司法書士の過去問
平成26年度
午後の部 問63

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問題

平成26年度 司法書士試験 午後の部 問63 (訂正依頼・報告はこちら)

次の対話は、商業登記制度に関する教授と学生との対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち、正しいものは、幾つあるか。


教授 : 商業登記法は、どのような目的をもって制定されていますか。

学生 : ア  商号、会社等に係る信用の維持を図り、かつ、取引の安全と円滑に資することを目的として制定されています。

教授 : 商業登記の真実性を担保するための一つの手段として、後記の申請書に押印すべき者の印鑑をあらかじめ登記所に提出させる制度があります。では、会社の登記の申請を委任による代理人がする場合、申請書には誰の印を押す必要がありますか。

学生 : イ  登記所に提出した代表者の印を押す必要があります。

教授 : 商業登記の申請がされた場合において、登記官は、申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、どのような調査を行うことができますか。

学生 : ウ  登記官は、申請人に対して、文書の提示など必要な情報の提供を求めることはできますが、登記所への出頭を求めることはできません。

教授 : 登記すべき事項を公示するための一つの手段として、登記簿に記録されている事項を説明した書面( 以下「 登記事項証明書」という。)の交付の制度があります。誰が登記事項証明書の交付を請求することができますか。

学生 : エ  会社と取引しようとする者など利害関係を有する者に限り、手数料を納付して、登記事項証明書の交付を請求することができます。

教授 : 登記事項証明書のうち履歴事項証明書には、どのような登記事項が記載されますか。

学生 : オ  当該履歴事項証明書の交付の請求があった日までに、証明の対象となる登記簿に記録された全ての登記事項が記載されます。
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この過去問の解説 (3件)

01

正解は 1 です。

正しい選択肢はアのみなので、1が正解となります。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. 商業登記法は、商法、会社法その他の法律の規定により登記すべき事項を公示するための登記に関する制度について定めることにより、商号、会社等に関する信用の維持を図り、かつ、取引の安全と円滑に資することを目的としています(商業登記法1条参照)。従って、本選択肢は正しいです。

イ. 登記の申請書には、所定の事項を記載し、申請人又はその代表者(当該代表者が法人である場合にあっては、その職務を行うべき者)若しくは代理人が記名押印しなければなりません(商業登記法17条2項参照)。従って、本選択肢は誤りです。

ウ. 登記官は、登記の申請があった場合において、申請人となるべき者以外の者が申請していると疑うに足る相当の理由があると認めるときは、申請を却下する場合を除き、申請人又はその代表者若しくは代理人に対して、出頭を求め、質問をし、又は文書の提示その他必要な情報の提供を求める方法により、当該申請人の申請権限の有無について調査しなければなりません(商業登記法23条の2第1項参照)。従って、本選択肢は誤りです。

エ. 何人も、手数料を納付して、登記事項証明書の交付を請求することができます(商業登記法10条1項参照)。従って、本選択肢は誤りです。

オ. 履歴事項証明書は、①現在事項証明書に記載される事項②請求日の3年前の日の属する年の1月1日(以下、「基準日」といいます。)から請求日までの間に抹消する記号が記録された登記事項及び基準日から請求日までの間に登記された事項で現に効力を有しなものが記載されます(商業登記規則30条1項2号、1号参照)。従って、本選択肢は誤りです。

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02

ア正
その通り。商業登記法1条

イ誤
申請書の印は申請人または代表者のものが必要です。

ウ誤
登記官は記述場合に相手に対して出頭を求めることができます。

エ誤
登記事項証明書の交付に制限はありません。

オ誤
全ての登記事項が記載されるわけではありません。商業登記法30条。

参考になった数6

03

正解は1です。

ア…正しいです。目的は法律の最初に記載された通りです(商業登記法1条)。商業登記法は、会社法その他の法律の規定により登記すべき事項を公示するための登記に関する制度について定めることにより商号、会社等に係る信用の維持を図り、かつ、取引の安全と円滑に資することを目的として制定されています。

イ…誤りです。会社の代表者のみに会社に関わる登記の申請の資格があるわけではないので、代表者ではない申請人や代理人が申請する場合、申請書にはその者の押印が必要になります(商業登記法17条2項)。

ウ…誤りです。登記官は、本人以外の者が申請していると疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、申請人またはその代表者もしくは代理人に対し、出頭を求め、質問をし、または文書の提示その他の必要な情報の提供を求める方法により、当該申請人の申請の権限の有無を判断しなければなりません(商業登記法23条の2第1項)。出頭を求めることもできるので誤りです。

エ…誤りです。登記事項は一般に公開されており、誰でも手数料を納付して、登記事項証明書の交付を請求することができます(商業登記法10条1項)。取締役会議事録などと混同しないようにしてください。

オ…誤りです。登記事項証明書には、①現在事項証明書、②履歴事項証明書、③閉鎖事項証明書、④代表者事項証明書があります(商業登記規則30条1項各号)。このうち、履歴事項証明書については、当該請求のあった日(以下、請求日)から、請求日の三年前の日の属する一月一日までの期間を対象としており、この期間内に、抹消記号を記録された登記事項、および現に効力を有しない登記事項のすべてについて記載されています(同項2号)。

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