司法書士の過去問
平成27年度
(旧)平成27年度 問13

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問題

平成27年度 司法書士試験 問13 (訂正依頼・報告はこちら)

質権に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものは、幾つあるか。


ア 動産質権は、元本、利息違約金、質権の実行の費用、質物の保存の費用及び債務の不履行又は質物の隠れた破戒によって生じた損害の賠償を担保し設定行為においてこれと異なる別段の定めをすることはできない。

イ 不動産質権は、その設定の登記をしなくてもその効力を生ずる。

ウ 質権の目的である債権が保証債務によって担保されている場合、質権の効力は、その保証債権に及ぶ。

エ 質権の目的である債権が金銭債権であり、その債権及び被担保債権がいずれも弁済期にある場合、質権者は、被担保債権の額にかかわらず、質権の目的である債権の全額を取り立てることができる。

オ 質権の目的である指名債権の債務者が、質権設定につき異議をとどめないで承諾した場合であっても、当該債務者は、当該指名債権の債権者に対抗することができた事由をもって質権者に対抗することができる。
※ 令和2年4月1日の民法改正により異議をとどめない承諾による抗弁の切断規定は削除されました。
本設問は平成27年度に出題されたものです。
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この過去問の解説 (3件)

01

ア ×
 質権は、約定担保物件であり、設定行為において、これと異なる別段の定めをすることができます。

イ 〇
 不動産質権は引渡しによって効力が生じ、登記は対抗要件となります。

ウ 〇
 主たる債務について生じた事由は、保証債務に及ぶため、質権の効力は、その保証債務に及びます。

エ ×
 質権の効力は、その被担保債権の範囲内で、質権の目的である金銭債権に及びますので、質権者は、被担保債権の範囲内で債権を取り立てることができます。

オ ×
債務者が、質権設定につき異議をとどめないで承諾した場合は、債権譲渡の場合と同じく抗弁の切断が生じ、指名債権の債権者に主張できた抗弁をもって、質権者に主張できなくなります。

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02

正解は 2 です。

正しい選択肢の個数は2個なので、2が正解です。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. 民法346条は、質権は、元本、利息、違約金、質権の実行費用、質物の保存の費用及び債務の不履行又は質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保する。但し、設定行為に別段の定めがある時は、この限りではない、と規定しています。従って、本選択肢は誤りです。

イ. 民法344条では、質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生じる、と規定しています。登記は対抗要件にすぎません。従って、本選択肢は正しいです。

ウ. 債権質の効力は、質入れされた債権の元本及び利息の全てに及び、その債権に付されている担保(人的担保としての保証、物的担保としての抵当権、質権など)にも及びます。従って、本選択肢は正しいです。

エ. 質権者は、質権の目的である債権を直接取り立てることができます。また、債権の目的が金銭であるときは、質権者は、自己の債権額に対応する部分に限り、これを取り立てることができます(民法366条1項、2項参照)。従って、本選択肢は誤りです。

オ. 指名債権を債権の目的としたときは、民法467条の規定に従い、第三債務者に質権の設定を通知し、又は第三債務者がこれを承諾しなければ、これをもって第三債務者その他の第三者に対抗することができません。債務者が異議のない承諾をした場合には、質権設定者に対抗できる事由があったとしても、これを質権者に対抗することはできません(民法364条、468条1項参照)。従って、本選択肢は誤りです。

参考になった数11

03

ア誤
動産質は346条より被担保債権の範囲が規定されていますが、設定行為によってこれとことなる別段の定めをすることが出来ます。

イ正
不動産質の登記は効力発生要件ではなく第三者に対する対抗要件です。

ウ正
その通り。質権の目的である債権が保証債務によって担保されている場合、質権の効力はその保証債務にも及びます。

エ誤
権利質の効力は被担保債権に限られその範囲で債権の取り立てが出来ます。

オ誤
質権の目的である指名債権の債務者が質権設定につき異議を留めないで承諾をすると、債務者は指名債権の債権者に対抗することが出来た事由をもって質権者に対抗することが出来ません。

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