司法書士の過去問
平成27年度
(旧)平成27年度 問35
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問題
平成27年度 司法書士試験 問35 (訂正依頼・報告はこちら)
商事消滅時効に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 商行為である売買契約が解除された場合には、その解除による原状回復請求権は、5年間行使しないときは、時効によって消滅する。
イ 商人がその営業のために商人でない者の債務を保証した場合には、主たる債務についての消滅時効期間が10年であっても、債権者の当該商人に対する保証債務履行請求権は、5年間行使しないときは、時効によって消滅する。
ウ 商人がその営業のために商人でない者に対して金銭を貸し付け、当該商人でない者が利息制限法所定の制限を超えて利息を支払った場合には、当該商人でない者の当該商人に対する不当利得返還請求権は、5年間行使しないときは、時効によって消滅する。
エ 会社法第64条第1項の証明書を交付した銀行が同条第2項に基づき成立後の株式会社に対しその証明に係る金額を支払う債務を負う場合には、当該株式会社の当該銀行に対するその支払請求権は、5年間行使しないときは、時効によって消滅する。
オ 取締役がその任務を怠った場合における株式会社の当該取締役に対する会社法に基づく損害賠償請求権は、5年間行使しないときは、時効によって消滅する。
(参考)
会社法
第64条 第57条第1項の募集をした場合には、発起人は、第34条第1項及び前条第1項の規定による払込みの取扱いをした銀行等に対し、これらの規定により払い込まれた金額に相当する金銭の保管に関する証明書の交付を請求することができる。
2 前項の証明書を交付した銀行等は、当該証明書の記載が事実と異なること又は第34条第1項若しくは前条第1項の規定により払い込まれた金銭の返還に関する制限があることをもって成立後の株式会社に対抗することができない。
ア 商行為である売買契約が解除された場合には、その解除による原状回復請求権は、5年間行使しないときは、時効によって消滅する。
イ 商人がその営業のために商人でない者の債務を保証した場合には、主たる債務についての消滅時効期間が10年であっても、債権者の当該商人に対する保証債務履行請求権は、5年間行使しないときは、時効によって消滅する。
ウ 商人がその営業のために商人でない者に対して金銭を貸し付け、当該商人でない者が利息制限法所定の制限を超えて利息を支払った場合には、当該商人でない者の当該商人に対する不当利得返還請求権は、5年間行使しないときは、時効によって消滅する。
エ 会社法第64条第1項の証明書を交付した銀行が同条第2項に基づき成立後の株式会社に対しその証明に係る金額を支払う債務を負う場合には、当該株式会社の当該銀行に対するその支払請求権は、5年間行使しないときは、時効によって消滅する。
オ 取締役がその任務を怠った場合における株式会社の当該取締役に対する会社法に基づく損害賠償請求権は、5年間行使しないときは、時効によって消滅する。
(参考)
会社法
第64条 第57条第1項の募集をした場合には、発起人は、第34条第1項及び前条第1項の規定による払込みの取扱いをした銀行等に対し、これらの規定により払い込まれた金額に相当する金銭の保管に関する証明書の交付を請求することができる。
2 前項の証明書を交付した銀行等は、当該証明書の記載が事実と異なること又は第34条第1項若しくは前条第1項の規定により払い込まれた金銭の返還に関する制限があることをもって成立後の株式会社に対抗することができない。
- アイ
- アエ
- イオ
- ウエ
- ウオ
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この過去問の解説 (3件)
01
誤っている選択肢はウとオなので、5が正解です。
各選択肢の解説は、以下のとおりです。
ア. 商法522条では、商行為によって生じた債権は、この法律に別段の定めがある場合を除き、5年間行使しない場合には、時効によって消滅する、と規定しています。また、判例は、商事契約の解除における原状回復請求権は商事債務であり、その履行不能による損害賠償義務も商事債務と解すべきである、としています(最高裁昭和35年11月11判決)。従って、本選択肢は正しいです。
イ. 判例は、保証債務が商行為によって生じた債務であるときは、主たる債務が民事債務であっても、その保証債務につき商法522条が適用される、としています(大審院昭和13年4月8日判決)。従って、本選択肢は正しいです。
ウ. 判例は、商法522条の適用又は類推適用されるべき債権は、商行為に属する法律行為から生じたもの又はこれに準じるものでなければならなず、利息制限法所定の制限を超えて支払われた利息・損害金についての不当利得返還請求権の消滅時効の期間は、民法上の一般債権として民法176条1項により10年と解するのが相当である、としています(最高裁昭和55年1月24日判決)。従って、本選択肢は誤りです。
エ. 判例は、銀行等が払込株式取扱委託契約に基づいて申請に払い込まれた払込金を会社に返還すべき債務は、商行為によって生じた債務であることが明らかであるから、商行為によって生じた債務と同一に取り扱われるべき、としています(最高裁昭和39年5月26日判決)。従って、本選択肢は正しいです。
オ. 判例は、会社法423条1項に基づく会社の取締役に対する損害賠償請求権の消滅時効の有効期間は、商法522条所定の5年ではなく、民法167条1項により10年と解するのが相当である、としています(最高裁平成20年1月18日判決)。従って、本選択肢は誤りです。
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02
その通り。時効の消滅期間は5年間です。
イ正
上記同様、消滅時効の期間は5年間です。商人がその営業のために商人でない者の債務を保証した場合は商行為です。
ウ正
原則、商人がその営業のために商人でない者に対して金銭を貸付けた場合は商行為です。ただし、利息制限法の制限を超えて利息を支払った場合の不当利得返還請求権は民法規定の10年間が消滅時効の期間です。
エ正
その通り。事例の場合は商行為に該当します。したがって、消滅時効の期間は5年間です。
オ誤
取締役の任務懈怠による会社法に基づく損害賠償請求は商行為に該当しないので、民法による消滅時効の10年間となります。
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03
商行為によって生じた債権は、消滅時効は5年となりますので、その解除による原状回復請求権も商行為によって生じた債権と同一視されますので、5年で消滅時効にかかります。
イ 〇
商人がその営業のために商人でない者の債務を保証する行為は、商行為にあたりますので、債権者の商人に対する保証債務履行請求権は、5年で消滅時効にかかります。
ウ ×
商人がその営業のために商人でない者に対して金銭を貸し付けることは、商行為にあたりますが、商人でない者が利息制限法所定の制限を超えて利息を支払った場合の不当利得返還請求権は、商行為にあたりませんので、民法の一般原則どおり、消滅時効期間は10年になります。
エ 〇
会社法第64条第2項により、株式会社が有する銀行に対する支払い請求権は、商行為によって生じた債権とされますので、消滅時効期間は5年になります。
オ ×
取締役の任務懈怠による損害賠償請求権は、民法上の不法行為責任となり、消滅時効期間は10年となります。
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