司法書士の過去問
平成28年度
午前の部 問27

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問題

平成28年度 司法書士試験 午前の部 問27 (訂正依頼・報告はこちら)

株式会社の設立に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。


ア  設立時発行株式を引き受ける者の募集をする場合において、設立時発行株式の数を定款で定めていないときは、発起人は、設立時募集株式に関する事項を定める時までに、その全員の同意によって、定款を変更して設立時発行株式の数の定めを設けなければならない。

イ  発起人は、設立時募集株式を、申込者が引き受けようとする設立時募集株式の数に応じて、均等に割り当てなければならない。

ウ  株式会社の存続期間は、株式会社の成立後であっても、定款に定めることができる。

エ  設立時募集株式の引受人がその払込金額の全額の払込みを仮装した場合において、払込みを仮装することに関与した発起人が当該払込金額の全額を支払ったときは、当該発起人は、払込みを仮装した設立時発行株式について、設立時株主及び株主の権利を行使することができる。

オ  公証人の認証を受けた定款を株式会社の成立後に変更する場合には、公証人の認証を受ける必要がない。
  • アイ
  • アエ
  • イオ
  • ウエ
  • ウオ

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は 5 です。

正しい選択肢はウ及びオなので、5が正解となります。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. 発起設立又は募集設立ののいずれの場合であっても、発起人が割り当てを受ける設立時発行株式の数は、定款にその事項の定めがある場合を除き、発起人の全員の同意で定めなければならないとされています。(会社法25条1項1号、25条1項1号、32条1項1号参照)よって、この設立時発行株式の数は、必ずしも定款で定めなければならない事項ではありません。従って、本選択肢は誤りです。

イ. 会社法60条1項後段では、発起人は、当該申込者に割り当てる設立時発行株式の数を、申込者が引き受けようとする設立時発行株式の数よりも、減少することができる、と規定しています。従って、本選択肢は誤りです。

ウ. 会社の存続期間は定款の絶対的記載事項ではなく、相対的記載事項です。(会社法27条、29条、471条1項参照)。そのため、会社の設立後でも、会社の存続期間を定款に定めることができます。従って、本選択肢は正しいです。

エ. 仮装払込に関与した発起人が払込金額の全額支払いをした場合、設立時株主及び株主の権利を行使することができる者は、仮装払込をした設立時募集株式の引受人であって、発起人ではありません。従って、本選択肢は誤りです。

オ. 会社法466条では、株式会社は、その成立後、株主総会の決議によって、定款を変更できる、と規定しています。その際、変更後の定款について公証人の認証は不要なので、本選択肢は正しいです。

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02

正解は5です。

ア…誤りです。募集設立においては、設立時発行株式に関する事項を決定してから、設立時募集株式に関する事項を定めて株主を募集します。設立時発行株式に関する事項のうち、定款に定めがない場合に発起人全員の同意を得て定めることが必要なのは、①発起人が割当を受ける設立時発行株式の数(32条1項1号)、②発起人が設立時発行株式と引き換えに払い込む金銭の額(32条1項2号)、③成立後の株式会社の資本金または資本準備金の額に関する事項(32条1項3号)、ですが、いずれも相対的記載事項であり、定款に記載しなくてはならないわけではありません。ただし、募集株式の申込みをしようとする者へは、これらの事項の通知は必要です(59条1項2号)。

イ…誤りです。発起人は、設立時募集株式の数を、申込者が引き受けようとする設立時募集株式の数に応じて割り当てなければなりません。よって実際に割り当てる数は、申込者が引き受けようとする数を超えることはできませんが、申込者が引き受けようとする数より少なくすることができ、その割合は定められていません(60条1項、割当自由の原則)。したがって不均等になることもあり得ます。

ウ…正しいです。株式会社の存続期間は、定款の相対的記載事項であり、原始定款で定めることもできますが、成立後にも定めることができます。

エ…誤りです。発起人は、設立時発行株式の金額の払込みを仮装した場合、その全額を支払う責任があります(52条の2第1項1号)。しかし、募集設立の場合の募集株主とは異なり、設立時発行株式の払込みを完了した場合でも、発起人は設立時株主ではなく、発起人としての権利しか行使できません。

オ…正しいです。株式会社は、その成立後は、株主総会の決議によって、内容を変更することができます(466条)。会社成立前の原始定款では公証人の認証が必要です(30条)。

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03

ウとオが正しい肢ですので、5が正解です。

ア. 発起設立又は募集設立のいずれの場合であっても定款で定める必要はなく、発起人全員の同意で定めることができます(会社法32条1項、2項、58条1項、2項)。

イ. 割当は自由に行うことができます(会社法60条1項)。株主平等の原則と混同しないようにしてください。

ウ. 存続期間は相対的記載事項ですので設立時に必ず定める必要はなく、成立後に自由に定めることができます。

エ. 払込みを仮装した場合に関与した発起人が支払いをしても、権利行使できるのは設立時募集株式の引受人です。関与した発起人ではありません。

オ. 原始定款は公証人の認証を必要としますが、その後の変更には公証人の認証は不要です。


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