問題
教授 : 憲法第81条には、「最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。」と規定されていますが、下級裁判所も違憲審査権を有していますか。
学生 : ア 憲法第81条の明文上は、「最高裁判所」と規定されていますが、下級裁判所も違憲審査権を有しています。
教授 : それでは、憲法第81条には、違憲審査の対象として、裁判所のする「判決」が明文で規定されていませんが、判決も違憲審査の対象となりますか。
学生 : イ 判決も「処分」の一種として、違憲審査の対象となります。
教授 : 違憲審査の対象とならないものには、どのようなものがありますか。
学生 : ウ 例えば、両議院の自律権に属する行為は違憲審査の対象となるものの、国の統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為は違憲審査の対象とはなりません。
教授 : 「条約」は違憲審査の対象とならないとする見解がありますが、この見解に対しては、どのような批判がありますか。
学生 : エ 憲法に反する内容の条約が締結された場合には、当該条約によって実質的に憲法が改正されることとなるため、硬性憲法の建前に反するという批判があります。
教授 : では、憲法違反となるかどうかが争われている法令の規定について、複数の解釈が成り立ち、ある解釈を採ると違憲となるが、別の解釈を採れば合憲となるというような場合に、裁判所は、どのような判断の手法を執ることになりますか。
学生 : オ 法律の規定の解釈が複数成り立つことは、法規としての明確性を欠くことになるため、このような場合には、裁判所は、争われた法令の規定そのものを常に違憲と判断することになります。