司法書士の過去問
平成28年度
午前の部 問10

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は 5 です。

正しい選択肢は5なので、5が正解です。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

1. 民法268条1項では、設定行為で地上権の存続期間を定めなかった場合において、別段の習慣がない時は、地上権者は、いつでもその権利を放棄することができる。ただし、地代を支払うべきときは、1年前に予告をし、又は期限の到来していない1年分の地代を支払わなければならない、と規定しています。従って、本選択肢は誤りです。

2. 地上権が消滅すれば、地上権者は土地所有者に対して使用土地を返還しなければなりません。但し、地上権が消滅しても、地上権者は使用土地に付属させた地上物の所有権を失わず、当然、これを収去する権利を有します。同時に、使用土地の返還にあたっては、原則として、地上権設定当時の現状に回復した上で、これを返還しなくてはなりません(民法269条1項参照)。従って、本選択肢は誤りです。

3. 地上権者は、土地について、自分で使用しないで他人に賃貸することができるとされています。その際、土地所有者の承諾を得る必要はありません。従って、本選択肢は誤りです。

4. 地上権設定行為に定められるべき存続期間には、民法上の制限はありません。従って、本選択肢は誤りです。

5. 通常、地上権者は土地所有者に対して定期的に地代を支払いますが、この定期地代については、永小作権における小作料の規定(民法274条~276条)が準用されています。よって、地上権者が引き続き2年以上地代の支払いを怠れば、地主は地上権消滅を請求することができます。従って、本選択肢は正しいです。

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02

正解は5です。

1.…誤りです。地上権の設定において存続期間を定めなかった場合、地上権者は、いつでもその権利を放棄できますが、定期の地代の支払いがあるときは、一年前に予告をするか、期限の到来していない一年分の地代を支払わなければなりません(268条1項)。

2.…誤りです。地上権者は、その権利が消滅したときに、土地を原状に復してその工作物および竹木を収去することができます(269条1項)。原状に復する義務と、工作物および竹木の収去する権利は一体のものなので、原状に復さなくてよいわけではありません。ただし、土地の所有者が時価相当額で工作物および竹木を買い取る旨を表示したとき、または異なる慣習があるときは、地上権者はこれを拒めません(269条1項ただし書、同条2項)。

3.…誤りです。地上権は、土地に対する物権であり、賃貸や譲渡などを行うにあたって土地の所有者などの承諾は不要です。なお、土地の賃借権の場合には、賃貸人(土地の所有者)の承諾が必要です(612条1項)。

4.…誤りです。地上権の存続期間を(当事者が設定の登記によって)設定する場合、最長期間が短縮されることはありません。ただし、地上権の設定時に存続期間を定めず、地上権者がその権利を放棄しない場合、当事者の申し立てがあれば、裁判所は、地上権設定当時の事情を考慮して、20年以上50年以下の存続期間を設定することができます(268条2項)。なお、土地の賃借権の場合は、50年を超える期間を設定した場合に50年に制限されます(604条)。

5.…正しいです。地代については、永小作権の小作料における規定が準用されます(266条1項)。したがって、小作料の支払懈怠と同様に考えて、地上権者が2年以上地代の支払を怠ったときは、土地の所有者は、地上権の消滅を請求することができるといえます(276条)。

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03

1誤
民法268条。地上権はいつでも権利を放棄することができます。ただし、地代を支払うべきときは一年分の地代を支払わなければなりません。

2誤
民法269条。地上権者はその権利が消滅した時に土地を原状に復しなければなりません。

3誤
地上権は物権です。したがって、譲渡に承諾は必要ありません。

4誤
地上権に存続期間の制限はありません。


5正
地代の支払い義務がある場合において、二年以上地代の支払いを怠ったときに土地所有者は地上権の消滅請求ができます。

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