司法書士の過去問
平成27年度
(旧)平成27年度 問52
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問題
平成27年度 司法書士試験 問52 (訂正依頼・報告はこちら)
次の対話は、職権による登記の抹消及び更正に関する司法書士と補助者との対話である。司法書士の質問に対する次のアからオまでの補助者の解答のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
司法書士:今日は、登記官が職権で権利に関する登記の抹消又は更正をする場合及びその手続について考えてみましょう。当事者の申請又は官庁若しくは公署の嘱託に基づいて権利に関する登記をするとき以外にも、不動産登記法上、登記官は、一定の場合には、職権で権利に関する登記を抹消又は更正することがありますが、それは、どのような場合ですか。
補助者:(ア) 職権による登記の抹消がされるのは、管轄違いの登記又は登記事項以外の事項の登記を目的とする登記がされている場合に限られます。一方、職権による登記の更正がされるのは、登記官が、権利に関する登記に登記官の過誤による錯誤又は遺漏があることを発見した場合に限られます。
司法書士:では、職権による登記の抹消又は更正をするに当たり、登記官は、あらかじめ、登記権利者又は登記義務者に対して、どのような対応をしますか。
補助者:(イ) 登記官は、あらかじめ、登記権利者及び登記義務者に対して、職権による登記の抹消又は職権による登記の更正をする旨を通知します。
司法書士:仮に、職権による登記の抹消又は更正の対象となる登記について登記上の利害関係を有する第三者が存在する場合、登記官は、当該第三者の承諾を得ずに、職権による登記の抹消又は更正をすることはできますか。
補助者:(ウ) 登記官は、当該第三者の承諾を得ずに、職権による登記の抹消又は更正をすることができます。
司法書士:登記官は、職権による登記の抹消又は更正をするに当たって、法務局又は地方法務局の長の許可を得る必要はありますか。
補助者:(エ) 職権による登記の抹消については、法務局又は地方法務局の長の許可を得る必要はありませんが、職権による登記の更正については、その登記官を監督する法務局又は地方法務局の長の許可を得なければなりません。
司法書士:登記官は、職権による登記の抹消又は更正をした後、登記権利者又は登記義務者に対して、どのような対応をしますか。
補助者:(オ) 職権による登記の抹消については、登記権利者及び登記義務者に対して登記の抹消をした旨を通知することはありませんが、職権による登記の更正については、それらの者に対して登記の更正をした旨を通知します。
司法書士:今日は、登記官が職権で権利に関する登記の抹消又は更正をする場合及びその手続について考えてみましょう。当事者の申請又は官庁若しくは公署の嘱託に基づいて権利に関する登記をするとき以外にも、不動産登記法上、登記官は、一定の場合には、職権で権利に関する登記を抹消又は更正することがありますが、それは、どのような場合ですか。
補助者:(ア) 職権による登記の抹消がされるのは、管轄違いの登記又は登記事項以外の事項の登記を目的とする登記がされている場合に限られます。一方、職権による登記の更正がされるのは、登記官が、権利に関する登記に登記官の過誤による錯誤又は遺漏があることを発見した場合に限られます。
司法書士:では、職権による登記の抹消又は更正をするに当たり、登記官は、あらかじめ、登記権利者又は登記義務者に対して、どのような対応をしますか。
補助者:(イ) 登記官は、あらかじめ、登記権利者及び登記義務者に対して、職権による登記の抹消又は職権による登記の更正をする旨を通知します。
司法書士:仮に、職権による登記の抹消又は更正の対象となる登記について登記上の利害関係を有する第三者が存在する場合、登記官は、当該第三者の承諾を得ずに、職権による登記の抹消又は更正をすることはできますか。
補助者:(ウ) 登記官は、当該第三者の承諾を得ずに、職権による登記の抹消又は更正をすることができます。
司法書士:登記官は、職権による登記の抹消又は更正をするに当たって、法務局又は地方法務局の長の許可を得る必要はありますか。
補助者:(エ) 職権による登記の抹消については、法務局又は地方法務局の長の許可を得る必要はありませんが、職権による登記の更正については、その登記官を監督する法務局又は地方法務局の長の許可を得なければなりません。
司法書士:登記官は、職権による登記の抹消又は更正をした後、登記権利者又は登記義務者に対して、どのような対応をしますか。
補助者:(オ) 職権による登記の抹消については、登記権利者及び登記義務者に対して登記の抹消をした旨を通知することはありませんが、職権による登記の更正については、それらの者に対して登記の更正をした旨を通知します。
- アウ
- アオ
- イウ
- イエ
- エオ
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この過去問の解説 (4件)
01
職権による登記の抹消がされるのは、管轄違いの登記又は登記事項以外の事項の登記を目的とする登記がされている場合に限らず、二重に登記がされていた場合や、却下自由に該当する場合にも、職権による登記の抹消がされます。職権による登記の更正がされる場合は本肢のとおりとなります。
イ ×
職権による登記の抹消の場合は、登記官は、あらかじめ1か月以上の期間を定めて、登記権利者、登記義務者および利害関係人に通知するのに対し、職権による登記の更正の場合は、登記の更正をした上で、登記権利者および登記義務者に通知します。
ウ ×
職権による登記の抹消の場合は、登記官は第三者の承諾を得ずに抹消することができますが、職権による登記の更正の場合は、第三者の承諾を得ずに更正することができません。
エ 〇
法務局又は地方法務局の長の許可は、職権による登記の更正の場合のみ必要となります。
オ 〇
職権による登記の抹消の場合は、登記をする前に通知しますので、登記の後に通知することはありません。これに対し、職権による登記の更正の場合は、登記をした後に登記権利者および登記義務者に通知します。
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02
正しい選択肢はエとオなので、5が正解です。
各選択肢の解説は、以下のとおりです。
ア. 処分禁止の登記は職権によって抹消されます(不動産登記法114条)。従って、職権による登記の抹消がされるのは、管轄違いの登記又は登記事項以外の事項の登記を目的とする登記がされている場合に限らるわけではありません。一方、職権による登記が更生されるのは、登記官が権利に関する登記に登記官の過誤による錯誤又は遺漏があることを発見した時に限られます(不動産登記法67条2項参照)。従って、本選択肢は誤りです。
イ. 職権による登記を抹消する場合、登記官は、登記義務者及び登記権利者に対して、1月以上の期間を定めて、当該登記の抹消に異議のある者がその期間内に書面で異議を述べない時は、当該登記を抹消する旨を通知さねければなりません(不動産登記法71条1項参照)。一方、登記官が、権利に関する登記に錯誤又は遺漏があることを発見したときは、登記の更生を当事者に促すため、その旨を登記権利者及び登記義務者に通知しなくてはなりません(不動産登記法67条1項参照)。従って、本選択肢は誤りです。
ウ. 登記官は第三者の承諾を得ずに、職権による登記の抹消及び更正をすることはできません。従って、本選択肢は誤りです。
エ. 職権による登記の抹消について、法務局又は地方法務局の長の許可を得る旨の規定は存在しません。これに対して、職権による登記の更生については、その登記を監督する法務局又は地方法務局の長の許可を得る必要があります(不動産登記法67条2項、71条参照)。従って、本選択医は正しいです。
オ. 職権による登記の更生については、登記官は登記の更生をした時は、その旨を登記権利者及び登記義務者に通知しなければなりません。これに対して、職権による登記の抹消については、登記義務者及び登記権利者に対して登記を抹消した旨を通知する旨の規定はありません(不動産登記法67条3号参照)。従って、本選択肢は正しいです。
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03
ア…誤りです。職権による登記の抹消がされるのは、管轄違いの登記または登記事項以外の事項の登記を目的とする登記がされているときの他に、同じ内容の登記が既にされているとき、また、登記すべきでない内容が認められるときが含まれます(不動産登記法71条1項、25条1号から3号、13号)。一方、職権による登記の更正は、登記官の過誤による錯誤又は遺漏のみを原因とします(不動産登記法67条2項)。
イ…誤りです。職権による登記の抹消を行う際には、登記官は、登記権利者及び登記義務者ならびに利害を有する第三者について、一月以内の期間を定めて異議がある場合は書面で申し立てるよう通知しなければなりません(不動産登記法71条1項)。一方、職権による登記の更正の場合は、登記権利者及び登記義務者にあらかじめ通知する必要はなく、事後の通知で足ります(不動産登記法67条3項)。
ウ…誤りです。職権による登記の抹消について、利害関係を有する第三者にも異議を申し立てる機会を与えており、異議がありかつこれを認めた場合には、異議を述べた者にその旨を通知しなければなりません(不動産登記法71条3項)が、異議のないときまたは異議を却下したときは、登記官が登記の抹消を行えます(同条4項)。職権による登記の更正については、登記上の利害関係者がいるときは、その承諾情報が必要です(不動産登記法67条2項)。
エ…正しいです。職権による登記の抹消について、許可を得るべき機関はありませんが、職権による登記の更正については、監督法務局長または地方法務局長の許可を得なければできません(不動産登記法67条2項)。
オ…正しいです。上記の通り、職権による登記の抹消については、抹消をした旨の通知はされませんが、職権による登記の更正をした後には、登記権利者及び登記義務者にその旨が通知されます。
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04
正解 5
ア 誤り
たとえば、登記官が、承役地に地役権の設定の登記をしたときは、要役地について、職権で、法務省令で定める事項を登記しなければならないとされています(不動産登記法80条4項)。このほかにも、登記の抹消が職権によることとされているものは多数存在します。
よって、職権による登記の抹消がされるのが、管轄違いの登記又は登記事項以外の事項の登記を目的とする登記がされている場合に限られるとする点で本肢は誤りです。
他方で、登記官は、登記の錯誤又は遺漏が登記官の過誤によるものであることを発見したときは、当該登記官を監督する法務局又は地方法務局の長の許可を得て、登記の更正をしなければなりません(不動産登記法67条2項)。よって、後半の記述は正しいです。
イ 誤り
登記官は、権利の関する登記を完了した後に当該登記が登記すべきでないことに該当することを発見したときは、登記義務者及び登記権利者に対し、1月以内の期間を定め、当該登記の抹消について異議のある者がその期間内に書面で異議を述べないときは、当該登記を抹消する旨を通知しなければなりません(不動産登記法71条1項)。
他方で、登記官が、権利に関する登記の錯誤又は遺漏が登記官の過誤によるものであることを発見したときは、遅滞なく、登記の更正をしなければなりません(不動産登記法67条2項)。この場合、登記官が登記の更正をしたときは、その旨を登記権利者及び登記義務者に通知しなければなりません(同条3項)。
よって、職権による登記の抹消に係る本記述は正しいですが、職権による登記の更正に関しては、事後の通知で足りますので、本肢は誤りです。
ウ 誤り
職権による登記の抹消をする場合、登記官は、登記上の利害関係を有する第三者に対し、異議を述べる機会を与える必要がありますが(不動産登記法71条1項)、承諾を得ることまでは必要とされていません。
他方で、職権による登記の更正をする場合は、登記上の利害関係を有する第三者の承諾が必要です(同法67条2項)。
よって、登記官は、登記上の利害関係を有する第三者の承諾を得ずに、職権による登記の抹消を行うことはできますが、更正を行うことはできません。
エ 正しい
職権による登記の抹消について、法務局又は地方法務局の長の許可を得なければならないとする規定は存在しません。
他方で、職権による登記の更正については、当該登記官を監督する法務局又は地方法務局の長の許可を得て行わなければなりません(不動産登記法67条2項)。
オ 正しい
職権による登記の抹消については、登記権利者及び登記義務者に対して登記の抹消した旨を通知する必要はありません。
他方で、職権による登記の更正については、その旨を登記義務者及び登記権利者に通知します(不動産登記法67条3項)。
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