司法書士の過去問
平成27年度
(旧)平成27年度 問34

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問題

平成27年度 司法書士試験 問34 (訂正依頼・報告はこちら)

次の対話は、株式交換に関する教授と学生との対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。


教授:A株式会社( 以下「 A社 」という。)がB株式会社( 以下「 B社 」という。)を株式交換完全親会社とする株式交換の事例について考えてみましょう。まず、B社は、A社の株主に対し、その株式に代わる対価を交付しないことができますか。

学生:(ア) A社の株主を保護するため、会社法上、B社は、株式交換に際してA社の株主に対して対価を交付しなければならないとされています。

教授:B社がA社の総株主の議決権の10分の9以上を有している場合には、株式交換に際して、A社の少数株主の保護は、会社法上、どのように図られていますか。なお、B社がA社の株主に対して交付する対価は、金銭であるとします。

学生:(イ) A社の反対株主は、A社に対し自己の有するA社株式を公正な価格で買い取ることを請求することができます。また、例えば、株式交換契約において定められたB社がA社の株主に対して交付する対価が著しく不当である場合において、A社の株主が不利益を受けるおそれがあるときは、A社の株主は、A社に対し、株式交換をやめることを請求することができます。

教授:A社がその株式に係る株券を現に発行している場合には、A社は、どのような手続を採る必要がありますか。

学生:(ウ) A社は、効力発生日までにA社に対し株券を提出しなければならない旨をその日の1か月前までに、公告しかつ、株主及び登録株式質権者には、各別にこれを通知しなければなりません。

教授:それでは、株式交換に際して、A社の債権者の保護は、会社法上、どのように図られていますか。

学生:(エ) 株式交換によってA社の債権者の地位に変動が生ずることはないので、会社法上、A社の債権者が異議を述べる手続は定められていません。

教授:最後に、株式会社でない会社も、株式交換の当事会社となることはできますか。

学生:(オ) 株式交換完全子会社は、株式会社に限られますが、株式交換完全親会社は、株式会社のほか、合名会社、合資会社又は合同会社もなることができます。

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この過去問の解説 (3件)

01

ア ×
 B社は、A社の株主に対して、金銭等の株式に代わる対価を交付することができますが、対価自体を交付しないこともできます。
 
イ 〇
 株式交換完全子会社においては、株式買取請求権が認められています。また、A社の株主に対して交付する対価が著しく不当である場合には、株式交換をやめることを請求することもできます。

ウ 〇
 株式交換を行うとき、A社が現に株券を発行している場合は、A社は株券提出公告をし、株主と登録株式質権者に対して通知をしなければなりません。

エ ×
 債権者のうち、株式交換契約新株予約権が、新株予約権付社債に付されたものである場合、A社の社債権者にとっては、債務者がA社からB社に代わることになるため、株主交換に対して異議を述べることができます。

オ ×
 株式交換は完全親子会社を作るための制度になりますので、株式交換完全子会社は株式会社のみ認められており、株式交換完全親会社は、株式会社と有限責任社員のみが存在する合同会社がなることができます。

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02

正解は 3 です。

正しい選択肢はイとエなので、3が正解です。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. 株式交換完全子会社の株主を保護するため、会社法上、株式交換完全親会社が株式交換完全子会社の株主に対して対価を交付しなければならない、という規定はありません(会社法768条2項参照)。従って、本選択肢は誤りです。

イ. 会社法587条2項では、吸収合併をする場合には、反対株主は、消滅株式会社に対して、自己の有する株式を公正な価額で買い取ることを請求することができる、と規定しています。また、会社法784条2項2号では、株式交換契約によって定められた親会社が子会社の株主に対して交付する対価が著しく不当である場合において、消滅株式会社等の株主が不利益を受ける恐れがあるときは、消滅株式会社等の株主は、消滅会社等に対して、吸収合併等をやめることを請求することができる、と規定しています。従って、本選択肢は正しいです。

ウ. 会社法219条1項では、現に株券を発行している株券発行会社が株式を交換する場合には、当該行為の効力が生じる日までに当該株券発行会社に対して全部の株式に係る株券を発行しなければならない旨を株券提出日の1か月前までに、公告し、かつ、当該株式の株主及びその登録質権者には、格別にこれを通知しなければならない、と規定しています。従って、本選択肢は正しいです。

エ. 会社法789条1項3号では、株式交換契約新株予約権が新株予約権付社債に付された新株予約権である場合、当該新株予約権付社債についての社債権者は、株式交換完全子会社に対して、吸収合併等について異議を述べることができる、と規定しています。従って、
A社の債権者が異議を述べる手続きは定められていないとする本選択肢は、誤りです。

オ. 株式交換とは、株式会社が、その発行済株式の全部を他の株式会社又は合同会社に取得させることをいいます。従って、本選択肢は誤りです。

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03

ア誤
株式交換親会社であるB社はA社に対して、その株式に代わる対価を公布しないことが出来ます。

イ正
A社の少数株主を保護するためにA社の反対する株主は自身の株式を会社に買い取ってもらうよう請求することが出来ます。また交換の差止請求ができます。

ウ正
その通り。株券を現に発行している場合には、株主と登録株式質権者に公告と通知をしなければなりません。

エ誤
株式交換によってA社の債権者の地位に変化が生ずる場合があり、その際はA社債権者保護のために異議を述べることが出来ます。

オ誤
株式完全親会社は株式会社と有限責任社員によって構成される合同会社がなることが出来ます。

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