看護師の過去問
第113回
午後 問111

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問題

看護師国家試験 第113回 午後 問111 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み、問いに答えよ。
Aさん(65歳、男性)は、妻と自営業を営んでおり、2人で暮らしている。2か月前に仕事で大きな失敗をし、謝罪と対応に追われ、あまり夜に眠れなくなり、食欲不振が続いている。1か月前から気分が落ち込み、仕事で妻から間違いを指摘されたことで自信をなくしていた。Aさんは死んでしまいたいと思い、夜に自宅でロープを使って自殺を図ろうとしたところを妻に見つけられた。妻に付き添われ、精神科病院を受診し、うつ病(depression)と診断された。受診当日に入院し、抗うつ薬の内服が開始された。Aさんは「生きていても仕方がない。どうせ誰も分かってくれない」と看護師に話した。
入院1か月が経過し、Aさんは夜間の睡眠がとれるようになり、食事は全量摂取している。妻から間違いを指摘されたことを思い出し、「何をやってもきっと失敗するだけだ。今度はもっと大きな失敗をして仕事を辞めることになる。だから自分はだめな人間だ。努力しても意味がない」と看護師に言った。
Aさんへの治療法で最も適切なのはどれか。
  • 森田療法
  • 集団精神療法
  • 認知行動療法
  • 社会生活技能訓練<SST>

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題を解くポイントは、森田療法・集団精神療法・認知行動療法・社会生活技能訓練が、どのような目的があってどのようなアプローチ方法があるかということを理解しているかということが大切になります。

選択肢1. 森田療法

不正解

不安障害や神経症(特に強迫性障害や心気症)において「あるがまま」を受け入れ、不安と症状を受け入れて生活を送ることに重点を置いている療法ですので、設問の内容とは不適切です。

選択肢2. 集団精神療法

不正解

集団の中での対話や交流を通して、心理的課題を解決し、対人関係の改善を図ることを目的としていますので、設問内容とは不適切です。

選択肢3. 認知行動療法

正解

認知の歪みや行動のパターンを修正し、心理的な苦痛を軽減することが目的です。

Aさんの発言から「何をやっても失敗するだけだ」という心理的な苦痛を感じている発言が見られますので、Aさんに対する療法としては相応しいと考えます。

選択肢4. 社会生活技能訓練<SST>

不正解

対人関係や社会生活に必要なスキルを訓練し、社会適応力を向上させる目的で行う訓練です。

Aさんは、自営業を営んでおり、社会生活に必要なスキルはすでに持っていると考えます。

まとめ

選択肢の療法を簡単にまとめますと、

森田療法→神経症・不安障害/症状の「あるがまま」を受け入れる

集団精神療法→対人関係の問題・不安、依存症/対人交流を通じた心理的成長と問題解決

認知行動療法→うつ病・不安障害・PTSDなど/認知の歪みや行動パターンの修正

社会生活技能訓練→統合失調症・発達障害/社会生活や対人スキルの習得と実践

ぜひ参考にください。

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02

認知行動療法が最も適切です。

Aさんは「何をやっても失敗する」「自分はだめな人間だ」という否定的な思考パターンにとらわれています。

認知行動療法では、こうした非合理的な認知を修正し、現実的で前向きな考え方を促す治療が行われます。

 

選択肢1. 森田療法

森田療法は、不安や恐怖をそのまま受け入れながら行動に集中する治療法で、不安障害や神経症に有効です。

Aさんのように否定的な認知を修正する必要がある状況には適していません。

選択肢2. 集団精神療法

集団精神療法は、他者との交流を通じて心理的支援を得る治療法です。

集団精神療法は補助的な役割を果たすことが多いです。

 

選択肢3. 認知行動療法

認知行動療法は、Aさんが抱えている「自分はだめな人間だ」「努力しても意味がない」という非合理的な思考を修正し、現実的な考え方や行動を促進するための治療法です。

これにより、Aさんの自己評価が向上し、現実的な問題解決能力が高まります。

選択肢4. 社会生活技能訓練<SST>

SSTは、対人関係や生活スキルを向上させる訓練で、社会復帰や生活の質向上を目指すものです。

Aさんが否定的な認知を修正した後、復職や社会生活に向けた準備段階で有効です。

まとめ

認知行動療法は、Aさんの否定的な思考を改善し、現実的な視点を養う上で非常に有効です。

患者が自己の考え方を見直すプロセスを支援することで、うつ病の改善と再発予防に役立ちます。

この治療法を理解し、患者に寄り添いながら治療を進めることが重要です。

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