司法書士の過去問
平成27年度
(旧)平成27年度 問53
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問題
平成27年度 司法書士試験 問53 (訂正依頼・報告はこちら)
登記官の職権による登記等に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。なお、登記上の利害関係を有する第三者の承諾を要する場合には、その承諾を得ているものとする。
ア 土地の所有権の登記名義人をAの単有名義からA及びBの共有名義とする更正の登記が申請された場合において、当該土地にCを登記名義人とする地上権の設定の登記がされているときは、登記官は、職権で当該地上権の登記を抹消しなければならない。
イ 所有権の登記のない建物について所有権の移転の仮登記を命ずる裁判所の処分に基づく仮登記が申請されたときは、登記官は、職権で所有権の保存の登記をしなければならない。
ウ 所有権の移転の登記がされている土地について解除を登記原因とする当該所有権の移転の登記の抹消が申請された場合において、当該所有権の移転の登記に買戻しの特約の登記が付記登記によってされているときは、登記官は、職権で当該付記登記を抹消しなければならない。
エ 地上権の設定の登記請求権を保全するための処分禁止の登記とともに保全仮登記がされている土地について当該保全仮登記に基づく本登記が申請された場合において、当該土地に当該処分禁止の登記に後れる賃借権の設定の登記がされているときは、登記官は、職権で当該賃借権の登記を抹消しなければならない。
オ 強制競売の開始決定に基づく差押えの登記がされている土地について当該差押えの登記に後れる賃借権の設定の登記がされている場合において、買受人が代金を納付したときは、裁判所書記官は、買受人への所有権の移転の登記及び当該差押えの登記の抹消のほか、当該賃借権の登記の抹消を嘱託しなければならない。
ア 土地の所有権の登記名義人をAの単有名義からA及びBの共有名義とする更正の登記が申請された場合において、当該土地にCを登記名義人とする地上権の設定の登記がされているときは、登記官は、職権で当該地上権の登記を抹消しなければならない。
イ 所有権の登記のない建物について所有権の移転の仮登記を命ずる裁判所の処分に基づく仮登記が申請されたときは、登記官は、職権で所有権の保存の登記をしなければならない。
ウ 所有権の移転の登記がされている土地について解除を登記原因とする当該所有権の移転の登記の抹消が申請された場合において、当該所有権の移転の登記に買戻しの特約の登記が付記登記によってされているときは、登記官は、職権で当該付記登記を抹消しなければならない。
エ 地上権の設定の登記請求権を保全するための処分禁止の登記とともに保全仮登記がされている土地について当該保全仮登記に基づく本登記が申請された場合において、当該土地に当該処分禁止の登記に後れる賃借権の設定の登記がされているときは、登記官は、職権で当該賃借権の登記を抹消しなければならない。
オ 強制競売の開始決定に基づく差押えの登記がされている土地について当該差押えの登記に後れる賃借権の設定の登記がされている場合において、買受人が代金を納付したときは、裁判所書記官は、買受人への所有権の移転の登記及び当該差押えの登記の抹消のほか、当該賃借権の登記の抹消を嘱託しなければならない。
- アウ
- アオ
- イエ
- イオ
- ウエ
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この過去問の解説 (4件)
01
Aの単有名義からA及びBの共有名義に更正すると、B持分上の地上権は消滅することになりますが、地上権は持分上に存続することができないため、登記官は職権で地上権の登記を抹消しなければなりません。
イ ×
所有権の移転の仮登記を命ずる裁判所の処分に基づく仮登記においては、登記官が職権で所有権の保存登記ができる旨の規定が定められていません。そのため、仮登記を申請する者は、所有権の移転の仮登記を命ずる裁判所の処分に基づく仮登記を代位原因証明情報として提供し、自ら所有権保存登記を申請しなければなりません。
ウ ×
買戻登記を職権で抹消する規定は定められていないため、職権抹消はできず、所有権の移転の登記の抹消と同時に又は先立って、買戻登記の抹消を申請しなければなりません。
エ ×
仮登記を本登記にする際に職権抹消できる規定は定められていないため、地上権の本登記をするに先立って、賃借権の登記の抹消を申請しなければなりません。
オ 〇
差押えの登記に遅れる賃借権は、差押えの登記に対抗することができませんので、裁判所書記官は、買受人の所有権の移転の登記および当該差押えの登記の抹消のほか、当該賃借権の抹消を嘱託しなければなりません。
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02
ア…正しいです。地上権は、その性質上、一筆の土地の共有持分に設定することはできません。したがって本問でも地上権の目的である土地がA単独名義からAB共有名義に更正されると、地上権を勝手にB持分に設定することはできず、A持分にのみ設定されていることになってしまうので、登記官が職権で地上権を抹消します。
イ…誤りです。所有権の保存の登記が、登記官の職権でなされるのは、嘱託による所有権の処分の制限の登記の場合です(不動産登記法76条2項)。したがって所有権の登記がない建物につき所有権移転の登記を行おうとするときは、これに先立って、所有権の保存の登記を申請する必要があります(H19過去問)。
ウ…誤りです。買戻しの特約の登記がある所有権の移転登記を抹消するには、当該登記の抹消申請と同時に、もしくはこれに先立って、買戻しの特約の登記の抹消を申請する必要があります(先例)。
エ…誤りです。所有権以外の権利の保存・設定・変更につき、処分禁止の登記とともになされた保全仮登記に基づく本登記の申請がなされた場合、本登記の申請者(仮処分債権者)が、処分禁止の登記に遅れる登記のうち、該当するもの(不動産の使用・収益にかかる権利)の抹消を申請できます(民事保全法58条4項、不動産登記法113条)。登記官が職権で抹消できるのは、当該処分禁止の登記です(不動産登記法114条)。
オ…正しいです。差押えの登記がされている不動産について、強制競売が行われ買受人が代金の納付をしたときは、裁判所書記官は、買受人への所有権移転の登記、差押の登記の抹消、及び、売却により消滅した権利又は売却により効力を失った権利の登記の抹消を嘱託せねばなりません(民事執行法81条1項各号)。不動産の所有者が変わるため、賃借権も抹消の対象となります。
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03
正解 2
ア 正しい
土地の所有権の登記名義人をAの単有名義からA及びBの共有名義とする更正登記が申請された場合において、当該土地に地上権の設定が登記されているときは、従前の土地(Aの単独所有)を目的として地上権を存続することはできないため、登記官は、職権で当該地上権の登記を抹消することになります。
イ 誤り
所有権の登記のない建物について所有権の移転の仮登記を命じる裁判所の処分に基づいて仮登記がの決定書の正本を提供して仮登記の申請がなされた場合、登記官は職権で所有権保存登記をすることはできません(昭和35年9月7日民甲2221参照)。
ウ 誤り
所有権の移転の登記がある土地について解除を登記原因とする当該所有権の移転の登記の抹消が申請された場合において、当該所有権の移転の登記に買戻しの特約の登記が付記登記によってされている場合、当該所有権移転登記の抹消と同時に、または、それに先立って買戻しの特約の登記の抹消登記を申請しなければならないとしています(昭和41年8月24日民甲2446参照)。
エ 誤り
地上権の設定の登記請求権を保全するための処分禁止の登記とともに保全仮登記がされている土地について当該保全仮登記に基づく本登記が申請された場合、これと同時に申請するときに限り、仮処分債権者は単独で、仮処分の登記に後れる所有権以外の不動産の使用若しくは収益をする権利、又はその権利を目的とする権利の登記を抹消することができます。
よって、本肢において、登記官は、職権で当該賃借権の登記を抹消しなければなりません。
オ 正しい
強制競売において、買受人が代金を納付したときは、裁判所書記官は、①買受人の取得した権利の移転の登記、②売却により効力を失った権利の取得に係る登記の抹消、③差押えの登記の抹消を嘱託しなければなりません(民事執行法82条1項1号~3号)。
よって、本肢において、裁判所書記官は、買受人への所有権の移転の登記及び当該差押えの登記の抹消のほか、当該賃借権の登記の抹消を嘱託しなければなりません。
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04
正しい選択肢はアとオなので、2が正解です。
各選択肢の解説は、以下のとおりです。
ア. 先例は、土地の所有権の登記名義人をA単有名義からAB共有名義とする更正登記をしたときは、地上権は、A持分のみを目的として存続することはできないので、登記官の職権で抹消される、としています(平成21年2月20日民2.5005参照)。従って、本選択肢は正しいです。
イ. 先例は、所有権の登記のない不動産について仮登記を命じる裁判所の処分の決定書の正本を提供して仮登記の申請がなされた場合、登記官は職権で所有権保存登記をすることはできない、としています(昭和35年9月7日民甲2221参照)。従って、本選択肢は誤りです。
ウ. 先例は、買戻特約の付記登記のある所有権移転登記を抹消する場合、それに先立って又は同時に、買戻特約の登記の抹消登記を申請することを要する、としています(昭和41年8月24日民甲2446参照)。従って、本選択肢は誤りです。
エ. 先例は、不動産の使用又は収益をする権利につき保全仮登記に基づく本登記を申請する場合には、これと同時に申請するときに限り、仮処分債権者は単独で、仮処分の登記に後れる所有権以外の不動産の使用若しくは収益をする権利、又はその権利を目的とする権利の登記を抹消することができる、としています(平成2年11月8日民3.5000参照)。従って、本選択肢は誤りです。
オ. 強制競売において、買受人が代金を納付したときは、裁判所書記官は、買受人の取得した権利の移転の登記及び差押えの登記の抹消を嘱託しなければなりません(民事執行法82条1項1号、3号参照)。従って、本選択肢は正しいです。
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