看護師の過去問
第108回
午後 問181
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問題
看護師国家試験 第108回 午後 問181 (訂正依頼・報告はこちら)
Aさん(24歳、男性)は、昼間の過剰な眠気を主訴に来院した。半年前に居眠り運転で交通事故を起こした。入眠時の幻視や睡眠と覚醒の移行期に体を動かせなくなることがある。また、笑ったり、怒ったりしたときに脱力してしまうこともある。
最も考えられる疾患はどれか。
最も考えられる疾患はどれか。
- 睡眠時遊行症(sleepwalking《somnambulism》)
- ナルコレプシー(narcolepsy)
- 睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome)
- 睡眠・覚醒スケジュール障害(sleep-wake schedule disorders)
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この過去問の解説 (3件)
01
1)×
睡眠時遊行症は、いわゆる「夢遊病」のことです。
症状の出方は様々ですが、深い睡眠中、意識がないまま動き回ることが特徴です。
具体的な行動として
・ベッド上で起き上がり、あたりを見回す
・ドアを開け閉めする
・クローゼットに入る
・着替えて外に出ていこうとする
・物置で用を足す
・台所で何かを食べる などです。
患者さんの多くは3歳~9歳ごろに始まり、通常は睡眠機能の発達にともない落ち着いていきますが、まれに成人でも発症します。
発症のメカニズムは、はっきりと解明されてはいませんが、可能性として
・脳の睡眠–覚醒の機能が未熟
・遺伝
・心身のストレス
・睡眠時無呼吸症候群
・認知症
・薬・物質の影響 などがあげられます。
遊行は、脳が眠り体は動くノンレム睡眠中(深い眠り)におこります。ノンレム睡眠は睡眠の前半に多くみられるため、遊行症状は睡眠時間帯の前半1/3を中心に起こります。
2)○
ナルコレプシーは、日中に突然、耐え難い眠気に襲われて眠り込んでしまう「過眠症」のことです。
重度の場合は、眠気によって記憶や意識がなくなり、もうろうとした状態で行動することがあります。
入眠前や入眠と同時に鮮明な幻覚(悪夢や鮮明な夢)をみることが多く、入眠時や覚醒時の睡眠麻痺(いわゆる金縛り)もよく見られる症状です。
もう一つ、ナルコレプシーの代表的な症状として「情動脱力発作」があります。笑ったり、怒ったり、恐怖を感じたりして感情が高ぶったあとに、体が脱力する症状です。
典型的には笑いや冗談が引き金になり、突然、首や顎、腕、脚(または全身)の力が抜けて、頭がグラグラしたり、ろれつが回らなくなったり、まぶたが下がったり、あるいは全身が崩れ落ちるようになります。
設問の症状に当てはまるため、正解です。
3)×
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に無呼吸を繰り返す疾患です。医学的には、10秒以上の気流停止(気道の空気の流れが止まった状態)を無呼吸とし、無呼吸が一晩(7時間の睡眠中)に30回以上、若しくは1時間あたり5回以上あれば、睡眠時無呼吸と診断されます。
症状として、夜間のいびき、起床時の頭痛や倦怠感の他、日中に以下の症状がみられます。
・強い眠気がある
・だるさ、倦怠感がある
・集中力が続かない
・いつも疲労感がある などです。
これらが仕事や運転などに影響をおよぼし、交通事故を起こしやすくなります。
設問にある日中の眠気や交通事故は当てはまりますが、幻覚などの症状はないため不正解です。
4)×
睡眠・覚醒スケジュール障害とは、睡眠の時間帯がずれる、あるいは睡眠と覚醒のリズムが乱れるものです。
人には体内時計があり、そのリズムは通常24時間周期の外界変化に同調した日内変動(にちないへんどう)、概日リズム(サーカディアンリズム) を示します。
しかし、交代勤務や飛行機による時差にて、外界の24時間周期と体内時計の概日リズムがずれることで概日リズム睡眠障害が生じます。
症状として、日中の眠気や夜間の不眠などがあります。設問の症状には当てはまらないため不正解です。
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02
1の睡眠時遊行症は、夢遊病とも呼ばれ、ノンレム睡眠と呼ばれる深い眠りの時に体が動く症状でAさんには当てはまらないので間違いです。
2のナルコレプシーは、居眠り病とも呼ばれ、日中の過度の眠気、情動脱力発作、入眠時幻覚、睡眠麻痺の症状があり、Aさんに当てはまるので正解となります。
3の睡眠時無呼吸症候群は、眠っているときに無呼吸状態が繰り返される病気で睡眠中に無呼吸状態が繰り返されることで、Aさんには当てはまらないので間違いです。
4の睡眠・覚醒スケジュール障害は、看護師などの交替制勤務による睡眠障害、海外旅行をしたときの時差変化による睡眠障害でAさんには当てはまらないので間違いです。
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03
×不正解
夢遊病とも呼ばれます。
ノンレム睡眠と呼ばれる深い眠りの時に体が動きます。睡眠時遊行中のことはあまり覚えていない、もしくは全く覚えていません。また、睡眠時遊行時は痛みを感じにくいため怪我に気がついていないことがあります。
有病率は小児に多く、4~8歳がピークです。
Aさんの来院時の症状には当てはまりません。
2 . ナルコレプシー
○正解
日本語で「居眠り病」と呼ばれます。
以下に4大症状を記します。
①日中の過度の眠気:突然耐え難い眠気に襲われる発作のことです。睡眠発作とも呼ばれます。
②情動脱力発作:笑い、喜びなど感情が出る場面で突然抗重力筋が脱力する発作です。
③入眠時幻覚:睡眠発作や夜間の入眠時に現実のような強い幻覚を見ることがあります。
④睡眠麻痺:いわゆる金縛りのことです。
発症する時期は15歳前後が多く、40歳以上の発症はまれです。病気であると患者さん本人が気がつかないため、診断が出るまでに平均して15年かかるといわれています。
Aさんには上記①~④の症状が出ているため、ナルコレプシーが正解となります。
3 . 睡眠時無呼吸症候群
×不正解
眠っているときに無呼吸状態が繰り返される病気です。
睡眠中に無呼吸状態が繰り返されることで、日中に強い眠気、倦怠感、集中力の低下など日中の活動に支障が出てきます。
Aさんは昼間の過剰な眠気を主訴に来院してきていますが、他の症状は睡眠時無呼吸症候群には当てはまらないため、不正解です。
すべての年齢で起こりえますが、40~60歳代が多いです。
4 . 睡眠・覚醒スケジュール障害
×不正解
誰でも好ましい時間帯に寝て、起きるスケジュールがあります。何らかの理由でその時間に寝たり、起きたりすることが困難になります。看護師などの交替制勤務による睡眠障害、海外旅行をしたときの時差変化による睡眠障害も含まれます。
どの年代でも起こる睡眠障害です。
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