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司法書士の過去問 平成26年度 午前の部 問26

問題

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詐欺罪の成否に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。


ア  Aは、所持金がなく、代金を支払う意思も能力もないのに、飲食店で料理を注文して飲食し、その後、代金の支払を求められた際、何も言わずに店を出て逃走した。この場合、Aには、刑法第246条第2項の詐欺罪が成立する。

イ  Aは、不正に入手したB名義のクレジットカードを使用し、当該クレジットカードの加盟店であるC店の店主Dに対し、B本人になりすまして商品の購入を申し込み、その引渡しを受けた。その後、C店は、クレジットカード会社から代金相当額の金員の支払を受けた。この場合、Aには、C店の店主Dに対する詐欺罪は成立しない。

ウ  Aは、一人暮らしのBに電話をかけ、Bに対し、息子であると偽り、交通事故の賠償金を用意して、友人であるCに手渡すように申し向けた。Bは、Aの声色が自分の息子のものとは違っていることに気付いたことから、Aが虚偽の事実を申し向けて金員の交付を求めてきたのだと分かったが、憐憫の情に基づいて現金を用意し、Cに対し、現金を交付した。この場合、Aには、刑法第246条第1項の詐欺罪の未遂罪が成立する。

エ  Aは、自己の銀行口座に誤って現金が振り込まれていたことを知り、これを自己の借金の返済に充てようと考え、銀行の窓口係員Bに対し誤振込みがあったことを告げずに、同口座の預金全額の払戻請求をして現金の交付を受けた。この場合、Aには、刑法第246条第1項の詐欺罪が成立する。

オ  Aは、土地の所有者Bをだまし、当該土地についてBからAへの所有権の移転の登記を受けた。この場合、Aには、当該土地について、刑法第246条第2項の詐欺罪が成立する。


(参考)
刑法
第246条 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
   1 .
アイ
   2 .
アエ
   3 .
イオ
   4 .
ウエ
   5 .
ウオ
( 平成26年度 司法書士試験 午前の部 問26 )
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この過去問の解説 (3件)

14
正解は4です。

正しい選択肢はウとエなので、4が正解です。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. 無銭飲食については、刑法246条1項詐欺が成立します。従って、本選択肢は誤りです。

イ. 個人名義のクレジットカードの不正使用については、加盟店を被害者とする1項詐欺が成立します。
従って、本選択肢は誤りです。

ウ. 欺罔行為の相手方が錯誤に陥らず、憐憫の情から財物を交付した場合には、詐欺罪は未遂にとどまります。従って、本選択肢は正しいです。

エ. 最高裁平成15年3月12日判決では「誤った振込があることを知った受取人が、その情を秘して預金の払い戻しを請求することは、詐欺の欺罔行為に当たり、また、誤った振込の有無に関する錯誤は、同罪の錯誤に当たるというべきであるから、錯誤に陥った銀行窓口係員から受取人が預金の払戻しを受けた場合には、詐欺罪が成立する」としています。従って、本選択肢は正しいです。

オ. 刑法246条1項の財物には不動産も含みます。また、不動産の所有権移転登記によって、不動産の処分可能性や、不動産の占有が移転します。その結果、欺罔行為によって、所有権移転登記が行われた本選択肢の場合、2項詐欺ではなく1項詐欺が成立するので、本選択肢は誤りです。
 

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5
正しい記述はウとエであり、4が正解です。

ア 判例(大判大正9.5.8)は、「飲食店で、始めから代金支払いの意思なく注文をした場合、その時点で1項詐欺罪が成立する」としています。したがって、本記述は誤りです。

イ 判例(最決平成16.2.9)は、「他人のクレジットカードを入手した者が、自己をカード名義人本人と誤信させて財物の交付を受けた場合、加盟店を被害者とする1項詐欺罪が成立する」としています。したがって、本記述は誤りです。

ウ 判例(大判大正11.12.22)は、「欺罔行為と交付(処分)との間には、因果関係が必要であり、欺罔行為があったが、相手方が錯誤に陥らず、憐憫の情から財物を与えた場合は、詐欺罪の未遂となる」としています。したがって、本記述は正しいです。

エ 判例(最決平成15.3.12)は、「受取人においても、銀行との間で普通預金取引契約に基づき継続的な預金取引を行っている者として、自己の口座に誤った振込みがあることを知った場合には、誤った振込みがあった旨を銀行に告知すべき信義則上の義務がある」として、「誤った振込みがあることを知った受取人が、その情を秘して預金の払戻しを請求することは、詐欺罪の欺罔行為に当たり、また、誤った振込みの有無に関する錯誤は同罪の錯誤に当たるというべきであるから、錯誤に陥った銀行窓口係員から受取人が預金の払戻しを受けた場合には、詐欺罪が成立する」としています。したがって、本記述は正しいです。

オ 判例(大判大正11.12.15)は、不動産の騙取を目的とする詐欺罪が成立するためには、人を欺いて所有権移転に関する意思表示をさせただけでは十分でなく、現実にその占有を移転させるか、または所有権移転登記を完了させることが必要である」としています。この場合は、不動産(財物)を目的とするので、1項詐欺罪が成立します。したがって、本記述は誤りです。

2
正解 4

ア 誤り
代金支払の意思も能力もなく飲食物を注文する行為は、欺罔行為にあたり、その欺罔行為により、相手方を錯誤に陥れ、飲食物を提供させた場合、刑法246条1項の詐欺罪が成立します。

イ 誤り
判例(最決平成16年2月9日)は、本肢と同様の事案において、「クレジットカードの名義人になりすまし同カードを利用して商品を購入する行為は、仮に、名義人から同カードの使用を許されており、かつ、自らの使用に係る同カードの利用代金が規約に従い名義人において決済されるものと誤信していたとしても、詐欺罪にあたる」としています。
本肢の場合、Aは、B本人になりすますという欺罔行為によって、Dを錯誤に陥れ、商品の引渡しを受けているため、Dに対する詐欺罪が成立します。

ウ 正しい
錯誤に陥っていないにもかかわらず、憐憫の情などから財物を交付した場合には、刑法246条1項の詐欺罪の未遂罪が成立します。

エ 正しい
判例(最決平成15年3月12日)は、本肢と同様の事案において、「誤った振込みがあることを知った受取人が、その情を秘して預金の払戻しを請求し、その払戻しを受けた場合には、詐欺罪が成立する。」としています。

オ 誤り
判例(大判大正11年12月15日)は、「不動産の騙取を目的とする詐欺罪が成立するためには、人を欺いて所有権移転に関する意思表示をさせただけでは十分でなく、現実にその占有を移転させるか、または所有権移転登記を完了させることが必要である。」としています。そして、この場合には、不動産を対象とする刑法246条1項の詐欺罪が成立します。

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