司法書士の過去問
平成26年度
午後の部 問51
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問題
平成26年度 司法書士試験 午後の部 問51 (訂正依頼・報告はこちら)
判決による登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア Aが所有権の登記名義人である甲土地につき農地法所定の許可があったことを条件としてBに対して所有権の移転の登記手続を命ずる確定判決に基づき、Bが単独で当該所有権の移転の登記を申請する場合には、添付情報として当該許可があったことを証する情報を提供すれば、当該判決について執行文の付与を受けていなくても、当該登記を申請することができる。
イ Aは、Bが所有権の登記名義人である甲土地の一部を買い受けた場合において、甲土地の当該一部につきBに対してAへの所有権の移転の登記手続を命ずる判決が確定したときは、Bに代位して甲土地の分筆の登記を申請し、その後、当該判決に基づき単独で甲土地の当該一部についての所有権の移転の登記を申請することができる。
ウ Aが所有権の登記名義人である甲土地につきAがBに対して所有権の移転の登記手続に必要な書類を交付することを内容とする和解調書に基づき、Bは、単独で甲土地の所有権の移転の登記を申請することができる。
エ A及びBは、Aに対してBへの所有権の移転の登記手続を命ずる確定判決を登記原因説明情報として提供し、共同して、当該所有権の移転の登記を申請することができる。
オ Aが所有権の登記名義人である甲土地につき売買を登記原因とするBへの所有権の移転の登記手続を命ずる判決が確定した場合には、その後、当該登記がされる前にAが甲土地をCに対して売り渡し、その旨の所有権の移転の登記がされたときであっても、Bは、甲土地について、当該判決に承継執行文の付与を受けてCからBへの所有権の移転の登記を単独で申請することができる。
ア Aが所有権の登記名義人である甲土地につき農地法所定の許可があったことを条件としてBに対して所有権の移転の登記手続を命ずる確定判決に基づき、Bが単独で当該所有権の移転の登記を申請する場合には、添付情報として当該許可があったことを証する情報を提供すれば、当該判決について執行文の付与を受けていなくても、当該登記を申請することができる。
イ Aは、Bが所有権の登記名義人である甲土地の一部を買い受けた場合において、甲土地の当該一部につきBに対してAへの所有権の移転の登記手続を命ずる判決が確定したときは、Bに代位して甲土地の分筆の登記を申請し、その後、当該判決に基づき単独で甲土地の当該一部についての所有権の移転の登記を申請することができる。
ウ Aが所有権の登記名義人である甲土地につきAがBに対して所有権の移転の登記手続に必要な書類を交付することを内容とする和解調書に基づき、Bは、単独で甲土地の所有権の移転の登記を申請することができる。
エ A及びBは、Aに対してBへの所有権の移転の登記手続を命ずる確定判決を登記原因説明情報として提供し、共同して、当該所有権の移転の登記を申請することができる。
オ Aが所有権の登記名義人である甲土地につき売買を登記原因とするBへの所有権の移転の登記手続を命ずる判決が確定した場合には、その後、当該登記がされる前にAが甲土地をCに対して売り渡し、その旨の所有権の移転の登記がされたときであっても、Bは、甲土地について、当該判決に承継執行文の付与を受けてCからBへの所有権の移転の登記を単独で申請することができる。
- アイ
- アウ
- イエ
- ウオ
- エオ
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この過去問の解説 (3件)
01
正しい選択肢は イとエなので、3が正解となります。
各選択肢の解説は、以下のとおりです。
ア. Bが単独で所有権の移転の登記を申請するためには、農地法所定の許可を受けて、条件成就執行文の付与を受けた確定判決書の正本を提供する必要があります。従って、本選択肢は誤りです。
イ. 分筆登記は原則として、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することはできないとされているが、表題部所有者又は所有権の登記名義人が分筆登記をとらない場合には、売買契約の買主は、民法423条の債権者代位権に基づいて、所有権移転登記請求権を保全するため、これらの者に代位して、分筆登記を申請することができます(不動産登記法39条1項参照)。従って、本選択肢は正しいです。
ウ. Bが単独で甲土地の所有権移転の登記を申請するためには、和解調書に「登記手続きをする」という給付文言がは記載されている必要があり、「登記手続きに必要な書類を交付する」という文言が記載された和解調書をもって、Bが単独で登記を申請することはできません。従って、本選択肢は誤りです。
エ. 確定判決を得た上で共同申請をしても、登記の真正性は担保されているから、確定判決を得た場合であっても、権利に関する登記として原則通り共同申請することは差し支えありません。従って、本選択肢は正しいです。
オ. 所有権移転登記を命じる判決を得た場合であっても、その後、二重譲渡された場合には、判決を得た者と譲受人は対抗関係に立つのであるから、登記を備えた者が優先すると解され、譲受人が登記を備えた時は、判決を得ていたとしても、所有権の取得を対抗できません。従って、本選択肢のケースでは、Bは、CからBへの所有権移転登記を単独では申請できないので、本選択肢は誤りです。
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02
ア 誤り
農地法所定の許可があったことを条件として、所有権の移転の登記手続を命ずる確定判決に基づき、登記権利者が単独で当該所有権の移転の登記を申請する場合には、農地法所定の許可を受けたうえで、条件成就執行文の付与を受けた確定判決の正本を提供しなければなりません。
イ 正しい
分筆の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができません(不動産登記法39条1項)。
もっとも、表題部所有者又は所有権の登記名義人が分筆の登記を申請しない場合、土地の一部を買い受けた者は、所有権移転登記請求権の保全を目的として、これらの者に代位して、分筆の登記を申請することができます(民法423条1項)。
ウ 誤り
登記権利者が、和解調書に基づき、単独で土地の所有権の移転の登記を申請するためには、和解調書において「登記を申請する」旨の文言が記載されている必要があります。
エ 正しい
確定判決を登記原因説明情報として提供し、当該所有権の移転の登記を申請する場合、共同して申請しても、登記の真正は確保されているため、差し支えありません。
オ 誤り
所有権の移転の登記手続を命ずる判決が確定した場合であっても、その後、当該土地が二重譲渡された場合には、判決を得た者と譲受人は対抗関係に立ちます。
対抗関係となった場合は、先に登記を備えた者が優先するため(民法177条)、譲受人が先に登記を備えた場合は、判決を得ていたとしても、所有権の取得を譲受人に対抗できません。
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03
当該記述の場合に判決による登記を単独申請する際の添付情報である確定判決に執行文の付与が必要です。
イ正
前提としての分筆登記は登記名義人を代位して申請することができます。
ウ誤
書類を交付することを内容とする和解調書では判決による登記はできません。
エ正
判決による登記を単独申請できるときでも共同申請ができます。
オ誤
BとCは対抗関係立つため単独申請はできません。
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