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司法書士の過去問 平成25年度 午前の部 問5

問題

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無効又は取消しに関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。


ア  当事者が無効な行為を追認したときは、当該追認は、当該行為の時に遡ってその効力を生ずる。

イ  他人の子を自己の嫡出子として出生の届出をしても、その届出は、嫡出子の出生の届出としては無効であるが、その届出が当該他人の子を自己の養子とする意図でされたものであるときは、その届出をもって養子縁組の届出があったものとされる。

ウ  主たる債務者が行為能力の制限によってその債務を生じさせた行為を取り消すことができる場合であっても、当該債務の保証人が当該行為を取り消すことはできない。

エ  制限行為能力者が行為能力の制限によって取り消すことができる行為によって生じた債務を行為能力者となった後に承認した場合であっても、当該行為が取り消すことができるものであることを当該制限行為能力者が知らないときは、当該行為を追認したものとはならない。

オ  取り消すことができる行為について追認をすることができる取消権者が当該行為から生じた債務の債務者として履行をした場合には、法定追認の効力が生ずるが、当該行為について当該取消権者が債権者として履行を受けた場合には、法定追認の効力は生じない。
   1 .
アイ
   2 .
アオ
   3 .
イウ
   4 .
ウエ
   5 .
エオ
( 平成25年度 司法書士試験 午前の部 問5 )
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この過去問の解説 (4件)

33
正しい選択肢はウとエなので、正解は4です。

ア:間違い
民法119条但書において「当事者が当該法律行為につき無効であることを知って追認したときは新たな法律行為をしたものとみなされる。」とあります。
従って追認が効果を生じるのは、当該行為の時ではなく追認時です。
よって、本肢は間違いです。

イ:間違い
最判昭25.12.28では「養子とする意図で他人の子を嫡出子として届けても、それによって養子縁組が成立することはない。」としています。
よって、本肢は間違いです。

ウ:正しい
民法第120条の取消権者には「制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限」るとされており、ここに保証人は含まれていません。したがって保証人は制限行為能力者の行った行為を取り消すことはできません。
よって、本肢は正しいです。

エ:正しい
追認は取消権の放棄であり、取消権の存在を知っている事、すなわち行為を取り消すことが出来ることを知ってなされることが必要であるとされています。(大判大5.12.28)
したがって取り消すことが出来るものであることを知らない時には、追認したものとはなりません。
よって、本肢は正しいです。

オ:間違い
民法第125条の法定追認事由として「全部又は一部の履行」が定められていますが、この履行は、取消権者が債務者として履行した場合のほか、相手方の履行を債権者として受領した場合を含むとされています。(大判昭8.4.28)
よって、本肢は間違いです。

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10
正解は4(ウ、エ)です。

ア 誤り。
無効な行為も当事者の追認によって有効とすることができますが、効力が発生するのは追認したときです。

イ 誤り。
養子縁組は要式行為であることから、養子縁組としての届け出が必要であり、出生届をもって養子縁組の届け出とされることはありません。なお認知については、非嫡出子につき嫡出子としての届け出がなされた場合、認知としての効力を有するとされています(最判昭和53・2・24)。養子縁組が他者間の新たな親子関係を創出する行為であるのに対し、認知は現存する親子関係を追認する行為であることが両者の差異に帰結した、といえます。

ウ 正しい。
行為能力の制限を理由とする取消の取消権者は、「制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者」に限られています(民法120条)。よって保証人が取り消すことはできません。

エ 正しい。
制限行為能力者が行為能力者に転じた後の追認に際しては、取消権の存在を知ってなしたものであることが必要です。よって、取消しうべき行為であることを知らなかった場合は追認の効果は発生しません。

オ 誤り。
民法125条には法定追認の定めがあり、
(1)全部又は一部の履行
(2)履行の請求
(3)更改
(4)担保の供与
(5)取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡
(6)強制執行
の要件を満たしたときは追認があったものと見なされます。
そして「(1)全部又は一部の履行」には、債権者として履行を受けた場合も含まれるとされています。

8
正解は 4 です。

正しい選択肢は、ウとエとなりますので、4が正解となります。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. 民法119条但書きで「当事者がその行為を無効であることを知って追認したときは、新たな行為をしたものと見做す」と規定しています。従って、本選択肢は誤りです。

イ. 最高裁昭和50年4月8日判決は「嫡出子の出生届をもって、養子縁組届とみなすことは許されないと解すべきである」としています。従って、本選択肢は、誤りです。

ウ. 民法120条1項では「行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限能力者又はその代理人、承継人若しくは同意することができる者に限り、取り消すことができる」と規定しています。保証人はこれに含まれていないので、本選択肢は正しいです。

エ. 民法124条2項では「成年後見人は、行為能力者となった後にその行為を了知したときは、その了知をした後でなければ、追認をすることはできない」と規定していますが、この規定は、未成年者にも同様に解さなければならないとされています。従って、本選択肢は、正しいです。

オ. 大審院昭和8年4月28日判決で「取消権者が履行を受けた場合においても法定追認の効力が生じる」としています。従って、本選択肢は誤りです。


2
正解 4

ア 誤り
無効な行為は、追認によっても、その効力を生じないのが原則です(民法119条本文)。
もっとも、当事者がその行為の無効であることを知って追認をしたときは、新たな行為をしたものとみなされます(同条但書き)。
よって、行為時に遡って追認がその効力を生ずることはありません。

イ 誤り
最判昭和25年12月28日は、虚偽の嫡出子出生届と養子縁組の成否について、「養子とする意図で、他人の子を嫡出子として届けても、それで養子縁組が成立することはない。」と判示しています。
理由として、「養子縁組は、民法と戸籍法で決められた届出をすることで法律上の効力が発生する要式行為で強行規定だから、決められた条件を満たさない嫡出子の出生届で、養子縁組の届出があったとみなすことはできない」ということを挙げています。

ウ 正しい
行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができます(民法120条1項)。

エ 正しい
追認は取消権の放棄であるから、取消権の存在、すなわち、行為を取り消すことが出来ることを知ってなされることが必要です(大判大正5年12月28日)。

オ 誤り
法定追認を認める趣旨は、相手方の信頼を保護する点にあります。
ここでいう「相手方が信頼する場合」として、大判昭和8年4月28日は、取消権者が履行する場合のほか、相手方の履行を債権者として受領した場合を含むと判示しています。

以上から、正しい肢はウとエであり、4が正解となります。

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