看護師の過去問
第113回
午後 問110

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

看護師国家試験 第113回 午後 問110 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文を読み、問いに答えよ。
Aさん(65歳、男性)は、妻と自営業を営んでおり、2人で暮らしている。2か月前に仕事で大きな失敗をし、謝罪と対応に追われ、あまり夜に眠れなくなり、食欲不振が続いている。1か月前から気分が落ち込み、仕事で妻から間違いを指摘されたことで自信をなくしていた。Aさんは死んでしまいたいと思い、夜に自宅でロープを使って自殺を図ろうとしたところを妻に見つけられた。妻に付き添われ、精神科病院を受診し、うつ病(depression)と診断された。受診当日に入院し、抗うつ薬の内服が開始された。Aさんは「生きていても仕方がない。どうせ誰も分かってくれない」と看護師に話した。
Aさんはその後しばらく会話をしたり、食事も少し食べられたりしていたが、入院3日から、臥床したままで1日中全く動かず、昏迷状態になった。検査の結果、軽度の脱水以外の異常はなかった。治療として修正型電気けいれん療法が開始されることになり、実施後20分でAさんは覚醒し、その後の観察中にけいれん発作は認めなかった。実施後30分、Aさんは突然起き上がり興奮し、大きな声で「仕事に行く」と言って病室から出ていこうとした。看護師が制止し、一緒に座って話を聞いたところ、見当識障害、記憶障害、注意障害が認められた。
Aさんの状態で正しいのはどれか。
  • せん妄
  • 躁状態
  • 不安発作
  • 前向性健忘

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (2件)

01

この問題を解くポイントは、うつ病患者への修正型電気けいれん療法と治療後の患者の状態と看護ケアを理解することが必要です。

選択肢1. せん妄

正解

治療後に一時的に出現することがあります。そのため、看護師は病室の環境を整え、不安を和らげるケアが重要となります。

選択肢2. 躁状態

不正解

治療後に躁状態になることは稀です。せん妄状態の方が、より適切な回答になります。

選択肢3. 不安発作

不正解

治療前後に不安発作が見られる場合がありますが、治療そのものが引き金になる可能性は低いと考えられます。

選択肢4. 前向性健忘

不正解

前向性健忘は、治療後に短期間の前向性健忘(新しい記憶が形成されにくくなる)ことがありますが、設問内容とは合致していません。

まとめ

修正型電気けいれん療法とは、うつ病をはじめとする精神疾患に対して有効な治療法です。

看護師は、患者の身体的・心理的安全を確保し、治療前後の適切なケアを行うことが重要になります。

参考になった数0

02

Aさんの状態で正しいのは、「せん妄」です。

修正型電気けいれん療法(mECT)の実施後、見当識障害、記憶障害、注意障害、興奮状態がみられるため、せん妄の特徴に一致します。

 

選択肢1. せん妄

せん妄は意識の混濁や注意の障害、見当識障害、記憶障害が特徴で、急性に発症し、変動することが多い状態です。

Aさんのように突然興奮して「仕事に行く」と言ったり、病室から出ようとする行動はせん妄の典型的な症状です。

見当識障害や記憶障害も観察されており、Aさんの状態はせん妄と考えられます。

 

選択肢2. 躁状態

躁状態では、気分が異常に高揚し、自尊心の増大や多弁、活動の過剰などが見られます。

Aさんの突然の興奮はせん妄による一時的な混乱であり、持続的な躁状態とは異なります。

選択肢3. 不安発作

不安発作(パニック発作)は、突然の強い不安感や恐怖感を伴い、動悸や呼吸困難などの身体症状が特徴です。

Aさんにそのような身体的な症状は認められず、不安発作とは考えられません。

選択肢4. 前向性健忘

前向性健忘は、新しい記憶を形成する能力が障害される状態です。

Aさんに一部記憶障害が認められるものの、それはせん妄の症状の一部であり、前向性健忘が主症状であるとは言えません。

まとめ

Aさんの見当識障害、記憶障害、注意障害、興奮状態は、せん妄の特徴に合致します。

せん妄は修正型電気けいれん療法後に一時的に生じることがあり、適切な観察と対応が必要です。

参考になった数0