司法書士の過去問
平成26年度
午後の部 問66

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問題

平成26年度 司法書士試験 午後の部 問66 (訂正依頼・報告はこちら)

株券発行会社(現実に株券を発行している株式会社に限る。)に関する次のアからキまでの登記のうち、その申請書に当該会社の株券の提供に関する公告をしたことを証する書面の添付を要するものは、幾つあるか。


ア  株式の併合による変更の登記

イ  株式の譲渡制限に関する規定の変更の登記

ウ  株券を発行する旨の定めの廃止による変更の登記

エ  株式の消却による変更の登記

オ  組織変更による合名会社の設立の登記

カ  当該会社が株式交換完全親会社となる株式交換による変更の登記

キ  当該会社が株式移転完全子会社となる株式移転による株式会社の設立の登記
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この過去問の解説 (3件)

01

正解は 3 です。

申請書に当該会社の株券の提供に関する公告をしたことを証する書面の添付を要するのは、ア、オ、キの3個なので、3が正解です。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. 現実に株券を発行している株券発行会社が株式の併合をする場合、効力発生日の1か月前までに、株主及び登録質権者に対する株券提供公告及び通知を必要とします(商業登記法61条、会社法219条1項2号参照)。従って、本選択肢では、株券の提供に関する公告をしたことを証する書面を添付することが必要です

イ. 現実に株券を発行している株券発行会社が、株式の譲渡制限に関する規定の変更の登記をする場合には、株式の譲渡制限に関する規定の設定の登記をする場合とは異なり、株主及び登録質権者に対する株券提供公告及び通知をする必要はありません(会社法219条1項1号、商業登記法62条、59条1項2号参照)。従って、本選択肢では、株主及び登録質権者に対する株券提供公告をしたことを証する書面の添付は必要ありません。

ウ. 現実に株券を発行している株券発行会社が、株券を発行する旨の定めを廃止する場合、効力発生日の2週間前までに、株主及び登録株式質権者に対する株券廃止公告及び通知を要する。そして、株券を発行する旨の定めを廃止する変更の登記には、株券廃止公告をしたことを証する書面を添付しなければなりません(会社法63条、会社法218条1項参照)。従って、本選択肢では、株主及び登録質権者に対する株券提供公告をしたことを証する書面の添付は必要ありません。

エ. 株式償却の場合、株券提供公告は不要です。従って、本選択肢では、株主及び登録質権者に対する株券提供公告をしたことを証する書面の添付は必要ありません。

オ. 現実に株券を発行している株券発行会社が組織変更をする場合、効力発生日の1か月前までに、株主及び登録質権者に対する株券提供公告及び通知を必要とします(会社法319条1項5号、商業登記法77条4項参照)。従って、本選択肢では、株主及び登録質権者に対する株券提供公告をしたことを証する書面の添付することが必要です。

カ. 現実に株券を発行している株券発行会社が株式交換完全親会社となる株式交換をする場合、株式の併合をする場合、株主及び登録質権者に対する株券提供公告及び通知を必要としません(会社法219条1項7号参照)。従って、本選択肢では、株主及び登録質権者に対する株券提供公告をしたことを証する書面の添付は必要ありません。

キ. 現実に株券を発行している株券発行会社が株式移転完全子会社となる株式移転をする場合、効力発生日の1か月前までに、株主及び登録質権者に対する株券提供公告及び通知をしなくてはなりません(会社法219条1項8号参照)。従って、本選択肢では、株主及び登録質権者に対する株券提供公告をしたことを証する書面の添付することが必要です。

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02

正解は3です。

現実に株券を発行している株券発行会社が、株式の内容もしくは株券の記載事項等に変更を与えるような行為をする場合には、株券の提供に関する公告、ならびに、株主および株式質権者等に対する通知(以下、公告および通知)を行わなければならず(会社法219条1項)、株券提出日までに株主から提供されなかった株券は無効となります(同条3項)。さらに株券の提供に関する公告を行ったことを証する書面の添付については、ア、オ、キのみ必要となります。

ア…書面の添付が必要です。現実に株券を発行している株券発行会社において、株式の併合による変更の登記を申請する場合、株券に記載されるべき株式数が減少します。よって申請の1か月前までに、公告および通知を行わなければならず(会社法219条1項2号)、当該申請には株券の提供に関する公告をしたことを証する書面が必要です(商業登記法61条、59条1項2号)。

イ…添付不要です。現実に株券を発行している株券発行会社において、発行する全ての株式に譲渡制限を設定しようとする場合、株券の提供に関する公告をしたことを証する書面が必要ですが(商業登記法62条、59条1項2号)、譲渡制限の規定の変更の場合では、公告および通知は必要ありません。

ウ…添付不要です。現実に株券を発行している株券発行会社が、株券を発行する旨の定款の定めの廃止による変更の登記を申請する場合、申請の2週間前までに、株券の廃止に関する公告および通知を行わなければならず(会社法218条1項)、当該申請には株券の廃止に関する公告をしたことを証する書面が必要です(商業登記法63条、59条1項2号)。しかし、新たに株券を発行するわけではないので、提供公告は不要です。

エ…添付不要です。株券発行会社が自己株式の消却を行う場合、消却される株券は当該株式会社が保有しており、消却により他の株券に影響はありませんので、公告および通知自体が不要です。

オ…書面の添付が必要です。現実に株券を発行している株券発行会社が株式会社から持分会社への組織変更を行う場合、株券に記載されるべき会社名が変更になります。よって申請の1か月前までに株券の提供に関する公告をしたことを証する書面が必要です(商業登記法77条4号、59条1項2号)。

カ…添付不要です。現実に株券を発行している株券発行会社が、株式交換完全親会社となって株式交換の登記の申請をする場合、株式交換完全親会社の株式の効力に影響はないので、公告および通知自体が不要です(会社法219条1項7号参照)。「株式交換完全子会社」が株券発行会社であるときのみ、公告および通知、株券の提供に関する公告をしたことを証する書面が必要となります(商業登記法89条8号、59条1項2号)。

キ…書面の添付が必要です。現実に株券を発行している株券発行会社が、株式移転完全子会社となって株式移転の登記の申請をする場合、全ての株式を株式移転完全親会社に移転させるため、申請の1か月前までに、公告および通知を行わなければならず(会社法219条1項8号)、当該申請には株券の提供に関する公告をしたことを証する書面が必要です(商業登記法90条5号、59条1項2号)。

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03

ア添付必要
商業登記法61条

イ添付不要
商業登記法62条

ウ添付不要
会社法218条および商業登記法63条

エ添付不要
株式消却をする際に株券提供広告したことを証する情報は不要です。

オ添付必要
会社法219条および商業登記法77条

カ添付不要
会社法219条

キ添付必要
商業登記法90条

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