司法書士の過去問
平成25年度
午前の部 問17
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問題
平成25年度 司法書士試験 午前の部 問17 (訂正依頼・報告はこちら)
第三者の弁済に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 債権者と債務者との契約において第三者の弁済を許さない旨の特約をしていた場合には、利害関係を有する第三者であっても、弁済をすることはできない。
イ 利害関係を有しない第三者が債務者の意思に反してした弁済は、債権者がそのことを知らずに受領した場合であっても、その効力を有しない。
ウ 利害関係を有しない第三者の弁済が債務者の意思に反しない場合には、債権者は、その弁済の受領を拒むことができない。
エ 借地上の建物の賃借人は、その敷地の賃料について債務者である土地の賃借人の意思に反して弁済をすることはできない。
オ 弁済をするについて正当な利益を有する第三者であっても、弁済によって当然には債権者に代位しない。
ア 債権者と債務者との契約において第三者の弁済を許さない旨の特約をしていた場合には、利害関係を有する第三者であっても、弁済をすることはできない。
イ 利害関係を有しない第三者が債務者の意思に反してした弁済は、債権者がそのことを知らずに受領した場合であっても、その効力を有しない。
ウ 利害関係を有しない第三者の弁済が債務者の意思に反しない場合には、債権者は、その弁済の受領を拒むことができない。
エ 借地上の建物の賃借人は、その敷地の賃料について債務者である土地の賃借人の意思に反して弁済をすることはできない。
オ 弁済をするについて正当な利益を有する第三者であっても、弁済によって当然には債権者に代位しない。
- アイ
- アウ
- イオ
- ウエ
- エオ
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この過去問の解説 (3件)
01
誤っている選択肢は、エとオなので、5が正解となります。
各選択肢の解説は、以下のとおりです。
ア. 民法474条1項では「債務の弁済は、第三者もすることができる。ただし、その債務の性質がこれを許さないとき、又は当事者が反対の意思を表示したときは、この限りではない」と規定しています。従って、
債権者と債務者が第三者の弁済を許さない特約をしていた場合には、利害関係を有する第三者であっても、弁済することはできないので、本選択肢は正解です。
イ. 民法474条1項では「利害関係を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない」と規定しています。従って、このケースでは、たとえ、債権者が、利害関係を有しない第三者が債務者の意思に反してした弁済であることを知らなくても、効力を有しないため、本選択肢は正しい記述となります。
ウ. 民法474条1項では「利害関係を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない」と規定しているので、このケースでは、債権者はその受領を拒むことはできないため、本選択肢は正しい記述となります。
エ. 借地上の建物の賃借人は、その敷地の賃料について法律上の利害関係を有する第三者なので、債務者の意思に反して弁済することができます。従って、本選択肢は誤りです。
オ. 民法500条では「弁済をするについて正当な利益を有するものは、弁済によって当然に債権者に代位する」と規定しているため、本選択肢は誤りです。
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02
当事者が第三者の弁済を禁止したときは、第三者は債務者に代わって弁済することはできません(民法474条4項)。
イ 正しい
弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができませんが、債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは、弁済としての効力を生じます(民法474条2項)。
ウ 誤り
弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債権者の意思に反して弁済をすることができません(民法474条3項)。
よって、本肢の場合であっても、債権者の意思に反している場合には、債権者は、その弁済の受領を拒むことができます。
エ 誤り
借地上の建物の賃借人と地代の弁済についての利害関係の有無について判示した最判昭和63年7月1日は、「借地上の建物の賃借人は、地代の弁済について法律上の利害関係を有する。」としています。
その理由として、上記判例は、「建物賃借人と土地賃貸人との間には直接の契約関係はないが、土地賃借権が消滅するときは、建物賃借人は土地賃貸人に対して、賃借建物から退去して土地を明け渡すべき義務を負う法律関係にあり、建物賃借人は、敷地の地代を弁済し、敷地の賃借権が消滅することを防止することに法律上の利益を有するものと解されるからである。」としています。
オ 誤り
債務者のために弁済をした者は、債権者に代位します(民法499条)。
そして、債権譲渡の対抗要件について規定する民法467条は、同法499条の場合(弁済をするについて正当な利益を有する者が債権者に代位する場合を除く。)について準用されます(同法500条)。
以上の規定から、弁済による代位について規定する同法499条には、弁済をするについて正当な利益を有する者が債権者に代位する場合を含んでいることがわかります。
※ 上記は、2020年4月1日から施行された改正民法に基づく解説になっていますので、出題当時の正誤と異なる肢があります。
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03
ア 正しい。
第三者弁済について定めた474条は「債務の弁済は、第三者もすることができる。その債務の性質がこれを許さないとき、又は当事者が反対の意思を表示したときは、この限りでない。」と規定しています。よって、第三者弁済を許さない旨の特約は有効です。
イ 正しい。
474条2項は「利害関係を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。」と定めます。そして、債権者の不知を理由とした例外規定または判例は存在しませんから、本選択肢の弁済が有効となることはありません。
ウ 正しい。
選択肢イの解説にて記載の通り、第三者は債務者の意思に反しない場合有効に弁済を為すことができ、債権者の承諾は要件とされていません。
エ 誤り。
借地上の建物の賃借人は、建物敷地の賃料債務の弁済につき正当な利益を有する第三者に当たります。よって、第三者弁済が可能です。
オ 誤り。
500条は「弁済をするについて正当な利益を有する者は、弁済によって当然に債権者に代位する。」と定めます(法定代位)。
なお、正当な利益を有しない第三者が代位する場合(任意代位)は当然には代位せず、(1)債権者の承諾(2)現債権者からの債務者への通知または債務者の承諾が必要です。
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