司法書士の過去問
平成26年度
午前の部 問14

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問題

平成26年度 司法書士試験 午前の部 問14 (訂正依頼・報告はこちら)

根抵当権に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。


ア  根抵当権の元本の確定期日は、根抵当権の設定時に定めなければならない。

イ  元本の確定前においては、根抵当権者及び根抵当権設定者の合意があれば、後順位抵当権者の承諾がなくても、その根抵当権の被担保債権の範囲を変更することができる。

ウ  根抵当権者は、確定した元本及び元本の確定前に発生した被担保債権の利息のうち満期となった最後の2年分についてのみ、その根抵当権を行使することができる。

エ  元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができない。

オ  根抵当権の極度額の変更は、元本の確定前に限り、行うことができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は4です。

正しい選択肢はイとエなので、4が正解となります。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. 根抵当権の元本の確定期日は、根抵当権の設定時に必ず定めなければならないというわけではありません。従って、本選択肢は誤りです。

イ. 優先弁済権である極度額を変更するわけではないので、被担保債権の範囲を変更しても、後順位抵当権者等に影響を与えません。よって、根抵当権者及び根抵当権設定者は、後順位抵当権者等の承諾を得ることなく、根抵当権の担保すべき債権の範囲を変更することができます。従って、本選択肢は正しいです。

ウ. 根抵当権者は、満期の最後の2年分に限らず、極度額を限度として、確定した利息、遅延損害金の全部について、根抵当権を行使できます。従って、本選択肢は誤りです。

エ. 元本確定前に、根抵当権者から債権の譲渡を受けた者は、その債権について根抵当権を行使することはできません。従って、本選択肢は正しいです。

オ. 極度額の変更は、元本確定の前後を問わず、行うことができます。従って、本選択肢は誤りです。

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02

正しい記述はイとエであり、4が正解です。

ア 根抵当権設定契約において、元本確定期日を定めることができますが(民法398条の6第1項)、必ず定めなければならないわけではありません。したがって、本記述は誤りです。

イ 元本の確定前において、根抵当権の被担保債権の範囲又は債務者の変更をするには、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得る必要はありません(民法398条の4第2項)。したがって、本記述は正しいです。

ウ 根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができます(民法398条の3第1項 極度額限度担保性)。抵当権の場合のような、最後の2年分といった規定(民法375条1項参照)はありません。したがって、本記述は誤りです。

エ 元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者や、元本の確定前に債務者のために又は債務者に代わって弁済をした者は、その債権について根抵当権を行使することができません(民法398条の7第1項 随伴性の否定)。したがって、本記述は正しいです。

オ 根抵当権の極度額の変更は、支配権の範囲の変更という大きな影響を及ぼすため、利害関係を有する者の承諾が必要ですが、承諾が得られれば、元本確定の前後を問わずすることができます(民法398条の5)。したがって、本記述は誤りです。

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03

正解 4

ア 誤り
根抵当権の担保すべき元本については、その確定すべき期日を定めることができますが(民法398条の6第1項)、必ず根抵当権の設定時に定めなければならないわけではありません。

イ 正しい
元本の確定前において、根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をするには、後順位の抵当権者の承諾を得る必要はありません(民法398条の4第2項)。

ウ 誤り
根抵当権者は、確定した元本並びに利息等について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができます(民法398条の3第1項)。
もっとも、根抵当権の被担保債権の範囲は、その満期となった最後の2年分に限られません。このような限定が付されるのは、抵当権の場合です。

エ 正しい
元本の確定前に根抵当権者から債権を取得した者は、その債権について根抵当権を行使することができません(民法398条の7第1項)。

オ 誤り
根抵当権の極度額の変更は、利害関係を有する者の承諾を得なければ、することができません(民法398条の5)。
したがって、利害関係を有する者の承諾があれば、根抵当権の極度額を変更することができ、この場合、必ずしも元本の確定前に行わなければならないというわけではありません。

以上から、正しい肢はイとエであり、4が正解となります。

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