司法書士の過去問
平成26年度
午後の部 問55
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問題
平成26年度 司法書士試験 午後の部 問55 (訂正依頼・報告はこちら)
相続による所有権の移転の登記の申議の要否に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア Aが所有権の登記名義人である甲土地について、農地法所定の許可があったことを停止条件とする所有権の移転の仮登記がされた後、当該許可がある前にAが死亡した場合において、当該仮登記に基づく本登記を申請するときは、その前提としてAの相続人への所有権の移転の登記を申請しなければならない。
イ Aが所有権の登記名義人である甲土地について、Bが占有を開始した時より前にAが死亡していた場合において、甲土地についてのBの取得時効が完成したとしてBを登記権利者とする時効取得による所有権の移転の登記を申請するときは、その前提としてAの相続人への所有権の移転の登記を申請しなければならない。
ウ 権利能力のない社団の構成員全員に総有的に帰属する甲土地について、当該社団の代表者であるAが個人名義でその所有権の登記名義人となっていた場合において、Aが死亡した後に当該社団の新たな代表者としてBが就任し、Bを登記権利者とする委任の終了による所有権の移転の登記を申議するときは、その前提としてAの相続人への所有権の移転の登記を申請しなければならない。
エ Aが所有権の登記名義人である甲土地について、Aの死亡を始期とする所有権の移転の仮登記がされている場合において、その後にAが死亡し、当該仮登記に基づく本登記を申請するときは、その前提としてAの相続人への所有権の移転の登記を申請しなければならない。
オ 抵当権の設定者である所有権の登記名義人Aが死亡した後に当該抵当権が消滅した場合において、当該抵当権の設定の登記の抹消を申請するときは、その前提としてAの相続人への所有権の移転の登記を申請しなければならない。
ア Aが所有権の登記名義人である甲土地について、農地法所定の許可があったことを停止条件とする所有権の移転の仮登記がされた後、当該許可がある前にAが死亡した場合において、当該仮登記に基づく本登記を申請するときは、その前提としてAの相続人への所有権の移転の登記を申請しなければならない。
イ Aが所有権の登記名義人である甲土地について、Bが占有を開始した時より前にAが死亡していた場合において、甲土地についてのBの取得時効が完成したとしてBを登記権利者とする時効取得による所有権の移転の登記を申請するときは、その前提としてAの相続人への所有権の移転の登記を申請しなければならない。
ウ 権利能力のない社団の構成員全員に総有的に帰属する甲土地について、当該社団の代表者であるAが個人名義でその所有権の登記名義人となっていた場合において、Aが死亡した後に当該社団の新たな代表者としてBが就任し、Bを登記権利者とする委任の終了による所有権の移転の登記を申議するときは、その前提としてAの相続人への所有権の移転の登記を申請しなければならない。
エ Aが所有権の登記名義人である甲土地について、Aの死亡を始期とする所有権の移転の仮登記がされている場合において、その後にAが死亡し、当該仮登記に基づく本登記を申請するときは、その前提としてAの相続人への所有権の移転の登記を申請しなければならない。
オ 抵当権の設定者である所有権の登記名義人Aが死亡した後に当該抵当権が消滅した場合において、当該抵当権の設定の登記の抹消を申請するときは、その前提としてAの相続人への所有権の移転の登記を申請しなければならない。
- アイ
- アエ
- イオ
- ウエ
- ウオ
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この過去問の解説 (3件)
01
正しい選択肢はイとオなので、3が正解です。
各選択肢の解説は、以下のとおりです。
ア. 先例は、農地法所定の許可があったことを停止条件とする所有権移転の仮登記がなされた後、当該許可がある前に、売主が死亡した場合において、当該仮登記に基づく本登記を申請するときは、その前提として、売主への相続人への所有権移転登記を申請することを要しない、としています(昭和35年5月10日民3.328参照)。従って、本選択肢は誤りです。
イ. 先例は、時効取得者の占有開始前に不動産の所有権登記名義人が死亡し、その後、占有者の時効所得が完成した場合において、当該占有者を登記権利者とする時効取得による所有権移転の登記を申請するときは、その前提として、不動産の所有権移転登記名義人の相続人への所有権移転登記を申請することを要する、としています(登研239P.75)。従って、本選択肢は正しいです。
ウ. 先例は、権利能力なき社団の構成員全員に総有的に帰属する土地が代表者個人名義でその所有権登記名義人となっていた場合で、当該代表者が死亡した場合には、当該代表者が死亡した後に、新たな代表者が就任し、新たな代表者を登記権利者とする委任の終了による所有権移転登記を申請する場合には、その前提として、所有権移転登記名義人の相続人への所有権移転登記を申請することを要しない、としています(登研239P.75)。従って、本選択肢は誤りです。
エ. 不動産の所有権登記名義人の死亡を始期とする所有権移転の仮登記がされている場合に、その後、当該登記名義人が死亡し、仮登記に基づく本登記を申請するときは、その前提として所有権移転登記名義人の相続人への所有権移転登記を申請することを要しません。従って、本選択肢は誤りです。
オ. 先例は、抵当権設定者である所有権移転登記名義人が死亡した後に、当該抵当権が消滅した場合において、当該抵当権の登記の抹消をするときは、その前提として、抵当権設定者の相続人への所有権移転登記を申請することを要する、としています(登研662P.281参照)。従って、本選択肢は正しいです。
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02
停止条件付仮登記の本登記前に売主が死亡した場合に本登記の前提としての相続登記は不要です。
イ正
その通り。時効取得による移転登記の前提として相続登記が必要です。
ウ誤
新たな代表者を委任の終了による移転登記をする際の前提として相続登記は不要です。
エ誤
死亡を始期とする条件付の仮登記を本登記する際の前提として相続登記は不要です。
オ正
その通り。前提として相続登記を要します。
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03
ア 誤り
先例(昭和35年5月10日民三328号)は、農地法所定の許可があったことを停止条件とする所有権の移転の仮登記がされた後、当該許可がある前に所有者が死亡した場合において、当該仮登記に基づく本登記を申請するときは、その前提としての相続登記は不要であるとしています。
イ 正しい
不動産の占有を開始した時より前に、不動産の所有権の登記名義人が死亡していた場合において、不動産についての時効取得が完成したとして、当該占有者を登記権利者とする時効取得による所有権移転の登記を申請するときは、その前提として当該登記名義人の相続人への所有権の移転の登記を申請しなければなりません。
ウ 誤り
権利能力のない社団の構成員全員に総有的に帰属する不動産について、当該社団の代表者名義でその所有権の登記名義人となっていた場合において、当該代表者が死亡した後に新たに就任した代表者を登記権利者とする委任の終了による所有権の移転の登記を申請するときは、その前提としての当該代表者の相続人への所有権の移転の登記は不要です。
エ 誤り
不動産の所有権の登記名義人の死亡を始期とする所有権の移転の仮登記がされている場合において、その後に当該登記名義人が死亡し、当該仮登記に基づく本登記を申請するときは、その前提としての当該登記名義人の相続人への所有権の移転の登記は不要です。
オ 正しい
先例(登記研究662-281頁)は、「抵当権設定者の死亡後に抵当権が消滅した場合、抹消登記の前提として相続による所有権移転登記をしなければならない。」としています。
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