司法書士の過去問
平成26年度
午後の部 問64

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問題

平成26年度 司法書士試験 午後の部 問64 (訂正依頼・報告はこちら)

株式会社の設立の登記の申請書の添付書面について説明した次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
なお、設立に当たり発起人が作成した定款には、金銭以外の財産を出資する者の氏名、当該財産及びその価額並びにその者に対して割り当てる設立時発行株式の数の記載があるものとする( 以下、定款に記載された出資の目的物である金銭以外の財産を「 現物出資財産 」という。)。


ア  現物出資財産について定款に記載された価額の総額が500万円を超えない場合には、設立の登記の申請書に、設立時取締役( 設立する株式会社が監査役設置会社である場合にあっては、設立時取締役及び設立時監査役 )の調査報告を記載した書面を添付することを要しない。

イ  現物出資財産について定款に記載された価額の総額が500万円を越えない場合において、当該現物出資財産の全てが不動産であるときは、設立の登記の申請書に、不動産鑑定士の鑑定評価書を添付しなければならない。

ウ  検査役の報告を受けた裁判所によって、現物出資財産の価額を変更する決定がされた場合には、設立の登記の申請書に、当該決定書の謄本を添付しなければならない。

エ  現物出資財産が市場価格のある有価証券であって検査役の選任及び調査を要しない場合には、設立の登記の申請書に添付すべき有価証券の市場価格を証する書面は、当該現物出資財産の給付の日の最終の市場価格を証するものでなければならない。

オ  設立に要した費用の額のうち設立に際して資本金又は資本準備金の額として計上すべき額から減ずるべき額と定めた額が零であっても、設立の登記の申請書には、資本金の額が会社法及び会社計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面を添付しなければならない。
  • アイ
  • アウ
  • イエ
  • ウオ
  • エオ

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は 4 です。

正しい選択肢はウとオなので、4が正解となります。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. 現物出資財産について定款に記載された価額の総額が500万円を超えない場合には、検査役の調査報告書の添付は不要です。しかし、この場合、設立時取締役(設立する株式会社が監査役設置会社である場合にあっては、設立時取締役及び設立時監査役)の調査報告書の添付を要します(商業登記法47条2項3号イ参照)。従って、本選択肢は誤りです。

イ. 現物出資財産がすべて不動産であるときであっても、現物出資財産について定款に記載された価額の総額が500万円を超えない場合には、設立登記申請書に、不動産鑑定士の鑑定評価書を添付する必要はありません(商業登記法47条2項3号ハ、会社法33条10項3号、1号参照)。従って、本選択肢は誤りです。

ウ. 検査役の報告を受けた裁判所によって、現物出資財産の価額を変更する決定がなされた場合においては、設立の登記の申請書に当該決定書の謄本を添付しなければなりません(商業登記法47条2項4号参照)。従って、本選択肢は正しいです。

エ. 現物出資財産が市場価額のある有価証券であっても検査役の選任及び調査を要しない場合には、設立の登記の申請書に添付すべき有価証券の市場価額を証する書面は、定款の認証日における最終市場価額(当該日に売買取引がない場合等にあっては、その後最初にされた売買取引の成立価額)又は公開買い付け等に係る契約に置かる価額のうち、いずれか高い額を証する書面で足ります(商業登記法47条2項3号ロ参照)。従って、本選択肢は誤りです。

オ. 設立に要した費用の額のうち、設立に際して資本金又は資本準備金の額として計上すべき金額から減じるべき額として定めた額が零であっても、設立の登記申請書には、資本金の額が会社法及び会社計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面を添付しなくてはなりません(商業登記規則61条5項参照)。従って、本選択肢は正しいです。

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02

正解は4です。

ア…誤りです。現物出資財産を出資する場合には、裁判所に選任された「検査役」の調査とその報告が必要であり(207条4項)、調査が免除される条件の一つに、当該財産の価額の総額が500万円を超えない場合、があります(207条9項2号)。しかし、定款にいわゆる変態設立事項がある場合には、検査役の調査が不要でも、設立時取締役(監査役設置会社の場合は、設立時取締役および設立時監査役)の調査報告を記録した書類が必要です(商業登記法47条2項3号イ、H24過去問)。

イ…誤りです。現物出資財産の価額が相当であることにつき、弁護士等の証明(当該財産が不動産である場合には、これに加えて不動産鑑定士の鑑定書)がある場合には、検査役の調査は不要です(207条9項4号)。しかし、そもそも500万円を超えていない場合は、上述の通り検査役の調査は不要です(同項2号)。

ウ…正しいです。検査役の調査の結果、現物出資財産の価額の変更の裁判があり、価額を変更する決定が下された場合には、決定書の謄本を添付しなければなりません(商業登記法47条2項4号)。

エ…誤りです。市場価格のある有価証券であっても、定款に記載された価額が当該有価証券の市場価格を超えない場合、検査役の調査は不要です(207条9項3号)。この場合、添付書面としては有価証券の市場価額を証する書面が必要であり、原則として、定款認証日の最終市場価格を証する書面が必要です。

オ…正しいです。設立の登記には、資本金の額が会社法および会社計算規則に従って計上されたことを証する書面の添付が必要です(商業登記規則61条5項)。この書類は、金銭出資のみの場合は不要とされますが(先例)、現物出資財産がある場合は提出する必要があります。また、発起人全員の同意があれば、資本金の額から控除する金額を定めることができますが(会社計算規則43条1項3号)、当面の間、この額は零であるとされています(同法附則)。したがって現行では現物出資財産がある限り全ての場合で本問書面の添付が必要です。

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03

ア誤
現物出資財産について設立時取締役の調査報告書の添付が必要です。

イ誤
現物出資財産について定款に記載された価額の総額が500万円を超えない場合は設立登記の際に不動産鑑定士の鑑定評価書の添付は不要です。

ウ正
その通り。

エ誤
給付の日の最終市場価格ではなく、認証日における最終市場価格又は公開買付け等に係る契約における価格を証する書面が必要です。

オ正
その通り。商業登記法61条


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