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司法書士の過去問 平成27年度 (旧)平成27年度 問55

問題

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所有権の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。


ア 登記原因を「 昭和60年4月1日売買( 条件農地法第3条の許可 )」とする条件付所有権の移転の仮登記がされた農地について、その後に登記原因を「 昭和50年月日不詳変更 」とする宅地への地目の変更の登記がされている場合、当該条件付所有権の移転の仮登記に基づく本登記の申請をすることはできない。

イ 譲渡担保を登記原因とするAからBへの所有権の移転の登記がされている甲土地について、AがBに対し当該譲渡担保の被担保債権全額を弁済した場合、債権弁済を登記原因としてBからAへの所有権の移転の登記を申請することはできない。

ウ Aを所有権の登記名義人とする甲土地について、Aが死亡して共同相続人B及びCが相続しかつ、B及びCの間で共有物分割禁止の定めが成立した場合、AからB及びCへの相続を登記原因とする所有権の移転の登記及び共有物分割禁止の定めの登記の申請を一の申請情報によってすることはできない。

エ A、B及びCを所有権の登記名義人とする甲土地について、Aがその持分を放棄した場合、AからBへの持分の移転の登記及びAからCへの持分の移転の登記は、B及びCを登記権利者、Aを登記義務者として、一の申請情報によって申請しなければならない。

オ AからB、BからCへと所有権の移転の登記が順次されている甲土地について、いずれの登記原因も無効である場合、これらの所有権の移転の登記を抹消するためには、AからBへの所有権の移転の登記の抹消を申請した後、BからCへの所有権の移転の登記の抹消を申請しなければならない。
   1 .
アウ
   2 .
アエ
   3 .
イエ
   4 .
イオ
   5 .
ウオ
( 平成27年度 司法書士試験 問55 )
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この過去問の解説 (4件)

11
ア 〇
 本肢の場合、条件付所有権の移転の仮登記がされる前の原因により、農地から宅地に地目変更されています。よって、登記の目的を1号仮登記に変更しなければ、仮登記の本登記をすることはできません。

イ ×
 譲渡担保を登記原因とするAからBへの所有権の移転の登記がされた後、AがBに対し当該譲渡担保の被担保債権全額を弁済した場合の登記原因については、諸説ありますが、債権弁済を登記原因として、所有権の移転の登記を申請することができる説もありますので、正しい肢と考えます。

ウ 〇
 共有物分割禁止の定めの登記と所有権一部移転の登記は一括申請できますが、本肢のように、共有物分割禁止の定めの登記と所有権全部移転の登記は一括申請することができません。

エ ×
 共有持分の放棄による所有権移転登記も対抗要件になりますので、AからBへの持分の移転の登記およびAからCへの持分の移転の登記は、別々の申請情報によって登記することができます。

オ ×
 所有権移転登記を順次に抹消する場合は、新しい登記から抹消しなければならず、本肢の場合であれば、BからCの所有権移転登記を抹消してからAからBへの所有権移転登記を抹消しなければなりません。また、所有権抹消登記によらず、真正な登記名義の回復を登記原因として所有権移転登記をすることも可能です。

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9
正解は 1 です。

正しい選択肢はアとウなので、1が正解です。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. 先例は、農地について農地法3条の許可を条件とする条件付きの所有権移転仮登記がなされた後、その仮登記の原因日付よりも前の日付をもって、土地の地目を農地から宅地に変更する表示の変更登記がなされている場合には、当該条件付の仮登記を不動産登記法105条1号の仮登記に更正しなければ、売買を原因とする当該仮登記に基づく本登記を申請することはできない、としています(昭和40年12月7日民甲3409参照)。従って、本選択肢は正しいです。

イ. 先例は、土地に譲渡担保権を設定した場合には、譲渡担保を登記原因とする所有権の移転登記を申請することができ、そして、AからBへの譲渡担保を登記原因とする所有権移転登記がなされている甲土地について、AがBに対して当該譲渡担保の被担保債権全額を弁済したときは、「債務弁済」を登記原因として、BからAへの所有権移転登記を申請できる、としています(登記研究80p.38参照)。従って、本選択肢は誤りです。

ウ. Aの死亡による相続を登記原因とする所有権移転の登記は、被相続人Aの相続人であるB及びCが登記権利者として単独で申請できる単独申請の登記です。一方、共有物分割禁止の定めに係る所有権変更登記は、当該共有者であるB及びCの全ての登記名義人が共同してしなければならない合同申請の登記です。2つの登記は当事者が同一であるものの、登記の申請方式が異なるため、一つの申請情報によってすることができません。従って、本選択肢は正しいです。

エ. 先例は、A、B及びCを所有権の登記名義人とする甲土地について、Aがその持分を放棄した場合、Aの持分はAからB及びCに移転することになりますが、このAからBへの持分の移転登記及びAからCへの持分の移転登記は、Bを登記権利者、Aを登記義務者、Cを登記権利者、Aを登記義務者として、各自個別で申請することができる、としています(昭和37年9月29日民甲2751参照)。従って、本選択肢は誤りです。

オ. 先例は、AからB、BからCへと所有権の移転の登記が順次されている場合において、いずれの登記原因も無効の場合には、①B(又はBに代位するA)及びCの申請により、AからBへの所有権移転登記の抹消し、②A及びBの申請により、AB間の所有権移転登記を抹消すべき、としています(昭和51年10月15日民3.5415参照)。従って、本選択肢は誤りです。

5
正解は1です。農地法の許可を有する場合については、判例をよく押さえておく必要があります。

ア…正しいです。農地法3条は、農地を農地のまま利用し、農地の使用・収益にかかる権利を移転する場合に得る許可です。農地を宅地として使用し、権利の移転も行う場合、農地法5条の許可が必要です。そして、農地法の許可を要する条件付の土地について、所有権移転の仮登記が行われた際に、仮登記以前の日付で宅地に地目変更されていた場合、当該仮登記に基づく本登記を実行するには、仮登記を不動産登記法105条1号の仮登記に更正する必要があります(昭40・12・7民事甲3409号局長回答)。

イ…誤りです。譲渡担保を登記原因とする所有権移転の登記がされている場合、譲渡担保設定者(本問のA)が譲渡担保権者(本問のB)に被担保債権全額を弁済したときは、受戻権の行使がされたことになり、当然に譲渡担保設定者に目的物の所有権等が回復します。この場合、「債務弁済」を登記原因として譲渡担保設定者に所有権移転の登記を申請する必要があります(先例)。

ウ…正しいです。共有物分割禁止の定めの登記と、所有権移転の登記を一つの申請情報で申請できるかは、判例によります。相続を原因とする所有権移転の場合、相続人間で共有物分割禁止の定めが成立しても、当該共有物分割禁止の定めは、所有権移転の登記とを一の申請情報によって申請することはできません(先例)。

エ…誤りです。不動産の共有者の一人が自己の持分を放棄した場合、残りの共有者に(各持分の割合に応じて)放棄された持分が帰属します(民法255条)。そしてその持分の帰属は共有持分の登記の抹消ではなく、所有権移転の登記によって行います(最判昭44・3・27)。しかし、取得した持分の登記は、あくまで第三者への対抗要件であり、登記するか否かは各共有者の自由です。したがって本問ではAからBへの所有権移転の登記と、AからCへの所有権移転の登記は、一の申請情報でする必要はありませんが、各持分移転の登記を同時にする場合にはBおよびCを登記義務者とする必要があり、BまたはCのみが残りの共有者を代表して登記義務者となることはできません(H19過去問参照)。

オ…誤りです。所有権の移転の登記を抹消する場合には、現在の名義人から順にさかのぼって登記を抹消していく必要があります(先例)。したがって、本問ではBからCへの所有権移転の登記を抹消したのち、AからBへの所有権移転の登記を抹消する必要があります。

4
正解 1

ア 正しい
農地法第3条の許可を条件とする所有権の移転の仮登記がされた後、仮登記より以前の原因日付で、地目を農地から宅地に変更する表示変更の登記がされている場合には、当該仮登記を1号仮登記に更正しなければ、当該仮登記に基づく本登記を申請することはできません(昭和40年12月7日民甲3409号)。

イ 誤り
譲渡担保を登記原因とする土地の所有権移転登記後に、被担保債権全額が弁済された場合には、債権弁済を登記原因として、債権者から債務者への所有権の移転の登記を申請できます(登記研究80号P38)。
よって、本肢では、債権弁済を登記原因としてBからAへの所有権の移転の登記を申請することができます。

ウ 正しい
所有権の一部移転の場合、その登記を申請する際に共有物分割禁止の定めの登記の申請を一の申請情報によってすることができます。
これに対し、所有権の全部移転の場合は、所有権の移転登記後に、所有権の変更登記を申請し、共有物分割禁止の定めを登記申請しなければなりません。この場合、共有者全員が登記権利者兼登記義務者となります。これは、共有物分割禁止の定めにより、共有者全員が利益を受けるとともに不利益を受けることになるためです。
よって、本肢の場合、AからB及びCへの相続を登記原因とする所有権の移転の登記及び共有物分割禁止の定めの登記の申請を一の申請情報によってすることはできません。

エ 誤り
ABC共有名義の不動産について、Aがその持分を放棄し、Bが自己に帰属した持分のみについて、Aとの共同申請により、持分移転の登記を申請することができます(昭和37年9月29日民甲2751回)。
このように、B及びCは自己に帰属した持分のみについて、Aとの共同申請により、持分の移転の登記を申請することができるため、本肢においても、一の申請情報によって申請する必要はありません。

オ 誤り
本肢のように、AからB、BからCへと土地所有権の移転の登記が順次されている場合において、いずれの登記原因も無効である場合について、先例は、①B(Bに代位するAを含む)及びCの申請により、BからCへの所有権の移転の登記の抹消を申請した後、②A及びBの申請により、AからBへの所有権の移転の登記の抹消を申請しなければならないとしています(昭和51年10月15日民三第5415号回答)。

以上から、正しい肢はアとウであり、1が正解となります。

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