司法書士の過去問
平成27年度
(旧)平成27年度 問56
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問題
平成27年度 司法書士試験 問56 (訂正依頼・報告はこちら)
敷地権付き区分建物についての登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 敷地権である旨の登記がされた土地のみを目的とする不動産工事の先取特権の保存の登記の申請は、その登記原因の日付が当該敷地権が生じた日の前後いずれであるかを問わず、することができる。
イ 区分建物の所有権及び当該区分建物の敷地である土地の所有権の共有持分についてそれぞれ抵当権の設定の登記がされた後に、敷地権である旨の登記がされた場合において、これらの抵当権の登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一であるときは、当該土地の所有権の共有持分についてされた抵当権の登記は、登記官が職権で抹消しなければならない。
ウ 敷地権が賃借権である敷地権付き区分建物について、表題部所有者から所有権を取得した者が所有権の保存の登記を申請するときは、当該所有権を取得した者の住所を証する情報、表題部所有者から当該区分建物の所有権を取得したことを証する情報及び敷地である土地の所有権の登記名義人の承諾を証する情報を提供しなければならない。
エ 敷地権付き区分建物の所有権の移転の登記を申請する場合において、当該建物が属する一棟の建物に共用部分である旨の登記がされた建物があるときは、当該共用部分である旨の登記がされた建物の種類、構造及び床面積を申請情報の内容としなければならない。
オ 敷地権付き区分建物について、表題部所有者から所有権を取得した者の名義でされた所有権の保存の登記を錯誤により抹消したときは、登記官は、その登記記録を閉鎖することなく、職権で表題部所有者の表示を回復する。
ア 敷地権である旨の登記がされた土地のみを目的とする不動産工事の先取特権の保存の登記の申請は、その登記原因の日付が当該敷地権が生じた日の前後いずれであるかを問わず、することができる。
イ 区分建物の所有権及び当該区分建物の敷地である土地の所有権の共有持分についてそれぞれ抵当権の設定の登記がされた後に、敷地権である旨の登記がされた場合において、これらの抵当権の登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一であるときは、当該土地の所有権の共有持分についてされた抵当権の登記は、登記官が職権で抹消しなければならない。
ウ 敷地権が賃借権である敷地権付き区分建物について、表題部所有者から所有権を取得した者が所有権の保存の登記を申請するときは、当該所有権を取得した者の住所を証する情報、表題部所有者から当該区分建物の所有権を取得したことを証する情報及び敷地である土地の所有権の登記名義人の承諾を証する情報を提供しなければならない。
エ 敷地権付き区分建物の所有権の移転の登記を申請する場合において、当該建物が属する一棟の建物に共用部分である旨の登記がされた建物があるときは、当該共用部分である旨の登記がされた建物の種類、構造及び床面積を申請情報の内容としなければならない。
オ 敷地権付き区分建物について、表題部所有者から所有権を取得した者の名義でされた所有権の保存の登記を錯誤により抹消したときは、登記官は、その登記記録を閉鎖することなく、職権で表題部所有者の表示を回復する。
- アウ
- アオ
- イエ
- イオ
- ウエ
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この過去問の解説 (4件)
01
誤っている選択肢はウとエなので、5が正解です。
各選択肢の解説は、以下のとおりです。
ア. 先例は、区分建物のみ又は敷地権の目的たる土地のみを目的として、不動産の保存・工事の先取特権が発生したときは、その原因日付が区分建物につき敷地権が生じた日の前後を問わず、区分建物のみ又は土地のみを目的として、その保存登記をすることができる、としています(昭和58年11月10日民3.6400参照)。従って、本選択肢は正しいです。
イ. 先例は、区分建物の所有権及び当該区分建物の敷地である土地の所有権の共有持分についてそれぞれ抵当権の設定の登記がされた後、敷地権である旨の登記がされた場合において、これらの抵当権の登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一であるときは、当該土地の所有権の共有持分についてされた抵当権の登記は、登記官が職権で抹消しなければならない、としています(不動産登記規則123条2項、記録例139参照)。従って、本選択肢は正しいです。
ウ. 敷地権付区分建物について、所有権保存の登記を申請する際、敷地権が賃借権であるときは、原則として、敷地である土地の所有権の登記名義人の承諾を証する情報の提供が必要だが、賃借権の譲渡を許す旨の定めの登記がある時は、敷地である土地の所有権の登記名義人の承諾を証する情報の提供は不要です。従って、本選択肢は誤りです。
エ. 区分所有者がその専有部分を処分したときは、その効力は、当然にその区分所有者の有した共有部分にも及び、その共有部分も一緒に処分したことになるので、当該共用部分である旨の登記がされた建物の種類、構造及び床面積を申請情報の内容とする必要はありません。従って、本選択肢は誤りです。
オ. 先例は、敷地権付き区分建物について、表題部所有者から所有権を取得した者の名義でされた所有権保存の登記を錯誤により抹消したときは、登記官は、その登記記録を閉鎖することなく、職権で、表題部所有者の表示を回復する、としています(昭和59年2月25日民3.1085参照)。従って、本選択肢は正しいです。
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02
不動産工事の先取特権の保存の登記の申請は、その土地のみに生じた権利であるので、その登記原因の日付が当該敷地権が生じた日の前後いずれであるかを問わず、することができます。
イ 〇
区分建物の所有権及び当該区分建物の敷地である土地の所有権の共有持分について、それぞれ抵当権の設定の登記がされた後に敷地権である旨の登記がされた場合、これらの抵当権の登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一であるときは、当該区分建物の抵当権の登記は、敷地権についても効力を有するため、土地の所有権の共有持分についてされた抵当権の登記は、登記官が職権で抹消しなければなりません。
ウ ×
敷地権が賃借権であるため、土地の所有権の登記名義人の承諾を証する情報ではなく、賃借権者の承諾を証する情報が必要となります。
エ ×
共用部分である旨の登記がされた建物があるときでも、それを申請情報内容とする必要はありません。
オ 〇
敷地権付き区分建物について、表題部所有者から所有権を取得した者の名義でされた所有権の保存の登記を錯誤により抹消した時は、登記記録は抹消されず、登記官は職権で、表題部所有者の表示を回復します。
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03
ア…正しいです。不動産工事の先取特権の登記は、建物または土地のどちらかに設定することになるので、敷地権または敷地権付区分建物を目的として、敷地権が生じた日の前後に関わりなく、登記することができます(先例)。
イ…正しいです。区分建物の所有権およびその敷地の所有権の持分について抵当権の設定がされ、その後に敷地権の設定がされた場合において、通常は建物の抵当権と敷地の抵当権とは別個に扱われますが(不動産登記法73条1項1号)、当該建物と当該敷地にされた抵当権の登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一であるときは、建物の抵当権と敷地権の抵当権は登記上同じ効力を有します(同号ただし書)。この場合、登記官は敷地権についてされた抵当権について、登記の抹消をしなければなりません(不動産登記規則123条2項)。
ウ…誤りです。区分建物については、表題部所有者から所有権を取得した者も所有権保存の登記をすることができます(不動産登記法74条2項)。敷地権付区分建物については、①登記原因証明情報、②敷地権の所有権の登記名義人の承諾を証する書面、③区分建物を取得した者の住所証明情報、が必要です(不動産登記令別表29)。この①登記原因証明情報としては、当該敷地権付区分建物について、敷地権の対象である土地と同一の処分がされたことを証する書面が必要ですが(先例)、敷地権のない区分建物と異なり、申請人が表題部所有者から当該区分建物の所有権を取得したことを証する書面は必要ありません(不動産登記令別表29イ参照)。また敷地権が賃借権であるので、②敷地権の所有権の登記名義人(賃借人)の承諾だけでなく、原則としてさらに土地の所有者(賃貸人)の承諾を証する書面が必要ですが、特約で賃借権の譲渡を許している場合は必要ではありません(不動産登記法81条3号)。
エ…誤りです。敷地権付区分建物の所有権の移転の登記の申請には、敷地権に関する項目の他、当該建物が属する一棟の建物についても、その名称または家屋番号、もしくは構造および床面積を申請情報とする必要があります(不動産登記令3条8号、11号ヘ)。しかし、共用部分に関する登記事項の規定はありません。
オ…正しいです。表題部所有者から所有権を取得した者の名義でされた所有権保存の登記を錯誤により抹消した場合、登記記録を閉鎖することはせず、登記官の職権で登記記録を回復します(先例)。
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04
ア 正しい
不動産の保存・工事の先取特権は、敷地権が生じている場合であっても、区分建物又は敷地権の目的である土地にのみ成立する権利です。
よって、敷地権が生じた日の前後いずれであるかを問わず、区分建物又は敷地権の目的である土地のみを目的として、保存登記の申請をすることができます。
イ 正しい
区分建物の所有権及び当該区分建物の敷地である土地の所有権の共有持分についてそれぞれ抵当権の設定の登記がされた後に、敷地権である旨の登記がされた場合において、これらの抵当権の登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一であるときは、当該区分建物に係る抵当権の登記の効力は、敷地権についても及びます。
そのため、当該土地の所有権の共有持分についてされた抵当権の登記は、登記官が職権で抹消しなければなりません。
ウ 誤り
敷地権付き区分建物の所有権の保存登記を申請するときは、登記原因を証する情報及び敷地権の登記名義人の承諾を証する当該登記名義人が作成した情報を提供しなければなりません(不動産登記令別表二十九ロ)。
本肢の場合、敷地権は賃借権であるため、当該賃借権の登記において譲渡できる旨の登記がされていない場合は、賃貸人の承諾を証する情報が必要となりますが、本肢では、譲渡できる旨の登記がされていない場合に限定されていません。
よって、敷地である土地の所有権の登記名義人の承諾を証する情報を提供する必要があるとは限りません。
エ 誤り
区分建物の所有者がその専有部分を処分した場合、当然にその区分建物の所有者が保有する共有部分にも効力が及び、その共有部分についても一緒に処分したことになります。
よって、当該共用部分である旨の登記がされた建物の種類、構造及び床面積を申請情報の内容とする必要はありません。
オ 正しい
敷地権付き区分建物について、表題部所有者の名義でされた所有権の保存の登記を錯誤により抹消したときは、登記記録は閉鎖されます。
これに対し、表題部所有者以外の名義でされた所有権の保存の登記を錯誤により抹消したときは、登記記録は閉鎖されず、登記官が職権で表題部所有者の表示を回復することになります。
以上から、誤っている肢はウとエであり、5が正解となります。
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