司法書士の過去問
平成25年度
午後の部 問37
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問題
平成25年度 司法書士試験 午後の部 問37 (訂正依頼・報告はこちら)
民事訴訟における当事者の死亡に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものは、幾つあるか。
ア 当事者が死亡した場合において、その相続人は、相続の放棄をすることができる間であっても、訴訟手続を受け継ぐことができる。
イ 労働契約上の地位を有することの確認を求める訴えを提起していた原告がその訴訟の係属中に死亡したときは、当該訴訟は、当然に終了する。
ウ 当事者が死亡した場合において、その相続人が訴訟手続を受け継いだときは、既にされていた訴訟行為は、その相続人の利益となる限度においてのみ、その効力を生ずる。
エ 当事者が死亡した場合において、訴訟代理人がある間は、訴訟手続は、中断しない。
オ 判決書の正本の送達後に当事者が死亡したことによりその進行を停止した控訴期間については、訴訟手続の受継の通知又はその続行の時から、新たに全期間の進行を始める。
ア 当事者が死亡した場合において、その相続人は、相続の放棄をすることができる間であっても、訴訟手続を受け継ぐことができる。
イ 労働契約上の地位を有することの確認を求める訴えを提起していた原告がその訴訟の係属中に死亡したときは、当該訴訟は、当然に終了する。
ウ 当事者が死亡した場合において、その相続人が訴訟手続を受け継いだときは、既にされていた訴訟行為は、その相続人の利益となる限度においてのみ、その効力を生ずる。
エ 当事者が死亡した場合において、訴訟代理人がある間は、訴訟手続は、中断しない。
オ 判決書の正本の送達後に当事者が死亡したことによりその進行を停止した控訴期間については、訴訟手続の受継の通知又はその続行の時から、新たに全期間の進行を始める。
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この過去問の解説 (3件)
01
正解は 3 です。
正しい選択肢の個数は3で、3が正解となります。
各選択肢の解説は、以下のとおりです。
ア. 当事者が死亡した時は、訴訟手続きは中断します。この場合において、死亡した当事者に、相続人、相続財産管理人その他法令により訴訟を続行するべき者は、訴訟手続きを受け継がなくてはなりません。(民事訴訟法124条1項1号参照)。また、当事者が死亡した場合で、その相続人は、相続放棄ができる間は、訴訟手続きを受け継ぐことができません。(民事訴訟法124条3項参照)。従って、本選択肢は誤りです。
イ. 最高裁平成元年9月22日判決では、労働契約上の地位自体は、当該労働者の一身に専属的なものであって相続の対象になりえないものであるから、労働者の提起した労働契約上の地位を有することの確認を求める訴えは、労働者の死亡により当然に終了するとしています。従って、本選択肢は正しいです。
ウ. 当事者が死亡した場合で、その相続人が訴訟を受け継いだ場合には、相続人は前主の相続人の地位を全面的に引き継ぎます。従って、本選択肢は誤りです。
エ. 訴訟代理権は当事者の死亡によっては消滅せず、また、訴訟代理人がいる場合には、当事者が死亡しても、訴訟手続きは中断しません。(民事訴訟法58条1項1号、同法124条2項参照)。従って、本選択肢は正しいです。
オ. 訴訟手続きの中断又は中止があったときは、期間は進行を停止します。そして、この場合、訴訟手続きの受継の通知又はその続行の時から、新たに全期間の進行を始めます。(民事訴訟法132条2項前段、後段参照)。従って、本選択肢は正しいです。
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02
ア 誤り。
当事者が死亡した場合、民訴法124条1項の規定により相続人等が訴訟手続を承継しますが、相続人が相続の放棄をすることができる間は、訴訟手続を承継し得ない旨定められています(124条3項)。
イ 正しい。
訴訟継続中に当事者の一方が死亡した場合、その相続人が訴訟手続を受継するのが民事訴訟法上の原則ですが(民訴法124条1項)、労働契約上の地位の確認を請求する訴訟にあって、原告が死亡した場合訴訟は当然に終了するというのが判例です(最判平成元・9・22)。労働契約上の地位が一身専属的であり、相続の対象とならないことを理由とするものです。
ウ 誤り。
相続人が当事者の地位を受継するにあっては、包括的にこれを承継します。相続人の利益となる限度で効力を生ずるものではありません。
エ 正しい。
民訴法124条2項の規定です(124条1項にて死亡が訴訟の中断事由として定められていますが、同条2項にて訴訟代理人がある間を除外しています。また、訴訟代理人の代理権は本人の死亡によって消滅しません)。
オ 正しい。
民訴法132条2項の規定です(訴訟手続の中断又は中止があったときは、期間は、進行を停止する。この場合においては、訴訟手続の受継の通知又はその続行の時から、新たに全期間の進行を始める。)。
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03
正解は3。
ア:誤
相続人は、相続の放棄をすることができる間は、訴訟手続を受け継ぐことができません(民事訴訟法124条3項)。
よって、誤った記述です。
イ:正
判例は、労働者の提起した労働契約上の地位を有することの確認を求める訴訟は、当該労働者の死亡により当然終了するとしています。一審専属的な権利義務は相続の対象となりませんが(民法896条ただし書)、労働契約上の地位自体は当該労働者の一身に専属的なものであって、相続の対象になり得ないものであるからです(最判平成元年9月22日集民第157号645頁)。
よって、正しい記述です。
ウ:誤
訴訟承継では、承継の原因が生じた時点(この場合は、当事者の死亡[民事訴訟法124条1項1号参照])での訴訟状態を、その有利・不利を問わず引き継ぐため、既にされていた訴訟行為の効力も、相続人の利益となる限度といった限定をされることはありません。
よって、誤った記述です。
エ:正
当事者が死亡しても、訴訟代理人がある間は、訴訟手続は中断しないとされています(民事訴訟法124条、同条1項・2項)。
よって、正しい記述です。
オ:正
控訴は、判決書の正本の送達を受けた日から2週間の不変期間内に提起しなければなりません(民事訴訟法285条本文)。もっとも、この期間の進行は、当事者の死亡により停止し、訴訟手続の受継の通知又はその続行の時から、新たに全期間の進行を始めます(同法132条2項)。
よって、正しい記述です。
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