問題
第1説 会社法第429条第1項は、役員等の任務悌怠の行為と第三者の損害との間に相当の因果関係がある限り、会社がこれによって損害を受けた結果、ひいては第三者に損害を生じた場合(以下「間接損害の場合」という。)であると、直接第三者が損害を受けた場合(以下「直接損害の場合」という。)であるとを問うことなく、当該役員等が直接に第三者に対して損害賠償責任を負うことを規定したものである。
第2説 会社法第429条第1項は、直接損害の場合に役員等が第三者に対し損害賠償責任を負うことを規定したものであり、間接損害の場合に関して規定したものではない。
次のアからオまでの記述のうち、「この見解」が第2説を指すものの組合せとして最も適切なものは、後記1から5までのうち、どれか。
ア この見解は、株式会社における役員等の負うべき責任と持分会社における無限責任社員の負うべき責任との違いを強調する。
イ この見解に立ち、かつ、会社法第429条第1項に規定する第三者に株主が含まれるとする考え方に立つと、株主代表訴訟制度の意義が失われることになりかねない。
ウ この見解は、我が国の現状において、株式会社の中には資本金や純資産が少額の企業が少なくないことを強調する。
エ この見解に立つと、任務を慨怠した役員等の会社に対する損害賠償責任が総株主の同意により免除された場合に、損害を受けた第三者が役員等に対する責任を追及することが困難になりかねない。
オ この見解は、債権者が債権者代位権に基づき第三債務者に対し自己に直接債務の弁済を請求することができるかどうかに関する判例の考え方と親和的である。
(参考)
会社法
第429条 役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。2(略)