正解: 1. 慢性疾患の悪化
災害発生後2ヶ月以降（慢性期）は、仮設住宅へ入居し、生活環境の変化により慢性疾患の悪化が起こり易いです。
被災のストレスに加え、見知らぬ隣人、新たな場所での生活がさらにストレスとなって、心身の変化が起こりやすくなります。
2. →超急性期（災害発生後6〜72時間）〜急性期（災害発生後72時間〜1週間）は、避難所での衛生環境が悪く、消化器感染症が起こりやすくなります。
また、集団生活の場で蔓延しやすいです。
3. →災害発生後10日〜2週間（亜急性期）は、生活範囲の狭小化による運動不足、閉じこもりの増加により、深部静脈血栓症が起こりやすくなります。
4. →災害発生後2日〜4週間以内（急性期〜亜急性期）は、災害という外傷体験の後に急性ストレス障害を起こしやすくなります。
多くは、時間経過や家族などのサポートにより自然回復することが多いですが、長期化する場合はPTSDに移行することもあります。
正解は１「慢性疾患の悪化」です。
＜大規模災害発生時の期間分類と医療従事者に求められる対応＞
発災期（発災直後～数時間）→傷病者の治療
超急性期（数時間～３日）→入院患者数の増大と被災地外への転院・搬送
急性期（３日～一週間）→慢性疾患患者の病状悪化と内因性疾患の増加への対応
移行期（１週間～１か月）→かかりつけ医療機関を失った慢性疾患対策、感染症のリスク、生活不活性病やストレスの増加への対応
復旧期（１か月～ ）→うつやPTSDなどのこころの健康問題への対応
１．慢性疾患の悪化は急性期以降起こります。
２．消化器感染症は移行期あたりから見られ始めます。避難所での生活や災害後の衛生環境の悪さなどが影響してみられます。
３．深部静脈血栓症は急性期で見られます。避難所や車内など狭い空間で生活することにより発症する恐れがあります。
４．急性ストレス障害は移行期あたりからみられます。復旧期以降数年に渡ってみられるこころの問題はPTSD（心的外傷後ストレス障害）なので混同しないよう注意です。
この問題は正解を出すのが少し難しいと思われます。大規模災害発生後２か月が経過しているというところで、２．感染症 ３．深部静脈血栓症 を不適切と判断して、４．急性ストレス障害を起こすには遅すぎると判断してこれも消去して、残った１．慢性疾患の悪化は大規模災害後２か月が経過しても起こりうるだろうと判断して１を選択できると良いかと思います。
正解は１です。
災害時は大きく４つの時期に分けられます。
災害発生時を初めとし、発災→急性期（発災直後～１週間）→亜急性期（発災から１週間～６か月）→慢性期（数か月～３年程度）→平穏期（３年以降）です。
１．慢性疾患の悪化は亜急性期頃よりみられます。慢性疾患にて定期的に内服や処置などを行っている場合、災害にて定期的な医療を受けることが困難になる場合があります。２か月ごろになると定期処方が無くなるなど悪化の原因が増加していくことがあります。
２．消化器症状は避難所などでの集団生活や震災後の衛生環境により下痢などの症状が現れることがあります。避難環境や衛生状態が整うことにより減少します。
３．深部静脈血栓症は避難所生活により生活範囲が狭まることにより起こります。避難後２週間頃までに発症しやすくようです。
４．急性ストレス障害は震災や避難生活によって生じるストレス障害で発災後４週間頃までに現れます。その後もストレス状態が続き１ヵ月以上、恐怖心や無力感を感じる状態が続いた場合PTSDの診断を受ける場合があります。PTSDは震災後数年経った後に診断されることもあります。
