看護師の過去問
第112回
午後 問114

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問題

看護師国家試験 第112回 午後 問114 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み問いに答えよ。
Aさん(80歳、女性)は発熱があり、呼吸状態が悪いため、外来を受診し肺炎(pneumonia)と診断され緊急入院となった。
入院時、病室でAさんは「ここはどこ」と話し混乱した様子であった。湿性の咳嗽があり、口唇の乾燥が著明である。同居の夫からの情報では、1週前から食事は摂れていたが、水分摂取量が減っていた。3日前から寝て過ごしていたが、トイレには自分で行くことができていた。身の回りのことは自立している。入院後に点滴静脈内注射1,500mL/日の指示があり、抗菌薬が開始された。

身体所見:身長152cm、体重45kg、体温38.0℃、呼吸数32/分、脈拍120/分、整、血圧107/80mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2>93%(room air)。ジャパン・コーマ・スケール<JCS>Ⅰ−2。
検査所見:赤血球447万/μL、Hb12.5g/dL、白血球16,600/μL、総蛋白6.2g/dL、アルブミン4.0g/dL、血糖98mg/dL、Na151mEq/L、K4.0mEq/L、Cl97mEq/L、Ca8.7mg/dL、CRP23.0mg/dL。

この設問は、<前問>の続きの設問となります。

入院2日、病棟の看護師でAさんへの援助の方針について話し合った。
Aさんへの対応で適切なのはどれか。
  • 日中の離床を促すために歩行に付き添う。
  • 夜間はベッドからの転落防止のために身体的拘束を行う。
  • 睡眠時間の確保のために夕方に3時間の睡眠をとるように勧める。
  • 症状緩和のためにベンゾジアゼピン系睡眠薬の処方を医師に依頼する。

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この過去問の解説 (2件)

01

せん妄が発症した際には、重症化・長期化の予防が重要です。

せん妄予防のためにできる介入を考えてみましょう。

選択肢1. 日中の離床を促すために歩行に付き添う。

○:適切

せん妄予防には、日中は離床して適度な運動をして生活リズムを整えるように促すことが適切です。

選択肢2. 夜間はベッドからの転落防止のために身体的拘束を行う。

×:不適切

身体拘束はせん妄のリスクをさらに高めてしまうため、適切ではありません。

選択肢3. 睡眠時間の確保のために夕方に3時間の睡眠をとるように勧める。

×:不適切

日中の30分以上の昼寝は、夜間の睡眠に影響を及ぼすので避けるようにしましょう。

選択肢4. 症状緩和のためにベンゾジアゼピン系睡眠薬の処方を医師に依頼する。

×:不適切

ベンゾジアゼピン系睡眠薬はせん妄を誘発しやすいため、高齢者への使用は避けた方がよいです。

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02

この問題のポイントは、せん妄状態のAさんにどのような援助をするとせん妄が改善するかということです。

では、問題を見てみましょう。

選択肢1. 日中の離床を促すために歩行に付き添う。

日中の離床を促すことは、体内時計を調整し、昼夜のサイクルを正常化し、せん妄の症状を改善するため適切です。

選択肢2. 夜間はベッドからの転落防止のために身体的拘束を行う。

身体的拘束を行うことは、せん妄のリスクがより高くなってしまいます。まずは、日中の離床を促し、生活リズムを整えることが大切です。

選択肢3. 睡眠時間の確保のために夕方に3時間の睡眠をとるように勧める。

夕方に3時間の睡眠をとってしまうと、夜間眠れなくなってしまい、せん妄の改善にはなりません。まずは、生活リズムを整える援助が必要になります。

選択肢4. 症状緩和のためにベンゾジアゼピン系睡眠薬の処方を医師に依頼する。

ベンゾジアゼピン系の薬物は、一時的に不安や不眠症などの症状を軽減するのに有効である場合がありますが、せん妄を誘発しやすい薬剤です。また、副作用のふらつきが出現し転倒・転落の危険性が高くなります。

まずは、夜間の睡眠がとれるように日中離床を促すことが大切です。

まとめ

せん妄の予防・改善には日中の離床を促し、生活リズムを整える援助が必要なことを覚えておきましょう。

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