問題
なお、Bは、当該取得時効を援用しているものとする。
ア 当該取得時効が完成した後にCがAから甲土地を買い受け、その旨の所有権の移転の登記がされた場合には、Bは、Cに対し、甲土地の占有を開始した時点より後の時点を時効期間の起算点として選択し時効完成の時期を遅らせることにより、甲土地の所有権を取得したことを主張することはできない。
イ 当該取得時効が完成した後にAが死亡しAの相続人であるCが甲土地を単独で相続しその旨の所有権の移転の登記がされた場合には、Bは、Cに対し、時効により甲土地の所有権を取得したことを主張することはできない。
ウ 当該取得時効が完成した後にCがAから甲土地を買い受け、その旨の所有権の移転の登記がされた場合には、Bは、当該登記後に引き続き甲土地について取得時効の完成に必要な期間占有を続けても、Cに対し時効により甲土地の所有権を取得したことを主張することはできない。
エ 当該取得時効が完成した後にCがAから甲土地を買い受け、その旨の所有権の移転の登記がされた場合には、Bが多年にわたり甲土地を有している事実をCが甲土地の買受け時に認識しており、Bの登記の欠缺を主張することが信義に反すると認められる事情があっても、Bは、Cに対し、時効により甲土地の所有権を取得したことを主張することはできない。
オ CがAから甲土地を買い受けた後に当該取得時効が完成し、その後に甲土地についてAからCへの所有権の移転の登記がされた場合には、Bは、Cに対し、時効により甲土地の所有権を取得したことを主張することはできない。