司法書士の過去問
平成27年度
(旧)平成27年度 問67

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問題

平成27年度 司法書士試験 問67 (訂正依頼・報告はこちら)

持分会社の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。なお、いずれの持分会社においても、定款に別段の定めはないものとする。


ア 合名会社の設立の登記を申請する場合において、当該合名会社の社員が1名であるときは、代表社員の氏名又は名称は登記すべき事項ではない。

イ 合名会社の設立の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合において、その無効の原因が一部の社員のみにあるときであって他の社員の全員の同意によって当該合名会社を継続したときは、その継続の登記の申請書に、当該無効の原因がある社員が退社に同意したことを証する書面を添付しなければならない。

ウ 合資会社の無限責任社員が退社したことにより当該合資会社の社員が有限責任社員のみとなった場合には、当該合資会社については解散の登記を、当該合資会社から種類を変更した合同会社については設立の登記を、それぞれ申請しなければならない。

エ 合資会社の業務を執行しない有限責任社員の持分の譲受けにより新たな社員が加入したことによる変更の登記を申請する場合には、譲渡された持分が業務を執行しない有限責任社員に係るものであることを証する書面及び当該社員の加入につき総社員の同意があったことを証する書面を添付しなければならない。

オ 合同会社に業務を執行しない社員が加入し、当該社員の出資に伴う資本金の額の増加による変更の登記を申請する場合には、当該社員の加入の事実を証する書面を添付する必要はない。
  • アウ
  • アエ
  • イエ
  • イオ
  • ウオ

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この過去問の解説 (4件)

01

正解は 1 です。

正しい選択肢はアとウなので、1が正解です。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. 会社法912条6号では、合名会社の設立登記においては、会社を代表しない社員がある場合に限り、代表社員の氏名又は名称を登記しなければならない、と規定しています。従って、本選択肢は正しいです。

イ. 持分会社の設立の無効または取消しの訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合において、その無効または取消しの原因が一部の社員のみにあるときは、他の社員の全員の同意によって、当該持分会社を継続することができます。この場合、当該原因がある社員は、退社したものとみなされるため、会社継続の登記の申請書には、無効の原因がある社員が退社に同意したことを証する書面を添付することは不要です(会社法845条参照)。従って、本選択肢は誤りです。

ウ. 合資会社の無限責任社員が退社したことにより当該合資会社の社員が有限責任社員のみとなった場合には、当該合資会社は、合同会社となる定款の変更をしたものとみなされます。この場合においては、定款の変更をしたものと見做される日から2週間以内に、その本店の所在地において、種類の変更前の持分会社については解散の登記を、種類の変更後の持分会社にあっては設立の登記を申請しなくてはなりません(会社法639条2項、638条2項2号、919条参照)。従って、本選択肢は正しいです。

エ. 社員は他の社員の全員の承諾がなければ、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができないのが原則であるが、業務を執行しない有限責任社員は、業務を執行する社員の全員の承諾があるときは、その持分の全部又は一部を他人に譲渡とすることができます。この場合における社員の加入したことによる変更の登記申請書には、持分の譲渡契約書の他、譲渡された持分が業務を執行しない社員に係るものであることを証する書面及び業務執行社員の全員の同意があったことを証する書面の添付が必要です(会社法585条1項、2項、商業登記法111条、96条1項参照)。従って、本選択肢は誤りです。

オ. 合同会社に業務を執行しない社員が加入し、当該社員の出資に伴う資本金の額の増加による変更の登記を申請するときは、①加入の事実を証する書面②出資に係る払込又は給付があったことを証する書面③増加すべき資本金の額につき業務執行社員の過半数の一致があったことを証する書面④資本金の額が会社法及び会社計算規則に従って計上されたことを証する書面を添付することが必要です(会社法914条5号6号、商業登記法118条、96条1項参照)。従って、本選択肢は誤りです。

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02

正解は1です。

ア…正しいです。合名会社の設立において登記すべき事項のうち、代表社員の氏名及び住所は、他に代表しない社員がいる場合に限り、登記事項となります(912条6号)。

イ…誤りです。持分会社の設立の無効に対する認容判決が確定した場合において、その無効の原因が一部の社員のみにあるときは、他の社員全員の同意によって、会社を継続することができます(845条)。この場合、原因となった社員は、退社したものとみなされますので、特に退社の手続きは必要ありません。

ウ…正しいです。無限責任社員が退社して有限責任社員のみとなった合資会社については、合同会社となる定款の変更をしたものとみなされます(639条2項)。この場合、元の合資会社については解散の登記をし、合同会社の設立の登記をすることが必要です(919条)。

エ…誤りです。合資会社における業務を執行しない有限責任社員は、業務執行社員全員の同意があれば、その持分の全部または一部を譲渡することができます(585条2項)。「総社員の同意」ではありません。この場合、業務執行社員全員の同意があったことを証する書面を添付します。

オ…誤りです。合同会社において、業務を執行しない社員は登記されません(916条6項)。しかし、当該社員が加入したことを証する書面の添付は必要です(118条、96条1項)。

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03

ア 〇
合名会社の社員が1名であるときは、代表社員の氏名又は名称は登記すべき事項ではありません。

イ ×
 設立無効の判決により解散し、その無効の原因が一部の社員にある場合は、無効原因のある社員は退社することになるため、他の社員の全員の同意によって合名会社を継続したときは、その継続の登記の申請書に、無効の原因がある社員が退社に同意したことを証する書面を添付する必要はありません。

ウ 〇
 合資会社の無限責任社員が退社したことにより、当該合資会社の社員が有限責任社員のみとなった場合には、合同会社となる定款の変更をしたものとみなされますので、当該合資会社については解散の登記を、当該合資会社から種類を変更した合同会社については設立の登記を、それぞれ申請しなければなりません。

エ ×
 合資会社の業務を執行しない有限責任社員の持分の譲受けにより新たな社員が加入したことによる変更の登記を申請する場合には、当該社員の加入につき総社員の同意があったことを証する書面は要せず、業務執行社員全員の同意を証する書面を添付することで足ります。

オ ×
 合同会社に業務を執行しない社員が加入した場合は、当該社員の出資に伴う資本金の額の増加による変更の登記を申請しなければならず、当該社員の加入の事実を証する書面を添付する必要があります。

参考になった数3

04

正解 1

ア 正しい
合名会社の設立登記においては、合名会社を代表しない社員がある場合に限り、合名会社を代表する社員の氏名又は名称を登記しなければなりません(会社法912条6号)。
よって、合名会社の社員が1名である場合には、代表社員の氏名又は名称を登記する必要はありません。

イ 誤り
持分会社の設立の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合において、その無効の原因が一部の社員のみにあるときは、他の社員の全員の同意によって、当該持分会社を継続することができます。この場合、当該原因がある社員は、退社したものとみなされます(会社法845条)。
よって、会社継続の登記の申請書に、無効の原因がある社員が退社に同意したことを証する書面を添付する必要はありません。

ウ 正しい
合資会社の無限責任社員が退社したことにより当該合資会社の社員が有限責任社員のみとなった場合には、当該合資会社は、合同会社となる定款の変更をしたものとみなされます(会社法639条2項)。
この場合、定款の変更の効力が生じた日から2週間以内に、その本店の所在地において、種類の変更前の持分会社については解散の登記をし、種類の変更後の持分会社については設立の登記をしなければなりません(同法919条)。

エ 誤り
持分会社の社員は、他の社員の全員の承諾がなければ、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができないのが原則ですが、業務を執行しない有限責任社員は、業務を執行する社員の全員の承諾があるときは、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができます(会社法585条2項)。
この場合、社員の加入による変更の登記の申請書には、その事実を証する書面を添付しなければなりません(商業登記法111条、同法96条1項)。
すなわち、本肢では、譲渡された持分が業務を執行しない社員に係るものであることを証する書面及び業務を執行する社員の全員の同意があったことを証する書面を添付する必要があります。

オ 誤り
合同会社では、社員の加入による変更の登記の申請書には、その事実を証する書面を添付しなければなりません(商業登記法118条、同法96条1項)。
すなわち、加入した社員の出資に伴う資本金の額の増加による変更の登記を申請する場合には、加入の事実を証する書面を添付することが必要です。

以上から、正しい肢はアとウであり、1が正解となります。

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