正解はなし(平成27年3月16日民商29号通知による取り扱い変更前は1)。
ア:正
行政区画、群、区、市町村内の町もしくは字またはそれらの名称の変更があったときは、その変更による登記があったものとみなされます(商業登記法26条)。
しかし、住居表示の実施により代表取締役の住所に変更があった場合には、代表取締役の住所の変更の登記を申請しなければなりません(昭和4年9月18日民甲8879号回答)。
よって、正しい記述です。
イ:誤
代表取締役の就任による変更の登記の申請書には、代表取締役を選定した取締役会の議事録に押された出席取締役および出席監査役の印鑑につき市区町村長の作成した印鑑証明書を添付する必要があります(商業登記規則61条4項本文・同項3号)。ただし、代表取締役の選定に係る取締役会議事録の印鑑と変更前の代表取締役が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、代表取締役の就任の登記の申請書には、当該議事録の印鑑につき市区町村長の作成した証明書の添付は必要ありません(同項ただし書)。
設例では、前任者Aではなく、新任者Bが登記所に届け出ている印を押印しているため、商業登記規則61条4項ただし書の適用はありません。したがって、取締役会の議事録に押印された出席取締役および出席監査役の印鑑につき市区町村長の作成した印鑑証明書を添付しなければなりません。
よって、誤った記述です。
ウ:誤(平成27年3月16日民商29号通知による取り扱いの変更前は正)
代表取締役の全員が日本に住所を有しない内国株式会社の代表取締役の就任による変更の登記の申請も受理されます(平成27年3月16日民商29号通知)。
よって、誤った記述です。
平成27年3月16日民商29号通知により取り扱いの変更前は、昭和59年9月26日民四4974号回答に基づいて、株式会社の代表取締役等、内国会社の代表者のうち、少なくとも一人は、日本に住所を有していなければならないとされていましたので、代表者のうちの誰も日本に住所を有していない、代表取締役の就任による変更の登記の申請はすることができませんでした。これによれば正しい記述となります。
エ:誤
退任後に取締役としての権利義務を有する取締役(会社法346条1項)であっても、代表取締役として選定され、就任することができ、就任による変更の登記を申請することができるとされています(昭和39年10月3日民甲3197号回答)。
よって、誤った記述です。
オ:誤
役員が任期満了または辞任により退任したが、会社法または定款で定めた役員の員数を欠くことになる場合には、退任した役員は、新たに選任された役員が就任するまで、なお役員としての権利義務を有します(会社法346条1項)この場合には、役員としての権利義務が解消されない限り、役員の退任または辞任による変更の登記を申請することはできません(最判昭和43年12月24日民集22巻13号3334頁)。
これに対して、取締役が欠格事由に該当したことにより、会社法または定款で定めた員数を欠くことになった場合でも、その者は役員としての権利義務を有することはありませんので、後任者が選任されていないときでも、当該取締役の退任による変更の登記を申請しなければなりません。
よって、誤った記述です。