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司法書士の過去問 平成25年度 午前の部 問7

問題

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甲土地を所有するAが死亡し、その子であるB及びCのために相続の開始があった場合に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものは、幾つあるか。


ア  甲土地についての相続を原因とする所有権の移転の登記がされないままであったところ、Bが相続の放棄をしたが、Bの債権者であるDは、代位による甲土地についての相続を原因とする所有権の移転の登記をし、甲土地のBの持分を差し押さえた。この場合において、Cは、甲土地のB名義の持分について登記をしていなくても、Dに対し、甲土地を単独で所有している旨を主張することができる。

イ  Aは、生前に、甲土地をBに贈与し、その旨の所有権の移転の登記をしないまま、甲土地をCに遺贈した。この場合において、Cは、甲土地について遺贈を原因とする所有権の移転の登記をしたとしても、Bに対し、甲土地を所有している旨を主張することができない。

ウ  Bが甲土地を単独で所有する旨の遺産分割協議が成立したが、Cは、Bに無断で、自己が甲土地を単独で所有する旨の所有権の移転の登記をした上で、甲土地をDに譲渡し、その旨の所有権の移転の登記をした。この場合において、Bは、Dに対し、甲土地を単独で所有している旨を主張することができる。

エ  Aは、生前に、甲土地をDに譲渡したが、その旨の所有権の移転の登記をしないまま、死亡した。B及びCは、甲土地について相続を原因とする所有権の移転の登記をした後、Cは、甲土地の自己名義の持分をEに譲渡した。この場合において、Eは、Cの持分についての移転の登記をしなければ、Dに対し、その持分を主張することができない。

オ  Aは、甲土地について、Bの持分を4分の3、Cの持分を4分の1として相続させる旨の遺言をしたが、Cが、甲土地について、自己の持分を2分の1とする相続を原因とする所有権の移転の登記をしたところ、Cの債権者であるDが当該登記に係るCの持分を差し押さえた。この場合において、Dは、Bに対し、甲土地の2分の1の持分を差し押さえた旨を主張することができる。
   1 .
1個
   2 .
2個
   3 .
3個
   4 .
4個
   5 .
5個
※ 相続法は、令和元年(2019年)7月1日に改正・施行されました。 参考資料 この設問は、平成25年(2013年)度に出題された設問となります。
( 平成25年度 司法書士試験 午前の部 問7 )
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この過去問の解説 (4件)

21
誤った選択肢はイ、ウ、オの3つです。
従って正解は3.の3個となります。

ア:正しい
Bが相続放棄をしたとすると、相続放棄には遡及効があり、Bは無権利者となります。そのためDは無権利者の土地を差し押さえたことになり、結局Dも無権利者です。
また相続放棄には民法177条が適用されません。
従って、Dは第三者として保護されません。
そのため、Cは登記なしでも、無権利者でなおかつ第三者として保護されないDに対抗することが出来ます。よって本肢は正しいです。

イ:間違い
昭和46年11月16日最高裁判決の裁判要旨は下記の通りです。
「被相続人が、生前、不動産をある相続人に贈与するとともに、他の相続人にもこれを遺贈したのち、相続の開始があった場合、右贈与および遺贈による物件変動の優劣は、対抗要件たる登記の具備の有無をいもって決すると解するのが相当である。」
従って、甲土地を贈与されたBと遺贈されたCは対抗関係にあるため、先にCが登記をすればBに対し甲土地の所有権を主張することが出来ます。

ウ:間違い
昭和46年1月26日最高裁判決では
「相続財産中の不動産につき、遺産分割により権利を取得した相続人は登記を経なければ、分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、法定相続分を超える権利の取得を対抗することができない。」
としています。
従って、遺産分割により権利を取得したものの、その登記をしていなかったBは、遺産分割後に権利を得たDに対し、法定相続分の1/2を超える権利の取得を対抗することが出来ません。
よって、本肢は間違いです。

エ:正しい
昭和33年10月14日 最高裁判決では
「被相続人が不動産の譲渡をなした場合、その相続人から同一不動産の譲渡を受けた者は民法第177条にいう第三者に該当するものと解すべきである」
としています。
つまり、AがDに譲渡した場合、その相続人であるCから同一の不動産の譲渡を受けたEは、民法第177条の第三者に該当するので、対抗関係となり、登記を備えた者が当該土地に対して所有権を主張出来ることとなります。
従って、登記がなければEがDに対して持分を主張できないとする本肢は正しいです。

オ:間違い
平成14年6月10日 最高裁判決では
「「相続させる」趣旨の遺言による不動産の権利の取得については、登記なくして第三者に対抗することができる。」
としています。
つまり、Aから4分の3の持ち分を相続させる旨の遺言によって相続したBは、登記なくしてDに対抗することが出来ます。
従ってBに対して甲土地の2分の1の持ち分をDが主張出来るとした本肢は間違いです。

付箋メモを残すことが出来ます。
13
正解は3(イ、ウ、オが誤り)です。

ア 正しい。
民法939条1項は、「放棄は、相続開始の時に遡ってその効果を生ずる」と定めており、これは相続放棄をしたものは当初より相続人とならなかったものと解すべきであるというのが判例の立場です。それゆえ、本件事例ではBははじめから無権利者となりますから、そのBの持分に対する差押えも無効となります(最判昭和42・1・20)。
なお、後述の通り放棄ではなく遺産分割の場合は遡及効が制限されるため、相続人は自己の法定相続分を超える部分につき登記なくして所有権を対抗することができません。

イ 誤り。
ある不動産が二重に贈与(遺贈)された場合、両受贈者の関係は対抗関係となります。それゆえ、典型的な177条の対抗問題となり、登記の先後によって優劣を決することになりますから、登記を具備したCは所有権を対抗することができます。

ウ 誤り。
アにて記載したとおり、相続放棄と異なり遺産分割の場合は、登記なくして自己の法定相続分を超えて所有権を主張することができません(最判昭和46・1・26)。よって、本事例でCは単独所有を主張することはできません(相続人がBおよびCのみである場合、法定相続分たる1/2については持分を主張し得ます。)。

エ 正しい。
BおよびCはAの包括承継人であることから、この事例は結局Aを起点とした二重譲渡の関係となります(A→DとA→B・C(→E))。よって、177条の対抗関係となりますから、登記の先後によって優劣を決することになります。

オ 誤り。
「相続させる」遺言がなされた場合、相続人は特段の事情のない限り被相続人の死亡とともに直ちに所有権を取得します。それゆえ、本件事例ではBが直ちに持分3/4を取得する結果、Cの相続分1/4を超える部分については無権利者に対する差押えとなりBに対抗できません。


*<相続と登記>小括
・他の相続人の放棄→登記不要(放棄者は相続開始時より無権利)
・「相続させる」旨の遺言→登記不要
・遺産分割→登記必要(対抗関係)
・遺贈→登記必要(対抗関係)

8
正解は 3 です。

誤っている選択肢の個数は3であり、3が正解となります。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. 判例は、相続放棄後に、共同相続人の一人の債権者が相続分を差し押さえたという事案において、相続放棄には民法177条が適用されないとしています。(最高裁平成42年1月20日判決)。従って、Cは、Dに対して登記なくして、甲土地の単独所有を主張できるので、本選択肢は正解です。

イ. 判例は、被相続人が生前に、ある不動産を相続人の一人に贈与し、他の相続人にも遺贈した後、相続が開始されたという事案において、贈与と遺贈による物権変動の優劣は、登記の前後で決定されるとしています。(最高裁昭和46年11月16日判決)。従って、Cが登記をしたとしてもBに対抗することができないとしている本選択肢は、誤りです。

ウ. 判例は、遺産分割により、法定相続分が異なった相続分お取り決めがなされた後、共同相続人の一人の債権者が法定相続分を前提として相続財産を差し押さえたという事案において、遺産分割も民法177条の物件の得喪変更に該当し、遺産分割によって得た権利は、登記をしないと第三者に主張できない、としています。(最高裁昭和46年1月26日判決)。従って、登記を経たDに対しても、Bが所有権を主張できるとしている本選択肢は誤りです。

エ. 判例は、被相続人が不動産を甲に譲渡し、未だ譲渡の登記をしていない間に相続が開始し、相続人が同一不動産をさらに乙に譲渡しその登記をしたという事案において、相続人から不動産を譲り受けてその旨の登記をした乙は、民法177条のいわゆる第三者に該当するものとしている。(最高裁昭和33年10月14日判決)。従って、登記がなければEがDに対して持分を主張できないとする本選択肢は、正しいです。

オ. 判例は「相続させる趣旨の遺言によって取得した不動産又は共有持分は、登記なくして相続人は債権者に対抗できる」としています。従って、債権者Dが、持分2分の1を差し押さえた旨を、Bに対して主張できるとしている本選択肢は、誤りです。


5
正解 3

ア 正しい
相続放棄の効力と登記について、最判昭和42年1月20日は、「相続人は、相続の放棄をした場合には相続開始時にさかのぼって相続開始がなかったと同じ地位に立ち、当該相続放棄の効力は、登記等の有無を問わず、何人に対してもその効力を生ずべきものと解すべきであって…(略)」と判示しています。
よって、本肢の場合、Cは、甲土地のB名義の持分について登記をしていなくても、Dに対し、甲土地を単独で所有している旨を主張することができます。

イ 誤り
被相続人が同一不動産をある相続人に贈与するとともに他の相続人にも遺贈したのち相続が開始した場合と民法177条について、最判昭和46年11月16日は、「被相続人が、生前、不動産をある相続人に贈与するとともに、他の相続人にもこれを遺贈したのち、相続の開始があった場合、贈与および遺贈による物権変動の優劣は、対抗要件たる登記の具備の有無をもって決すると解するのが相当である」と判示しています。
よって、本肢の場合、甲土地について所有権の移転登記を具備しているCは、Bに対し、甲土地を所有している旨を主張することができます。

ウ 誤り
遺産分割と登記について、最判昭和46年1月26日は、「相続財産中の不動産につき、遺産分割により権利を取得した相続人は、登記を経なければ、分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、法定相続分をこえる権利の取得を対抗することができない」と判示しています。
よって、本肢の場合、BがDに対して対抗できるのは、法定相続分の権利取得であり、甲土地の権利すべてではありません。

エ 正しい
生前贈与と相続人からの買受人の関係について、最判昭和33年10月14日は、「被相続人が土地を譲渡しても、その旨の登記手続をしない間は完全に排他性ある権利変動を生ぜず、買受人も完全な無権利者とはならないのであるから、買受人と法律上同一の地位にあるものといえる相続人から土地を買い受けその旨の登記を得た者は、民法177条にいわゆる第三者に該当する」と判示しています。
よって、本肢の場合、Eは、Cの持分について移転の登記をしなければ、Dに対し、その持分を主張することはできません。

オ 誤り
「相続させる」趣旨の遺言による不動産の取得と登記について、最判平成14年6月10日は、「相続させる」趣旨の遺言による不動産の権利の取得については、登記なくして第三者に対抗できる」と判示しています。
よって、本肢の場合、Dは、Bに対し、甲土地の2分の1の持分を差し押さえた旨を主張することはできません。

以上から、誤っている肢はイとウとオであり、3が正解となります。

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