に蓄積すると精神発達に障害をきたすので正解です。

３のAlzheimer＜アルツハイマー＞病は、脳の疾患で、進行性の疾患です。知的障害は起らないため間違いです。

４のCreutzfeldt-Jakob＜クロイツフェルト・ヤコブ＞病は、異常プリオン蛋白質が脳内に侵入することで、脳機能障害を引き起こしますが、知的障害の原因にはならないので間違いです。