司法書士の過去問
平成27年度
(旧)平成27年度 問25
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問題
平成27年度 司法書士試験 問25 (訂正依頼・報告はこちら)
中止未遂の成否に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア Aは、Bを殺そうと考え、刺身包丁をBに向かつて振り下ろしたが、Bが身をかわしたためにBの衣服が切れたにとどまり、その際、Bから涙ながらに「 助けてくれ 」と懇願されたため、Bを哀れに思い、殺害するのをやめてその場を立ち去った。この場合、Aには、殺人罪の中止未遂は成立しない。
イ Aは、一戸建てのB宅に放火しようと考え、その軒先に、準備した段ボルを置いて火をつけたが、Bが死んでしまっては申し訳ないと思い、大声で「 火事だ 」と叫びながら立ち去り、その声を聞いたBが消火したため、B宅には燃え移らなかった。この場合、Aには、現住建造物等放火罪の中止未遂は成立しない。
ウ Aは、日々の生活費に窮し金属買取店で換金して現金を得ょうと考え、道路に設置されたマンホルの蓋を三つ盗んで自宅に持ち帰ったが、その後、他人が転落してしまう危険があると考えて反省し、翌日、全てのマンホルの蓋を元の場所に戻しておいた。この場合、Aには、窃盗罪の中止未遂が成立する。
エ Aは、Bを殺そうと考え、青酸化合物をBに飲ませたが、Bが苦しむ姿を見て、大変なことをしてしまったと悟り、直ちに消防署に電話をかけ、自己の犯行を正直に話して救急車を呼び、その結果、Bが病院に搬送されて治療が施されたが、Bは青酸化合物の毒性により死亡した。この場合、Aには、殺人罪の中止未遂は成立しない。
オ Aは、Bが旅行に出かけている聞に、B宅に侵入して金品を盗もうと考え、深夜、侵入に使うためのドライパなどを準備してB宅の前まで、行ったが、Bが金品を盗まれて落胆する姿を想像しそれがかわいそうになって、B宅に侵入することなく帰宅した。この場合、Aには、窃盗罪の中止未遂が成立する。
ア Aは、Bを殺そうと考え、刺身包丁をBに向かつて振り下ろしたが、Bが身をかわしたためにBの衣服が切れたにとどまり、その際、Bから涙ながらに「 助けてくれ 」と懇願されたため、Bを哀れに思い、殺害するのをやめてその場を立ち去った。この場合、Aには、殺人罪の中止未遂は成立しない。
イ Aは、一戸建てのB宅に放火しようと考え、その軒先に、準備した段ボルを置いて火をつけたが、Bが死んでしまっては申し訳ないと思い、大声で「 火事だ 」と叫びながら立ち去り、その声を聞いたBが消火したため、B宅には燃え移らなかった。この場合、Aには、現住建造物等放火罪の中止未遂は成立しない。
ウ Aは、日々の生活費に窮し金属買取店で換金して現金を得ょうと考え、道路に設置されたマンホルの蓋を三つ盗んで自宅に持ち帰ったが、その後、他人が転落してしまう危険があると考えて反省し、翌日、全てのマンホルの蓋を元の場所に戻しておいた。この場合、Aには、窃盗罪の中止未遂が成立する。
エ Aは、Bを殺そうと考え、青酸化合物をBに飲ませたが、Bが苦しむ姿を見て、大変なことをしてしまったと悟り、直ちに消防署に電話をかけ、自己の犯行を正直に話して救急車を呼び、その結果、Bが病院に搬送されて治療が施されたが、Bは青酸化合物の毒性により死亡した。この場合、Aには、殺人罪の中止未遂は成立しない。
オ Aは、Bが旅行に出かけている聞に、B宅に侵入して金品を盗もうと考え、深夜、侵入に使うためのドライパなどを準備してB宅の前まで、行ったが、Bが金品を盗まれて落胆する姿を想像しそれがかわいそうになって、B宅に侵入することなく帰宅した。この場合、Aには、窃盗罪の中止未遂が成立する。
- アイ
- アオ
- イエ
- ウエ
- ウオ
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この過去問の解説 (3件)
01
正しい選択肢はイとエなので、3が正解となります。
各選択肢の解説は、以下のとおりです。
ア. 犯罪を「中止した」といえるかについては、着手未遂か実行未遂かを区別して、着手未遂の場合には、不作為で足りるが、実行未遂の場合には、積極的な結果発生防止措置を必要とするとされています。判例も、着手未遂の事案にあっては、犯人がそれ以上の実行行為をせずに、犯行を中止し、かつ、その中止が犯人の任意に出たと認められる場合には、中止未遂は成立することになる、としています(最高裁昭和62年7月16日判決)。従って、本選択肢は誤りです。
イ. 判例は、中止犯は、犯人が犯罪の実行に着手した後、その継続中、任意にこれを中止し若しくは結果の発生を防止することによって成立するとし、このように言えるためには、少なくとも、犯人自身が防止に当たったと同視できる程度の努力を払う必要があるとして、放火したまま消火活動を一方的に第三者に依頼して行方をくらませた者について、中止未遂の成立を否定しています(大審院昭和12年6月25日判決)。従って、本選択肢は正しいです。
ウ. Aはマンホールの蓋を盗んで自宅に持ち帰っており、既に窃盗罪は既遂となっていることから、窃盗罪の中止未遂は成立しません。従って、本選択肢は誤りです。
エ. 自己の行った行為が既遂に達した場合には、中止未遂は成立しません。Aは、救急車を呼ぶ等の結果発生を防止するための活動を行っているが、Bが死亡したことにより、殺人罪は既遂に達することから、殺人罪の中止未遂は成立しません。従って、本選択肢は正しいです。
オ. 本ケースでは、Bの宅前に行ったにすぎず、他人の占有を侵害する行為は開始されていないから、窃盗罪の実行の着手は認められず、窃盗罪の中止未遂は成立しません。従って、本選択肢は誤りです。
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02
Aは殺害が可能であったにもかかわらず、自分の意思でBを殺害することをやめており、中止未遂が成立します。
イ 〇
実行未遂の場合に中止犯が成立するためには、行為者自身の真摯な中止行為が必要となります。本問の場合、Aは「火事だ」と叫んで立ち去っただけであり、真摯な中止行為があったとは言えないため、Aには現住建造物等放火罪の中止未遂は成立しません。
ウ ×
Aはマンホールの蓋を三つ盗んで自宅に持ち帰っており、窃盗罪が成立しています。
エ 〇
Aは中止行為を行っていますが、Bの死亡という結果が生じているため、殺人罪が成立します。
オ ×
AはB宅に侵入することなく帰宅しておりますので、窃盗の実行に着手していません。よって、無罪になります。
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03
自己の意思による中止であれば中止未遂に該当します。殺人については自己の意思によって中止しているため殺人罪の中止未遂が成立します。
イ正
中止犯が成立するには結果発生の防止行動が要求されます。大声で「火事だ」と叫ぶだけでは中止犯は成立しません。
ウ誤
実際にマンホールを盗んでいるので窃盗の既遂です。
エ誤
結果発生の防止行動をしていますが実際に死亡しているため中止犯は成立せず、殺人罪が成立します。
オ誤
Aは窃盗の着手がないため中止未遂になりません。
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