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司法書士の過去問 平成26年度 午前の部 問8

問題

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A所有の甲土地の所有権についてBの取得時効が完成した場合に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものは、幾つあるか。
なお、Bは、当該取得時効を援用しているものとする。


ア  当該取得時効が完成した後にCがAから甲土地を買い受け、その旨の所有権の移転の登記がされた場合には、Bは、Cに対し、甲土地の占有を開始した時点より後の時点を時効期間の起算点として選択し時効完成の時期を遅らせることにより、甲土地の所有権を取得したことを主張することはできない。

イ  当該取得時効が完成した後にAが死亡しAの相続人であるCが甲土地を単独で相続しその旨の所有権の移転の登記がされた場合には、Bは、Cに対し、時効により甲土地の所有権を取得したことを主張することはできない。

ウ  当該取得時効が完成した後にCがAから甲土地を買い受け、その旨の所有権の移転の登記がされた場合には、Bは、当該登記後に引き続き甲土地について取得時効の完成に必要な期間占有を続けても、Cに対し時効により甲土地の所有権を取得したことを主張することはできない。

エ  当該取得時効が完成した後にCがAから甲土地を買い受け、その旨の所有権の移転の登記がされた場合には、Bが多年にわたり甲土地を有している事実をCが甲土地の買受け時に認識しており、Bの登記の欠缺を主張することが信義に反すると認められる事情があっても、Bは、Cに対し、時効により甲土地の所有権を取得したことを主張することはできない。

オ  CがAから甲土地を買い受けた後に当該取得時効が完成し、その後に甲土地についてAからCへの所有権の移転の登記がされた場合には、Bは、Cに対し、時効により甲土地の所有権を取得したことを主張することはできない。
   1 .
1個
   2 .
2個
   3 .
3個
   4 .
4個
   5 .
5個
( 平成26年度 司法書士試験 午前の部 問8 )
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この過去問の解説 (3件)

15
正解は4です。

誤っている選択肢の個数は4個なので、4が正解となります。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. 取得時効を援用する者が、任意に時効の起算点を選択して、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできないとされていますので、本選択肢は正しいです。

イ. Aの相続人のCは、Aの包括承継人に該当するため、Bの取得時効の完成後に、Cが甲土地の所有権を取得しその登記をしたとしても、Bは登記なくしてCに自らの時効取得を対抗できます。従って、本選択肢は誤りです。

ウ. 、Bは、当該登記後に引き続き甲土地について取得時効の完成に必要な期間占有を続ければ、時効によって甲土地の所有権を取得するので、本選択肢は誤りです。

エ. Cが、甲土地を長年にわたってBが占有していたことを知りながら、Bの取得時効の完成後に、Aから甲土地の所有権登記を受けた場合には、CはBに対する関係で、背信的悪意者に該当します。背信的悪意者に対しては、時効によって所有権を取得した者は、登記なくしてその権利を対抗できます。従って、本選択肢は誤りです。

オ. 時効完成前の甲土地の売買によって所有権を取得した者に対しては、たとえ、その所有権移転登記が時効完成後に行われたとしても、時効により所有権を取得した者は、その者に対して、登記なくして自らの所有権を対抗できます。従って、本選択肢は誤りです。

付箋メモを残すことが出来ます。
7
誤っている記述はイ、ウ、エ、オの4個であり、4が正解です。

ア 判例(最判昭和35.7.27)は、「占有開始時(時効の起算点)を動かすことはできない」としています(取得時効と登記の第4準則)。したがって、本記述は正しいです。

イ 判例(最判昭和42.7.21)は、「時効完成後に第三者が現れた場合、時効取得者は、登記なくして第三者に対抗することはできない」としています(取得時効と登記の第3準則)。しかし、本記述のCは原所有者の相続人であり、包括承継人ですからそもそも「第三者」(民法177条)に当たりません。時効取得者のBは、原所有者Aに登記なくして時効取得を対抗できるのと同様(取得時効と登記の第1準則)、Cに対しても登記なくして時効取得を対抗することができます。したがって、本記述は誤りです。

ウ 判例(最判昭和36.7.20)は、「時効完成後の第三者(所有権取得者)が登記を受けた時から、時効取得者たる占有者が時効取得に必要な占有を継続すれば、再度、取得時効が完成し、登記なくして当該第三者に対抗することができる」としています(取得時効と登記の第5準則)。 したがって、本記述は誤りです。

エ 判例(最判平成18.1.17)は、「時効完成後に現れた第三者が背信的悪意者にあたる場合は、登記なくして対抗することができる」としています。第三者(本記述のC)が背信的悪意者にあたるためには、「第三者(C)が、時効取得者(B)が取得時効の成立要件を充足 していることをすべて具体的に認識している必要はないものの、少なくとも、時効取得者による多年にわたる占有継続の事実を認識している必要がある」としています。本記述のCに、時効取得者による多年にわたる占有継続の事実を認識しており、登記の欠缺を主張することが信義に反すると認められる事情がある場合には、背信的悪意者にあたり、Bは、Cに対して、登記なくして時効取得を対抗すること ができます。

オ 判例(最判昭和41.11.22)は、「時効完成前に第三者が現れた場合、時効取得者は、登記なくして第三者に対抗することができる」としています(取得時効と登記の第2準則)。したがって、本記述は誤りです。

2

正解は4。

ア:正

判例は、取得時効の完成の時期は、時効の基礎たる事実の開始した時点を起算点として決定すべきものであり、取得時効を援用する者が任意にその起算点を選択肢、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできないとしています(最判昭和35年7月27日民集14巻10号1871頁)。

よって、正しい記述です。

イ:誤

時効による所有権の取得は原始取得ですが、時効完成前の所有者と時効により所有権を取得する者とは当事者間と同様の関係にあると扱われます。そして、Cは時効の完成後に甲土地の所有権を取得した第三者にあたるとも思えますが、Cは時効の完成前の所有者であるAの相続人であり、Aの包括承継人ですから(民法896条本文)、当事者と同視される地位を承継し、結局、BとCとの関係は当事者間のものとなります。したがって、BはCに対し、登記なしに甲土地の所有権を時効により取得したことを主張することができます。

よって、誤った記述です。

ウ:誤

取得時効が完成しても、その後に時効完成前の所有者AからCが甲土地を買い受け、その旨の所有権移転の登記がされれば、Bは取得時効による甲土地の所有権の取得を第三者たるCに対して主張することはできません(民法177条)。もっとも、判例は、Cへの所有権の移転登記がされた後もBが引き続き甲土地を占有し、さらに取得時効の完成に必要な期間が経過すれば、第三者たるCに対して、登記を経由し悪とも時効取得をもって甲土地の所有権の取得を主張することができるとしています(最判昭和36年7月20日民集15巻7号1903頁)。

よって、誤った記述です。

エ:誤

取得時効の完成後に、完成前の所有者Aから甲土地を買い受けたCは民法177条の第三者にあたります。もっとも、Bが多年にわたり甲土地を有している事実をCが甲土地の買受け時に認識しており、Bの登記の欠缺を主張することが信義に反すると認められる事情が認められる場合には、Cは背信的悪意者にあたりますので、第三者にはあたりません(最判平成18年1月17日民集60巻1号27頁)。したがって、Bは登記なくして、Cに対し、甲土地の所有権を取得したことの主張をすることができます。

よって、誤った記述です。

オ:誤

判例は、取得時効の完成前に、元の所有者から土地の所有権を取得し、取得時効が完成した後に、所有権の移転の登記がされたという場合に、時効取得者は、登記なしに、その譲受人に対して、所有権を主張することができるとしています(最判昭和42年7月21日民集21巻6号1643頁)。時効完成前の所有者と時効による所有権の取得者とは当事者の関係にあり、時効完成前の所有者が所有権の移転の登記をいつ経由したのかということはこの関係に影響しないからです。

よって、誤った記述です。

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