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司法書士の過去問 平成25年度 午前の部 問25

問題

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正当防衛の成否に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。


ア  Aは、Bと口論になり、鉄パイプで腕を殴られたため、Bから鉄パイプを奪った上、逃げようとしたBを追い掛けて、その鉄パイプで後ろからBの頭部を殴り付け、全治1週間程度のけがを負わせた。この場合において、AがBを殴った行為について、正当防衛が成立する。

イ  Aは、散歩中、塀越しにB方の庭をのぞいたところ、前日に自宅から盗まれたA所有の自転車が置かれていたのを発見したため、直ちにB方の門扉の鍵を壊して立ち入り、自転車を自宅に持ち帰った。この場合において、AがB方の門扉の鍵を壊して立ち入り、自転車を持ち出した行為について、正当防衛が成立する。

ウ  女性であるAは、人通りの少ない夜道を帰宅中、見知らぬ男性Bに絡まれ、腕を強い力でつかまれて暗い脇道に連れ込まれそうになったため、Bの手を振りほどきながら、両手でBの胸部を強く突いたところ、Bは、よろけて転倒し、縁石に頭を打って、全治1週間程度のけがを負った。この場合において、AがBを突いた行為について、正当防衛が成立する。

エ  暴走族のメンバーであるAは、当該暴走族の集会に際して対立関係にある暴走族のメンバーであるBらが襲撃してくるのではないかと予想し、返り討ちにしてやろうと考えて角材を用意して待ち構えていたところ、Bがバットを手にして向かってきたため、用意していた角材で殴り掛かり、Bに全治1週間程度のけがを負わせた。この場合において、AがBを角材で殴った行為について、正当防衛が成立する。

オ  Aは、歩行中にすれ違ったBと軽く肩がぶつかったものの、謝ることなく、立ち去ろうとしたところ、激高したBがいきなりサバイバル・ナイフを取り出して切り掛かろうとしてきたため、手近にあった立て看板を振り回して対抗し、立て看板が当たったBに全治1週間程度のけがを負わせた。この場合において、AがBに立て看板を当てた行為について、正当防衛が成立する。
   1 .
アイ
   2 .
アエ
   3 .
イウ
   4 .
ウオ
   5 .
エオ
( 平成25年度 司法書士試験 午前の部 問25 )
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この過去問の解説 (3件)

11
正解は4(ウ、オ)です。

各選択肢の解説の前提として、正当防衛が成立するためには、
(1)急迫不正の侵害について
(2)自身または他人の権利を防衛するため
(3)やむを得ずした行為
の要件を充足することが必要です。
そして、それぞれ
(1)急迫性、継続的侵害行為の急迫性、予期された危険/自招危険の急迫性
(2)国家的法益の防衛の可否、防衛意思の必要性
(3)防衛行為の相当性
などが論点となります。

ア 誤り。
 Bの当初行為は急迫不正の侵害と認める余地はありますが、鉄パイプの占有を奪い、Bが逃走に転じた時点では急迫性および防衛の相当性は失われているといえ、正当防衛は成立しません。

イ 誤り。
 自転車の窃取行為がなされたのは前日ですから、急迫性が存在せず、正当防衛は成立しません。

ウ 正しい。
 本件事例は「急迫不正の侵害に対する」「自身の権利を防衛するための」「やむを得ずした行為」ですので正当防衛が成立します。

エ 誤り。
 「急迫性」の要件につき、侵害が予期されたいた場合でも直ちに急迫性が失われるものではないが、侵害に乗じ積極的加害を行う意思で臨んだ場合はもはや急迫性は認められない、というのが判例です(よって本件では正当防衛不成立)。なお、ここで判例が「防衛の意思」ではなく「急迫性」を問題としたのは、「『防衛の意思』と『憤激』『攻撃の意思』は併存しえ、後者が存在したとしても防衛の意思を認める余地がある」との判例(最判昭和50・11・28)が存在するがためとされています。

オ 正しい。
 喧嘩闘争中の行為であっても、一方が不相応な攻撃手段を用いた場合にはそれに対する正当防衛が成立し得ます。本件ではAの衝突はあったにせよBのナイフを用いた襲撃という攻撃性の高い侵害行為が為された結果、正当防衛が認められるといえます。

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4
正解は 4 です。

正しい選択肢はウとオで、4が正解となります。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. 刑法36条1項では「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するために、やむを得ずにした行為は、罰しない」と規定しています。逃げようとしたBを追いかけて、鉄パイプで後ろから殴りつけた行為については、急迫不正の侵害に対する行為とは言いません。従って、正当防衛は成立せず、本選択肢は誤りです。

イ. 刑法36条1項では「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するために、やむを得ずにした行為は、罰しない」と規定しています。前日に盗まれた自転車を発見して、取り戻すために門弟の鍵を壊す行為は、急迫不正の侵害に対する行為とは言いません。従って、正当防衛は成立せず、
本選択肢は誤りです。

ウ. AがBを突いた行為は、急迫不正の侵害に対して、自己の権利を防衛するために、やむを得ずにした行為に該当するので、Aには正当防衛が成立します。従って、本選択肢は正しいです。

エ. 判例によると、ほとんど確実に侵害が予期されたとしても、そのことから直ちに侵害の急迫性が失われるわけではないが、単に予期された侵害を避けなかったというだけにとどまらず、その機会を利用して積極的に相手に対して加害行為をする意思で侵害に臨んだときは、もはや急迫性の要件を満たさないとしています。(最高裁昭和52年7月21日判決参照)。従って、本選択肢では正当防衛は成立しないので、誤りとなります。

オ. 正当防衛が成立するためのやむを得ずした行為とは、自己又は他人の権利を防衛する手段として必要最小限度のものであること、すなわち、反撃行為が侵害に対する防衛手段として正当性を有する者であることを意味する。(最高裁昭和44年12月4日判決)。Aの反撃行為が、防衛手段としての相当性を超えたものということはできない。従って、本選択肢では、正当防衛婦が成立するので、正しいです。


 

2
正解 4

ア 誤り
正当防衛が成立するためには、「急迫不正の侵害」があることが必要です(刑法36条1項)。
本肢において、Bは、いったんはAを鉄パイプで殴りはしたものの、鉄パイプをAに奪われたことにより、逃げようとしています。
したがって、この時点で、急迫不正の侵害はなくなっているため、AがBを殴った行為について、正当防衛は成立しません。

イ 誤り
正当防衛が成立するためには、「急迫不正の侵害」があることが必要です(刑法36条1項)。
本肢において、Aが自転車を盗まれたのは、前日であるため、その翌日に盗まれた自転車を取り戻すためにB方の門扉の鍵を壊して立ち入り、自転車を持ち出した行為は、急迫不正の侵害に対する行為とはいえません。
従って、Aに正当防衛は成立しません。

ウ 正しい
正当防衛は、「急迫不正の侵害」に対し、やむを得ずにした行為について成立します(刑法36条1項)。
本肢では、女性であるAは、男性Bに暗い脇道に連れ込まれそうになっているため、急迫不正の侵害が認められます。
そして、急迫不正の侵害に対して、AがBを突いた行為についても相当性があるといえるため、Aには正当防衛が成立します。

エ 誤り
判例(最決昭和52年7月21日)は、「刑法36条における侵害の急迫性は、当然又はほとんど確実に侵害が予期されただけで失われるものではないが、その機会を利用し積極的に相手に対して加害行為をする意思で侵害に臨んだときは失われることになる。」と判示しています。
本肢において、Aは、Bらが襲撃してくることを利用して積極的にBらを返り討ちにするつもりで侵害に臨んでいます。
したがって、Aに正当防衛は成立しません。

オ 正しい
判例(最判昭和44年12月4日)は、刑法36条1項にいう「やむを得ずした行為」の意義について、「反撃行為が急迫不正の侵害に対する防衛手段として相当性を有することを意味し、右行為によって生じた結果がたまたま侵害されようとした法益より大きくても、正当防衛行為でなくなるものではない。」と判示しています。
本肢において、Aは、殺傷力のあるサバイバル・ナイフを振り回すBに対し、看板を振り回して対抗したに過ぎず、この行為が相当性に欠けるとはいえません。
また、その行為によって、たまたまBに全治1週間程度のけがを負わせたとしても、そのことは正当防衛の成否に影響しません。
したがって、Aに正当防衛が成立します。

以上から、正しい肢はウとオであり、4が正解となります。

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