看護師の過去問
第112回
午後 問89

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問題

看護師国家試験 第112回 午後 問89 (訂正依頼・報告はこちら)

Aちゃん(小学4年生、女児)は父親(40歳、会社員)、母親(40歳、会社員)、弟(小学2年生)と4人で暮らしている。交通事故で頸髄損傷となり、訪問看護を利用して在宅療養を開始した。Aちゃんはこれまで通っていた小学校に継続して通学することを希望している。
Aちゃんの家族への看護師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
  • 特別支援学校に転校するよう勧める。
  • 弟の退行現象に注意するよう説明する。
  • Aちゃんが利用できる社会資源を紹介する。
  • Aちゃんのケアは主に母親が行うよう助言する。
  • 事故については家族の間で話題にしないよう指導する。

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この過去問の解説 (2件)

01

在宅看護のポイントは、本人と家族の意志を尊重しつつ、在宅療養が継続できるよう支援することです。家族ひとりに負担がかかりすぎたり、家族だけで問題を抱え込みすぎないよう注意しましょう

選択肢1. 特別支援学校に転校するよう勧める。

Aちゃんの希望を尊重していない対応のため、誤りです。

選択肢2. 弟の退行現象に注意するよう説明する。

在宅療養が始まるにあたり、両親は今までのように弟と関わることが難しくなることが予想されます。両親は、弟の話をよく聞く、普段以上に意識してスキンシップをとるなどして弟の退行現象が起こらないよう注意する必要があります。

選択肢3. Aちゃんが利用できる社会資源を紹介する。

子どもの在宅療養を支える制度はたくさんあります。利用できる社会資源を紹介し、どのようなサービスを使えばAちゃんと家族の希望を実現できるのかを共に考えることが必要です。

選択肢4. Aちゃんのケアは主に母親が行うよう助言する。

家族のひとりにケアを任せると、身体的かつ精神的に負担が大きくなってしまうため誤りです。母親だけがケアの中心になるのではなく、家族で役割を分担することが必要です。

選択肢5. 事故については家族の間で話題にしないよう指導する。

事故について話題を避けるのではなく、会話を通して家族全体で起きたことを受け止めることが大切です。しかし、家族がまた事故について言葉にできない状況であれば、話せるようになるまで見守もり、時には自助グループを紹介するなどの介入を検討する必要があります。

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02

この問題のポイントは、以下の通りです。

頸髄損傷となり、訪問看護を利用して在宅療養を開始したAちゃんと家族のサポートや思いを考え、看護師としてどのような対応をするとよいのかを考える家族看護の問題です。

では、問題を見てみましょう。

選択肢1. 特別支援学校に転校するよう勧める。

Aちゃんは、これまで通っていた小学校に継続して通学することを希望していることから、実現できるように援助するのが看護師の対応として正しいです。

選択肢2. 弟の退行現象に注意するよう説明する。

退行現象とは、一般的には成熟した行動や思考から、より幼児的な状態に戻ることを指します。ストレスや不安に対する一時的な適応反応として現れることがあります。

Aちゃんが頸髄損傷となり、訪問看護を利用して在宅療養することから両親はAちゃんの介護にかかりきりになり、弟にストレスや不安を与えてしまう可能性はあります。そのため、退行現象が出現する可能性はあるため、看護師として説明しておく必要はあります。

選択肢3. Aちゃんが利用できる社会資源を紹介する。

在宅療養を行うときには、すべて家族で行うことには限りがあり、負担を感じることがあります。在宅療養を続けていけるように、Aちゃんが利用できる社会資源を紹介していく必要があります。

選択肢4. Aちゃんのケアは主に母親が行うよう助言する。

Aちゃんのケアは社会資源を活用しながら、家族でサポートしながら行っていくことが望ましいです。主に母親が行うように助言することは、適切ではありません。

選択肢5. 事故については家族の間で話題にしないよう指導する。

事故が起こったことは、家族の中ではとても辛いことではあります。しかし、家族の間で話をしないように指導するのは、いつまでも受け入れられない状態を長引かせてしまいます。

状況を見て事故の話をし、受け入れられるように関わっていくことが必要になります。

まとめ

在宅看護では、安全な医療ケアを提供するとともに、本人や家族の思いを尊重し、それに合わせたサポートをすることが大切です。

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