司法書士の過去問
平成25年度
午後の部 問54
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
平成25年度 司法書士試験 午後の部 問54 (訂正依頼・報告はこちら)
登記官の職権による登記の抹消に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 滞納処分による差押えがされている不動産の公売処分がされ、当該公売処分による所有権の移転の登記がされた場合には、当該差押えの後に登記された抵当権の設定の登記は、登記官の職権により、抹消される。
イ 所有権の移転の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行としての処分禁止の登記がされた不動産について、当該仮処分の債権者を登記権利者とし、当該仮処分の債務者を登記義務者とする所有権の移転の登記がされるとともに、仮処分に後れる登記が抹消される場合には、当該処分禁止の登記は、登記官の職権により、抹消される。
ウ 売買を登記原因とする所有権の移転の登記と同時にした買戻特約の登記がされている不動産について、買戻権の行使による所有権の移転の登記がされた場合には、当該買戻特約の登記の後にされた滞納処分に関する差押えの登記は、登記官の職権により、抹消される。
エ 個人である債務者に係る破産手続開始の登記がされている不動産について、破産管財人が裁判所の許可を得て任意売却し、その所有権の移転の登記がされた場合には、当該破産手続開始の登記は、登記官の職権により、抹消される。
オ 地上権の設定の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行としての処分禁止の登記及び保全仮登記がされた不動産について、当該保全仮登記に基づく本登記がされた場合には、当該処分禁止の登記は、登記官の職権により、抹消される。
ア 滞納処分による差押えがされている不動産の公売処分がされ、当該公売処分による所有権の移転の登記がされた場合には、当該差押えの後に登記された抵当権の設定の登記は、登記官の職権により、抹消される。
イ 所有権の移転の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行としての処分禁止の登記がされた不動産について、当該仮処分の債権者を登記権利者とし、当該仮処分の債務者を登記義務者とする所有権の移転の登記がされるとともに、仮処分に後れる登記が抹消される場合には、当該処分禁止の登記は、登記官の職権により、抹消される。
ウ 売買を登記原因とする所有権の移転の登記と同時にした買戻特約の登記がされている不動産について、買戻権の行使による所有権の移転の登記がされた場合には、当該買戻特約の登記の後にされた滞納処分に関する差押えの登記は、登記官の職権により、抹消される。
エ 個人である債務者に係る破産手続開始の登記がされている不動産について、破産管財人が裁判所の許可を得て任意売却し、その所有権の移転の登記がされた場合には、当該破産手続開始の登記は、登記官の職権により、抹消される。
オ 地上権の設定の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行としての処分禁止の登記及び保全仮登記がされた不動産について、当該保全仮登記に基づく本登記がされた場合には、当該処分禁止の登記は、登記官の職権により、抹消される。
- アイ
- アウ
- イオ
- ウエ
- エオ
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (3件)
01
以下の解説のとおり、正しい選択肢は、イ及びオとなります。従って、3が正解となります。
ア. 滞納処分によって差し押さえがされている不動産について、公売処分がなされ、当該公売処分による所有権移転登記がなされた場合には、当該差し押さえ後に設定された抵当権の登記は抹消されますが、その登記は、官公署が嘱託するので、本選択肢は誤りです。
イ. 所有権移転登記請求権を保全するために、処分禁止仮処分の執行として処分禁止の登記がなされた不動産について、当該処分の債権者を登記権利者、当該仮処分の債務者を登記義務者とする所有権移転の登記
がされるとともに、仮処分に遅れる登記が抹消される場合、当該処分禁止の登記は、登記官の職権で抹消されるので、本選択肢は正解です。
ウ. 売買を登記原因とする所有権移転の登記と同時にした買い戻し特約の登記がされている不動産について、買戻権の行使による所有権移転登記がなされた場合、当該買戻特約の登記後にされた滞納処分に関する差押さえの登記を、登記官の職権で行うことはできるという規定は存在しないため、本選択肢は誤りです。
エ. 個人である債務者に係る破産手続開始決定の登記がされている不動産について、破産管財人が裁判所の許可を得て任意売却し、その所有権移転登記がなされた場合には、当該破産手続開始の登記は、破産管財人の申立てに基づく、裁判所書記官の嘱託によって行います。従って、本選択肢は誤りです。
オ. 地上権の設定の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行としての処分禁止の登記及び保全仮登記がされた不動産について、当該保全仮登記に基づく本登記がされた場合には、当該処分禁止の登記は、登記官の職権で抹消されるので、本選択肢は正解です。
参考になった数11
この解説の修正を提案する
02
ア 滞納処分による差押えの登記後に公売処分がなされた場合、官公署は、公売処分による所有権移転の登記及び差押え登記の抹消を登記所に嘱託するほか、差押登記に後れる抵当権の登記(消滅する権利)の抹消も嘱託します(不登法115条)。登記官がこれらの登記を職権で行うのではありません。したがって、本記述は誤りです。
イ 処分禁止の仮処分の債権者の権利を実現させる登記と同時に仮処分債権者の申請により仮処分に後れる登記の抹消が申請され、当該登記が抹消された場合は(不登法111条1項)、処分禁止の仮処分の登記は、登記官が職権で抹消します(同条3項)。したがって、本記述は正しいです。
ウ 登記官は、買戻権の行使による権利の取得の登記(移転登記)をしたときは、職権で、買戻特約の登記を抹消しなければなりません(不登規174条)。ただし、買戻特約に遅れる登記で買戻権の行使により消滅した権利の登記については、職権で抹消する旨の規定はありませんので、その抹消は、原則通り申請又は嘱託によります。したがって、本記述は誤りです。
エ 個人である債務者に係る破産手続開始の登記がされている不動産について、破産管財人が裁判所の許可を得て任意売却し、所有権移転の登記がなされた場合、破産手続開始の登記の抹消は、裁判所書記官の嘱託によってなされます(昭和32.3.20民甲542号)。したがって、本記述は誤りです。
オ 保全仮登記に基づく本登記がされた場合には、仮処分の登記は、当該保全仮登記とともに登記官が職権で抹消します(不登法114条)。したがって、本記述は正しいです。
参考になった数5
この解説の修正を提案する
03
正解は3。
ア:誤
滞納処分による差押えがされている不動産の公売処分がされたときは、税務署長は、買受人の請求により、所有権の移転の登記を嘱託しなければなりません(国税徴収法121条)。公売処分がされた不動産上に差押え後にされた抵当権等は、買受人が代金を納付したときに消滅します(同法124条1項)。そして、消滅した当該権利の登記の抹消は、買受人への所有権の移転の登記の嘱託と併せて、税務署長からの嘱託によりなされます(同法125条)。
よって、誤った記述です。
イ:正
所有権の移転の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行としての処分禁止の登記(民事保全法53条1項)がされた不動産について、当該処分禁止の登記に係る仮処分の債権者が当該仮処分の債務者を登記義務者とする所有権の登記を申請するのと同時に、仮処分に後れる登記の抹消を申請することができ(不動産登記法111条1項)、この場合、当該処分禁止の登記は、登記官の職権により抹消されます(同条3項)。
よって、正しい記述です。
ウ:誤
買戻しの特約の登記がされている不動産に滞納処分による差押えの登記がされた後に、買戻権の行使による所有権の移転の登記がされたときでも、当該滞納処分による差押えの登記は、登記官の職権により抹消することはできないとされています(登記研究228号65頁)。
この場合には、当事者の共同申請(不動産登記法60条)又は官公署の嘱託により抹消されるものとされています(登記研究228号65頁参照)。
よって、誤った記述です。
エ:誤
破産手続き開始の登記がされている不動産について、破産管財人が任意売却(破産法78条2項1号、184条1項)を行い、これによる所有権の移転の登記がされた場合、破産手続開始の登記は、登記官の職権により抹消されるのではなく、破産管財人の申立てにより、裁判所書記官から抹消の嘱託がされます(平成16年12月16日3554号通達)。
よって、誤った記述です。
オ:正
不動産登記法114条は、「登記官は、保全仮登記に基づく本登記をするときは、職権で、当該保全仮登記とともにした処分禁止の登記を抹消しなければならない。」と定めていますので、保全仮登記に基づく本登記がされた場合には、この不動産にされていた地上権の設定の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行としての処分禁止の登記及び保全仮登記がされた当該処分禁止の登記は、登記官の職権により、抹消されます。
よって、正しい記述です。
参考になった数3
この解説の修正を提案する
前の問題(問53)へ
平成25年度問題一覧
次の問題(問55)へ