看護師の過去問
第108回
午後 問210

正解は２です。

１は、アルコールの多量摂取により、意識障害、低血圧、頻脈などのショック症状を呈します。Aさんは、ショック状態ではありますが、意識レベルは清明であること、また、飲酒量が３００ml程度ということでは急性アルコール中毒になる可能性は低いので間違いです。

２では、Aさんは元々C型肝炎や肝硬変の既往があり、肝臓の血液循環が悪いと考えられます。肝臓の血液循環が悪いと、門脈圧が高くなり、胃や食道の静脈圧が高くなり、血管破裂する可能性があります。

Aさんは、吐血しており、貧血があることや血圧が低く頻脈であることからショック状態であることから食道静脈瘤の破裂の可能性が高いため正解となります。

３の迷走神経反射では、血圧は低くなり、脈拍も遅くなります。Aさんの脈拍は、１２２回／分と頻脈であるので間違いになります。

４は、血糖102mg／dLであり低血糖ではないため間違いです。

正解２．食道静脈瘤破裂


食道静脈瘤破裂

食道静脈瘤は、肝硬変で門脈圧亢進が起こり食道静脈が拡張して瘤が発生します。
食道静脈瘤が破裂すると大量の吐血があり、ショック状態になります。

Aさんは、C型肝炎・肝硬変と診断されており、飲酒を継続しており大量の吐血をしています。
総ビリルビン・アンモニアの上昇もあり肝機能の低下もみられてられています。
血圧低下・頻脈・顔面蒼白・冷汗等の症状があり、食道静脈瘤破裂によるショック状態であると考えられます。


１．ウイスキー300mlの飲酒では、急性アルコール中毒になる飲酒量とは考えにくく、大量の吐血を引き起こすことはありません。


３．迷走神経反射は、自律神経系の失調によって血圧低下・心拍数低下が起こり失神やめまいの症状を起こします。Aさんは、血圧低下はありますが、頻脈で意識消失はみられていません。
迷走神経反射によるものとは考えにくいです。


４．血糖は基準値内であり低下していないので、低血糖とは考えにくいです。

赤血球278万／μL、Hb8.4g／dL、K3.9mEq／L、
1 . 急性アルコール中毒は、高濃度で多量のアルコールの摂取により、意識障害や呼吸抑制、血圧低下などの症状がみられます。
検査結果から、血圧86／42mmHgと低血圧となっているが、アルコールは300mlということを考えるとこの病気になるほどは飲酒していないと考えられます。
よって不正解です。


2 . 食道静脈瘤破裂は、食堂粘膜下にある静脈が膨隆し、その瘤が破裂する病気です。肝硬変など肝臓の病変により門脈圧が高くなり、胃や腸に血液が逆流すること（門脈圧亢進症）により、胃や腸の静脈の血液量が多くなり静脈瘤になることが原因です。
肝臓に関する検査項目を見てみると、総ビリルビン4.1mg／dL（基準値：0.2-1.2mg/dl）、アンモニア188μg／dL（基準値：12-60マイクログラム/dl)であり異常値です。
また既往に肝硬変、C型肝炎があることからこの病気になる可能性は高いと考えられます。
よって正解です。


3 . 「血圧86／42mmHg、顔面は蒼白、冷汗を認める」から迷走神経反射であると判断しがちだが、「意識清明である」から迷走神経反射ではめまいや失神が起き意識喪失することが考えられるため、ふさわしくないです。
よって不正解です。


4 . 血糖102mg／dLであるが、基準値は78-109mg／dlであるため、低血糖ではないです。
よって不正解です。