看護師 過去問
第112回
問113 (午前 問113)

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問題

看護師国家試験 第112回 問113(午前 問113) (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み問いに答えよ。
Aさん(20歳、女性)は境界性人格<パーソナリティ>障害(borderline personality disorder)の診断を受け、精神科外来に通院中である。ある日、人間関係のトラブルから処方されていた睡眠薬を過量服薬して自殺企図をしたところを家族に発見され、救命救急センターに搬送された。

この設問は、<前問>の続きの設問となります。

Aさんは身体的な治療を受けた後、精神科病棟に入院することになった。入院3日の22時、Aさんがハサミを貸してほしいとナースステーションに来た。日勤の看護師がいる時間帯のみ付き添いでハサミの貸出が可能という主治医からの指示を伝えると「看護師Bは貸してくれたのに。こんなひどい対応をする看護師はあなただけだ」と話し、その場を動かない。
このときのAさんへの対応で適切なのはどれか。
  • ハサミの使用目的を聞く。
  • 看護師付き添いのもとハサミを貸し出す。
  • 看護師Bが誤った対応をしたと説明する。
  • Aさんの行動が心配なので貸し出せないと伝える。

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この過去問の解説 (3件)

01

この状況において適切な対応は、「ハサミの使用目的を聞く」です。

Aさんの要求を一旦受け止めた上で、使用目的を確認することが、状況を適切に評価しつつ患者との信頼関係を維持するために重要です。

 

選択肢1. ハサミの使用目的を聞く。

ハサミの使用目的を聞くことは、患者の要望をまず受け止める姿勢を示す行動です。
境界性パーソナリティ障害の特徴には、感情の不安定さや対人関係の問題が含まれます。
この場合、直接拒否や他者を責める説明をする前に、Aさんの気持ちや目的を丁寧に確認することで、患者の衝動的な行動を和らげる効果が期待できます。

選択肢2. 看護師付き添いのもとハサミを貸し出す。

看護師付き添いのもとハサミを貸し出すことは、主治医の指示に従った対応と考えられる可能性があります。
しかし、Aさんが衝動的な行動に及ぶリスクを考慮すると、貸し出しの可否を判断する前に、使用目的をしっかり確認することが先決です。

 

選択肢3. 看護師Bが誤った対応をしたと説明する。

看護師Bが誤った対応をしたと説明することは、患者との信頼関係を損なう可能性があります。
境界性パーソナリティ障害の患者は、特定の相手を理想化したり、過度に批判する傾向があるため、他の看護師を責めるような説明は、対人関係の不和を助長するリスクがあります。

 

選択肢4. Aさんの行動が心配なので貸し出せないと伝える。

Aさんの行動が心配なので貸し出せないと伝えることは、一見適切に見えるかもしれませんが、いきなり拒否する対応は、患者をさらに感情的にさせる可能性があります。
患者の行動背景や意図を把握せずに否定的な対応をすると、患者が疎外感を抱き、医療スタッフへの信頼が低下する恐れがあります。

 

まとめ

Aさんのような境界性パーソナリティ障害を持つ患者への対応では、まず患者の訴えや行動の背景を確認することが大切です。
「ハサミの使用目的を聞く」という対応は、患者の感情を尊重しつつ、リスクを評価するための第一歩となります。

このように、患者中心の姿勢を大切にしながら、適切に対応していくことが重要です。

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02

この問題でポイントとなるのは、自殺企図がある患者の対応についてです。

各選択肢については、以下のとおりです。

選択肢1. ハサミの使用目的を聞く。

自殺企図や希死念慮がある患者において、刃物や紐といった、自殺行為に関わるものは禁忌となります。

しかし、本人から申し出があった場合にすぐに拒否することで信頼関係を失うおそれもあります。

まずは使用目的や意図を聞き、そのうえで判断することが大切だといえます。

選択肢2. 看護師付き添いのもとハサミを貸し出す。

Aさんから申し出があったのは22時です。

「日勤の看護師がいる時間帯のみ付き添いでハサミの貸出が可能」という主治医の指示があることを説明し、それに従うことが最優先となります。

選択肢3. 看護師Bが誤った対応をしたと説明する。

「日勤の看護師がいる時間帯のみ付き添いでハサミの貸出が可能」という主治医の指示があることを説明し、それに従うことが最優先となります。

選択肢4. Aさんの行動が心配なので貸し出せないと伝える。

Aさんの行動が心配であることは事実ですが、それを本人に伝えることで信頼関係を失うおそれがあります。

よって、この選択肢の優先度は低いです。

まとめ

自殺企図、希死念慮がある患者への対応は、とても気を配るケースが多いです。

しかし、医師の指示を守ることは、患者の命を守るために重要です。

また、本人の意思への配慮も、信頼関係を築いて治療をすすめていくために重要です。

十分に理解しておきましょう。

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03

精神科病棟における安全管理についてです。

境界性パーソナリティ障害の特徴も踏まえた対応が必要です。

選択肢1. ハサミの使用目的を聞く。

自殺未遂歴のある患者であり、ハサミを自傷目的に使用することも考えられます。

使用目的を尋ねることは適切であるといえます。

選択肢2. 看護師付き添いのもとハサミを貸し出す。

主治医からの指示が「日勤帯のみ付き添いでハサミの貸出が可能」となっていること、

チーム内で統一した看護ができなくなることから、

この対応は不適切であるといえます。

選択肢3. 看護師Bが誤った対応をしたと説明する。

他看護師の対応についての説明よりも、

現在の危険物取り扱いのルールを説明するほうが優先度は高いです。

選択肢4. Aさんの行動が心配なので貸し出せないと伝える。

心配を伝えることより、

現在の危険物取り扱いのルールを説明するほうが優先度は高いです。

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