司法書士の過去問
平成26年度
午後の部 問52
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問題
平成26年度 司法書士試験 午後の部 問52 (訂正依頼・報告はこちら)
所有権の保存の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものは、幾つあるか。
なお、ウ以外の記述における所有権の保存の登記の申請人は、所有権を有することが確定判決によって確認された者ではないものとする。
ア 所有権の登記がない土地について、その表題部所有者であるAが死亡した場合には、Aから包括遺贈を受けたB株式会社は、自己を登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる。
イ A及びBが表題部所有者である所有権の登記がない建物について、Aは、A及びBを登記名義人とする所有権の保存の登記を単独で申請することができる。
ウ Aが所有権の保存の登記の登記名義人である建物について、Aに対して当該登記の抹消を命ずる判決が確定した場合において、当該判決の理由中でBが当該建物の所有権を有することが確認されているときは、Bは、当該登記を抹消し、自己を登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる。
エ Aが表題部所有者である所有権の登記がない敷地権付き区分建物について、これをBがAから買い受けた後に、さらにCがBから買い受けた場合には、Cは、自己を登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる。
オ Aが表題部所有者である所有権の登記がない建物について、B及びCがAを相続した後に、DがBを相続したときは、C及びDは、C及びDを登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる。
なお、ウ以外の記述における所有権の保存の登記の申請人は、所有権を有することが確定判決によって確認された者ではないものとする。
ア 所有権の登記がない土地について、その表題部所有者であるAが死亡した場合には、Aから包括遺贈を受けたB株式会社は、自己を登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる。
イ A及びBが表題部所有者である所有権の登記がない建物について、Aは、A及びBを登記名義人とする所有権の保存の登記を単独で申請することができる。
ウ Aが所有権の保存の登記の登記名義人である建物について、Aに対して当該登記の抹消を命ずる判決が確定した場合において、当該判決の理由中でBが当該建物の所有権を有することが確認されているときは、Bは、当該登記を抹消し、自己を登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる。
エ Aが表題部所有者である所有権の登記がない敷地権付き区分建物について、これをBがAから買い受けた後に、さらにCがBから買い受けた場合には、Cは、自己を登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる。
オ Aが表題部所有者である所有権の登記がない建物について、B及びCがAを相続した後に、DがBを相続したときは、C及びDは、C及びDを登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができる。
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この過去問の解説 (3件)
01
正しい選択肢の個数は3なので、3が正解です。
各選択肢の解説は、以下のとおりです。
ア. 包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有するが、所有権保存登記の申請人となることはできません(登研223p.67参照)。従って、本選択肢は誤りです。
イ. 先例は、所有権の登記がない建物につき、共有者の一人が自己の持分のみの保存登記をすることはできないとし(明治32年8月8日民刑1311参照)、また、共同相続人の一部についてのみ保存登記の申請をすることはできない、と規定しています(昭和30年10月15日民甲2216参照)。従って、本選択肢は正しいです。
ウ. 所有権を有することが確定判決によって確認されたものは(判決理由で所有権が確認されている場合も判決に含まれます)、自己の名義で所有権保存登記を申請することができます(不動産登記法74条1項2号参照)。従って、本選択肢は正しいです。
エ. 標題部所有者から直接所有権を取得した者から、さらに、所有権を取得した転得者には、直接自己名義で所有権保存の申請をすることはできない。従って、本選択肢は誤りです。
オ. 表題部所有者から数次に相続が開始した場合、現在の相続人は、直接自己名義に所有権保存登記を申請することができます。そして、この場合、所有権移転登記の場合とは異なり、中間の相続は単独相続である必要はありません(登研407P.85、443P.93参照)。従って、本選択肢は正しいです。
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02
包括受遺者は所有権保存登記の申請人になることはできません。
イ正
その通り。共有であっても単独で所有権保存登記ができます。
ウ正
判決理由中に所有権が確認されていれば判決による登記ができます。
エ誤
Bの所有権保存登記後にCへの移転登記うぃしなければなりません。
オ正
その通り。数次相続の場合に中間の相続が単独でなくとも現在の相続人名義の登記ができます。
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03
ア 誤り
包括受遺者は、所有権の保存の登記を申請することはできません(不動産登記法74条1項参照)。
イ 正しい
先例(明治32年8月8日民刑1311号)は、「共同相続人の一人は、全員のための所有権保存登記の申請は共有財産の保存行為として単独でできる。」としています。
この立場によれば、共有者の一方は、共有者を登記名義人とする所有権の保存の登記を単独で申請できることになります。
ウ 正しい
所有権を有することが確定判決によって確認された者は、自己を登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができます(不動産登記法74条1項2号)。
エ 誤り
所有権を取得した転得者は、買受人への所有権の保存登記を経由したうえで、自己を登記名義人とする所有権の移転の登記を申請しなければなりません。
オ 正しい
表題部所有者について数次相続が開始した場合、現在の相続人は、自己を登記名義人とする所有権の保存の登記を申請することができます。
この場合、中間相続が単独相続である必要はありません。
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